気付かれなくても徹底した細部へのこだわり 『SHOGUN』で「正しい日本」を描けたのは、ベルギー人歴史家のおかげ 左から、プロデューサーの宮川恵理子、レイチェル近藤、ジャスティン・マークス、主演を務めた真田広之、澤井杏奈そして国際政治学者のジョシュア・ウォーカー Photo by John Lamparski/Getty Images
英雄は勇ましく猛々しい……ってホンマ? 日本の英雄は、しばしば伝説のなかに美少年として描かれる。ヤマトタケルや牛若丸、女装姿で敵を翻弄する物語を人びとは愛し、語り継いできた。そこに見た日本人の精神性を『京都ぎらい』『美人論』の井上章一さんが解き明かした連載「女になった英雄たち」が『ヤマトタケルの日本史』として刊行された。井上さんが同書を刊行したのちに気づいた、ある事実とはーー。 なぜ日本では「フランス革命」がよく知られているのか 日本では、フランス革命の歴史が、ひろく知られている。隣国の、たとえば韓国や中国の人たちとくらべても、よくわきまえていると思う。 日本の歴史教育は、それだけ多くの時間をこの革命にさいてきたようである。 もちろん、マンガの効用もあなどれない。1970年代以後、日本ではフランス革命を題材としたマンガが、数多くえがかれた。それらが革命がらみの知見を日本人におしえたことは、
京都市にある国際日本文化研究センターと京都府教育委員会が協定を結び、授業や教職員の研修などで協力していくことになりました。 京都市上京区の京都府庁旧本館で協定の締結式が行われ、国際日本文化研究センターの井上章一 所長と京都府教育委員会の前川明範 教育長が協定書を取り交わしました。 ▼研究員が公立の小中学校や高校などで授業を行ったり、▼教職員が研究員から研修を受けたりするなど、互いに協力して、日本文化についての学びを深めていくということです。 センターによりますと、これまでも近隣の小学校とは、研究員が授業するなどの交流があり、ほかの学校からも要望が寄せられていたことから、府教委と連携して、すすめていくことにしたということです。 井上センター長は、「専門的な知見をもつ研究員が、子どもたちから思いがけない質問や意見を受けることで、考えるきっかけをもらえるのではないかと期待しています」と話していま
歴史家・石母田正の評伝を出した磯前順一・日文研教授=京都市 「中世的世界の形成」や「歴史と民族の発見」「日本の古代国家」など数々の著作を残し、独自の英雄時代論を展開した石母田。その思索の遍歴は常に時代の流れとともにあり、社会革命を追い求める「行動する歴史家」ゆえに、非情な現実に翻弄(ほんろう)され続けた。 「彼にとって、現実を不平等のない社会に変える、それがすべてだった」と磯前さん。「しかし彼は孤独だった。それが学問的成熟をもたらした」 挫折と敗北の洞察を理論にまで仕上げ(中略)彼は成長していった――。盟友、故・藤間生大(とうませいた)が弔辞でそう読んだように、石母田が理想と現実の乖離(かいり)に身をよじらせ苦悶(くもん)しつつも、それさえ自らの論理を磨き上げる糧としていったのは想像に難くない。 宗教や歴史が専門の磯前さんが石母田にふれたのは20歳のころ。国家論と神話論の鮮やかな結びつきに
「戦争が絶えず弱者が苦しむ世界を、私たちは本気で変革できるのか」。戦後のマルクス主義歴史学をリードした石母田正(いしもだ・しょう 1912~86年)の評伝となる本書を執筆中、この問いが脳裏にこだましていたと振り返る。 旧ソ連が崩壊し、中国が「赤い資本主義」に転じた今、マルクス主義は過去の遺物にも映る。しかし「石母田が掲げた理想は、社会主義国家の鉄のおりのような官僚制とは異なる」と主張。それは、石母田が戦時中に書き進め、敗戦直後に出版した主著『中世的世界の形成』からも見て取れるという。 その舞台は三重県名張市にあった東大寺の荘園・黒田荘(くろだのしょう)。土着の武士たちは、古代的支配者の東大寺との階級闘争に敗北を繰り返し、自立して中世の主役になれなかった。<寺奴(じぬ)>、つまり奴隷としての自意識を拭えず、東大寺の支配を打ち倒す覚悟を決められなかったからだ-。そう指摘した石母田は、武士たちに
春画の深奥な世界にさまざまな角度から切り込んだドキュメンタリー。美術史に残る逸品から庶民が秘蔵した廉価版まで、100点を超える春画を巧みなカメラワークで紹介しながら、木版技術の継承者、愛好家やコレクター、研究者、アーティストら、春画に魅せられた人々を国内外に訪ね、その真髄を解き明かしていく。平田潤子監督に話を聞いた。 平田 潤子 HIRATA Junko 2000 年、映像制作会社テレコムスタッフに入社。「三代の恋物語」で 06 年 ATP 賞新人賞受賞。ダンスドキュメンタリー『ペンダントイブ』(09 年公開)をはじめ、現代詩や身体表現、美術などをテーマにしたアートドキュメンタリーを主に制作。『にっぽんの記憶』(10)で湯布院文化映画祭松川賞を受賞。他に監督作として、震災後の東北を描いた『なにゃどやら―陸中・小子内の盆歌』(12=山形ドキュメンタリー映画祭上映)、『詩人・榎本櫻湖の“冬の旅
平安貴族の日記など古記録研究の第一人者で、NHK大河ドラマ「光る君へ」の時代考証を担当する倉本一宏・国際日本文化研究センター教授の退任記念講演が3月に同センターであった。「紫式部-その第三の人生」と題して、一条天皇の皇后となる彰子(しょうし)の下での「申次(もうしつぎ)女房」としての政治的役割について語った。 倉本さんは、9世紀から12世紀にかけての貴族の日記「御堂関白記(みどうかんぱくき)」(藤原道長)や「小右記(しょうゆうき)」(藤原実資(さねすけ))などの訓読文(現在約558万字)をデータベース化し、「摂関期古記録データベース」として日文研サイトで公開、平安時代の政治と文化に関する重要な一次資料となっている。 この日は、紫式部集から垣間見られる妻として母としての「第一の人生」、源氏物語と紫式部日記の作者としての「第二の人生」、その後を「第三の人生」とし、自著である講談社現代新書「紫式
このたび、国際日本文化研究センターが研究協力を行った「春画復刻プロジェクト」(東京伝統木版画工芸協同組合)を紹介する動画を公開します。 このプロジェクトは、江戸時代に出版された春画を復刻することでその技術を保存・継承することを目的に2016年にスタートしました。東京・京都の版元、彫師、摺師たちが春画の傑作として名高い鳥居清長の「袖の巻」(天明5年/1785)に挑んでいます。動画は、彫・摺の技術にフォーカスした【技術編】とプロジェクトのきっかけやその意義を語った【魅力編】の2つにわかれています。どうぞご覧ください。 なお、本動画は大学共同利用機関法人 人間文化研究機構「博物館・展示を活用した最先端研究の可視化・高度化事業」、機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」の研究成果の一部として、2018年に制作したものです。
日文研が、西日本旅客鉄道株式会社及び京都駅ビル開発株式会社のご協力を得て、京都駅ビル2Fのインフォメーション前で両社と共催した、「(まなぶんか in 京都駅ビル)日本近代美術への誘い ――日文研所蔵美術展覧会絵葉書の世界」展が、2024年1月28日をもって終了しました。展示期間中は、11,212名(※)の方にご来場いただきました。また、1月20日(土)・27日(土)に実施した、日文研の劉建輝教授によるギャラリートークには、あわせて76名のみなさまがご参加くださいました。ありがとうございました。 日文研は、近年における国内外の日本大衆文化への関心から、そのニーズに応えるべく、2016年度から「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」というプロジェクトを立ち上げ、国際的、学際的に日本の大衆文化を研究してきました。そして、美術展覧会絵葉書をめぐる整理、研究もプロジェクトの一環として
日文研が進めてきた「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」の成果『日文研大衆文化研究叢書』の韓国語版が2024年2月に刊行されました。これを機に、韓国ソウルで市民向けの講演会「「日本大衆文化」市民講座」が開催され、同プロジェクトに関わった3名の教員が講演を行いました。 荒木浩教授「<古典>世界と大衆文化―夢・フキダシ、文学遺産、Rashomon effect など」は、空也上人を使った宣伝・美術作品を切り口に、古今東西の美術作品や文学作品から、漫画の「フキダシ」の多様な原型をひもといて見せました。さらに、伴大納言の夢の読み解きから羅生門イメージの現代大衆文化への投影へと豊かな研究の成果を語りました。 劉建輝教授「大衆文化としての絵葉書―近代日本における「中国像」の成立を再検証する」は、日文研の「近代日本美術展絵葉書データベース」を用いて、日本人画家が絵葉書に描いた中国のイメ
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トップ > 新着トピックス > 日文研の話題 > 「東アジアにおける国民国家の始発と終焉」のワークショップを開催しました(2023年12月18日、19日) 日文研では、共同研究会「日文研所蔵井上哲次郎関係書簡の研究――国民国家の始発と終焉」と「比較のなかの「東アジア」の「近世」―新しい世界史の認識と構想のために―」の研究会横断型ワークショップとして、ワークショップ「東アジアにおける国民国家の始発と終焉」を開催しました。以下は磯前教授からの報告です。 日文研主催の共同研究会「日文研所蔵井上哲次郎関係書簡の研究――国民国家の始発と終焉」及び「比較のなかの「東アジア」の「近世」―新しい世界史の認識と構想のために―」の国際展開として、ソウル大学日本研究所、および国立仁川大学日本研究所との2機関との研究交流を行った。ソウル大学日本研究所では、上記共同研究会の共同代表者である茢田真司氏(國學院大學教授
京都駅ビルで絵はがきからたどる「日本近代美術への誘い」京都画壇の作家、幻の作品も 2024年1月18日 11:00
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