記事:春秋社 アジアの文学はいま、世界に広がりつつある 書籍情報はこちら 世界に広がる日本の文学…? 村上春樹、川上未映子、多和田葉子、柳美里、松田青子、小川洋子……。近年、海外の主要な文学賞で日本人作家の受賞やノミネートが取り沙汰されることが増えてきているようだ。 欧米で近年注目されているのは「日本文学」だけではない。アジア、アフリカ、ラテンアメリカといった欧米圏以外の地域の文学に注目が集まっていると言っていい。その背景には、これまで英語という単一の言語や、欧米という閉ざされた地域の文学ばかりに注目されていたことへの反省と、地域・言語を超えた多様な世界の文学に新しい表現を求めていることがある。 近代/現代文学という営みがそもそも欧米に端を発するものであることは一旦脇に置くとしても、世界の各地で、それぞれの言葉で、人々は物語を紡ぎ続けてきた。しかし作品への評価はこれまで、欧米の主要な言語で
百年前にアーサー・ウェイリーが英訳した「源氏物語」を現代日本語に訳し直した毬矢まりえ・森山恵姉妹が、「源氏物語」の時空を超えた魅力を読み解く『レディ・ムラサキのティーパーティ らせん訳「源氏物語」』。書評家の渡辺祐真さんは本書を読んで、「文学の一番おいしいところ」を伝える方法に感動したという。それはまるで、紫式部と清少納言の意外なコラボレーションのようでもあった…。 文学の一番おいしいところ 最も尊敬する文学研究者の友人とお茶していたときのことである。そろそろ学会発表が近いと嘆く友人が、遠い目をしながらふと漏らした。 「文学の一番おいしいところは、論文では伝えられないんだよ」 論文とは緻密な根拠と論理によって、文学に込められた意義や価値、解釈を提示する営みである。主に大学や学会と呼ばれる専門的な場所で展開される。 僕は大学院を知らないし、研究者になったわけではないので、その真偽はわからない
京都を拠点に活動する劇団「ヨーロッパ企画」。その代表であり劇作家・上田誠さんに、編集者の藤本智士さんが取材。本広克行監督によって映画化された『サマータイムマシン・ブルース』をはじめ、満席続出の長編映画『リバー、流れないでよ』、そして『四畳半タイムマシンブルース』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』など、活動の幅が広がり続けるヨーロッパ企画の快進“劇”についてインタビューしました。 いま劇が面白い! 劇の時代! 劇的に劇! と、最近、劇に熱くなっている編集者、藤本智士です。こんにちは。 どうしてこんなにも、みなさんに檄(劇)を飛ばしているかというとですね。僕は20年ほど、「ヨーロッパ企画」という劇団にハマり続けていまして、その結果、ようやくわかったんです。 「劇」こそ、最強のクリエイティブだ! と。 そこでいま演劇界をおおいに沸かせている劇団、ヨーロッパ企画の代表で劇作家・上田誠さんの
※このエッセイには性暴力場面の撮影に関する記述があります 12 インティマシーコーディネーター 昨年はハードな役が続きました。何人もの愛人を囲い、人を殺めることもためらわない詐欺師。歯向かう者は消し、臓器ブローカーに死体を売り払う男。ショットガンで人を撃ち、手をナタで切り落とすサイコパスの連続殺人鬼。 中でも一番ハードだったのは、自分の娘に幼い頃から性的暴行を加え続けている父親の役。そう、NHKドラマ「大奥」で演じた徳川家慶です。放送後、大きな反響をいただきました。 この作品は、まず台本を読んだ段階でストーリーがとても独創的なのが気に入りました。が、僕にとっても娘役の俳優さんにとっても心身ともにハードな現場になるのは明らかでしたので、お受けするにあたって僕は必ず「インティマシーコーディネーター」さんを付けてください、とお願いしました。制作サイドも最初からそのつもりでいらしたというので、それ
25年経っても、「100%劇団」 ──ヨーロッパ企画は、舞台を軸にしつつも、テレビドラマや映画など多方面で、俳優、作家、演出家、監督、イラストレーター、発明など多彩に活動されています。ヨーロッパ企画の公式サイトでは今も「劇団。京都を拠点に活動。コメディを上演している。」と自己紹介されていますが、これだけ活動の幅が広がっても“劇団”と自称されるのはなぜですか? 諏訪雅 (少し考えて)……100%、劇団だよね? 永野宗典 ですね。 諏訪 劇が中心にあるから、何を作っても結局、劇になる感じがします。 永野 僕らは「ヨーロッパ企画の暗い旅」(編集注:KBS京都とtvkテレビ神奈川で放送中のヨーロッパ企画制作のドキュメントバラエティ番組)をずっと続けてますけど、「暗い旅」も劇団活動の派生というか、「暗い旅」専門のチームになったらちょっと物足りなくなるかもしれません(笑)。あくまで劇団での関係値が土台
Homeananニュースヨーロッパ企画・上田誠&諏訪雅&…Entame ヨーロッパ企画・上田誠&諏訪雅&永野宗典「25周年ですし、劇団員たちがワクワクする企画を」 京都を拠点に、ユニークな設定とユルい会話で繰り広げられるコメディで人気を博すヨーロッパ企画が、劇団結成25周年を迎えた。今年6月公開の長編映画『リバー、流れないでよ』を自ら製作したり、劇団員が出演する実験的ドキュメントバラエティ『ヨーロッパ企画の暗い旅』の制作など、劇団ながら演劇の枠組みを超えて活動する彼ら。最新作の『切り裂かないけど攫いはするジャック』を前に、25年続く秘訣を旗揚げメンバーである上田誠さん、諏訪雅さん、永野宗典さんに伺った。 ――25周年を迎えた劇団の最新作は、19世紀にイギリスで起きた切り裂きジャックの事件がモチーフ。 上田誠:25周年ですし、劇団員たちがワクワクする企画をというのが使命感としてあり、今回はミ
このエッセーは岩波書店『図書』2023年4月号に掲載された 「はじまりの京都文学レジデンシー」に大幅に加筆したものです 2022年10月21日、第1回京都文学レジデンシーが終わりを迎えた。日本発の国際的文学レジデンシーに、チェコ、シンガポール、ニュージーランド、ベルギー、米国、日本の作家と翻訳家計6名が集い、3週間京都に住まい、執筆に専念するかたわら、京都の街をとにかく歩き回り、ともに飲み食い語りあい、互いのことばを分かちあった。初回レジデンシーは、実行委員の私たちが予想もしていなかった形で実現したのだが、ふたを開けてみれば、文学レジデンシーの趣旨に賛同してくれる6人の作家たちの人柄と文学への熱意が共鳴しあって、私たちの想像を超えるクリエイティヴな場が生み出された。期間中、私は何度も驚き、幸運に感謝したものだった。けれど、思い起こしてみれば、文学的瞬間とのめぐり逢いは、いつだって不意を打た
Netflixでアジアのコンテンツ統括を務めるキム・ミニョンさん。「イカゲーム」など多くのヒット作を手掛けた。 撮影:竹下郁子 Netflix(ネットフリックス)のコンテンツ制作でアジア(インドを除く)のトップを務めているのが、韓国人女性だということをご存知だろうか。 「イカゲーム」「愛の不時着」「梨泰院クラス」「キングダム(韓国作品)」……。 これらのヒット作品全てを仕掛けたのがキム・ミニョンさん、Netflixアジアコンテンツ部門のバイス・プレジデントだ。 韓国作品が世界でヒットを飛ばすたび、日本で必ずと言っていいほどささやかれるのが「韓国は世界を向いているから(それに比べて日本は……)」という“ぼやき”。 ところがキムさんは「自国でのヒットこそが成功だ」と言い切り、グローバルヒットを狙うスタッフを「ここには海外行きのチケットはない」と諭(さと)す。アジアのリソースを欧米のためには割か
関西で行われる「関西演劇祭」でフェスティバル・ディレクターを務める板尾創路さんが、演劇にまつわる様々な方と対談する連載企画。今回ゲストでお迎えしたのは、京都を拠点に活動し、唯一無二の作品を生み出し続けるヨーロッパ企画代表で脚本・演出家の上田誠さん。以前から親交のあるお二人に、土地や環境が演劇に与える影響や、演劇に求めるものについてお話を伺いました。 “職人カタギ”な上田誠が映画制作で意識したこと −板尾さんは、上田誠さんの作品やヨーロッパ企画についてどのような印象を持たれていますか? 板尾「以前、スズナリで上演された作品を見に行きました。映画『リバー、流れないでよ』も見たけど、上田くんらしい作品でしたね。劇団の皆さんも出演しているので懐かしくて、みんなおっちゃんになったなぁと思って(笑)。上田くんの脚本は独特で、面白い作品を何年も生み出し続けてすごいですね。京都人やなという感じもする。脚本
「切り裂かないけど攫いはするジャック」は、ヨーロッパ企画が25周年を記念して行うツアー公演。会見にはヨーロッパ企画の上田誠、酒井善史、諏訪雅、中川晴樹、永野宗典、藤谷理子、客演の早織、金丸慎太郎、藤松祥子、内田倭史、岡嶋秀昭が登壇した。 まずは上田があいさつ。ミステリーは以前からやりたかったが、ハードルの高さを感じていたと言い、今回、満を持しての創作となる。続けて劇団員があいさつ。「貴族の役をやらせていただきます酒井です。僕は……ジャックなのでしょうか?」「オルガン弾き役の諏訪です。一番ジャックだと思われるようにしたいと思います」「銀行家……(と一瞬言いよどみ、周囲から『これは怪しいですね』とツッコミが入る)役の中川です!」「人攫いジャックを追跡する警部役の永野です。今回、ビジュアルのセンターを取ったので(笑)、その意気込みでやろうと思います!」「推理婦人役の藤谷です。推理婦人というからに
ホーム » 投稿 » インタビュー » 日本映画 » 「多様性を楽しむ方がいい」 ドラマ『時をかけるな、恋人たち』脚本家・上田誠インタビュー。吉岡里帆&永山瑛太の話題作 カンテレ・フジテレビ系で放送中のドラマ『時をかけるな、恋人たち』。主演の吉岡里帆が永山瑛太との”恋の逃避行”を描くタイムパトロール・ラブコメディー。今回は、本作で脚本を務めるヨーロッパ企画・上田誠さんのインタビューをお届け。ドラマ制作のエピソードや、細部の演出までたっぷりとお話を伺った。(取材・文:あさかしき)「ローファンタジーは、映像の本質に近い」 “演劇”と“映像”の創作の違いについて写真:武馬怜子―――上田さんご本人が手掛ける作品としてSFが得意ジャンルだと思います。SFを好きになったきっかけの作品はありますか? 「『ドラえもん』で、ドラえもんがのび太に頼まれて宿題をやってたら、未来のドラえもんがタイムマシンで助けに
上記画像の本 「土偶を読むを読む」という本が、先月28日に発売されました。私は発売されると、すぐに買って読みました。この「土偶を読むを読む」、自分が考えることの参考にものすごくなりました。オススメです。 間違えて欲しくないのは「「土偶を読む」じゃなくて「土偶を読むを読む」の方です。 区別しやすいように、 「土偶を読む」は赤色 「土偶を読むを読む」は緑色の文字にしました。 この本は大雑把に説明すると、2021年に出版された「土偶を読む」という本の検証本になります。 「土偶を読む_130年間解かれなかった縄文神話の謎」 著者:竹倉史人 出版社:晶文社 ___日本考古学史上最大の謎がいま解き明かされる__(帯文より引用) この 「土偶を読む」も 2021年に発売された当時、人に教えてもらい買って読んだのですが、、、。 あまり、このコラムでは批判的なことは書きたくないのですが、まあようするに、僕に
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