春画の深奥な世界にさまざまな角度から切り込んだドキュメンタリー。美術史に残る逸品から庶民が秘蔵した廉価版まで、100点を超える春画を巧みなカメラワークで紹介しながら、木版技術の継承者、愛好家やコレクター、研究者、アーティストら、春画に魅せられた人々を国内外に訪ね、その真髄を解き明かしていく。平田潤子監督に話を聞いた。 平田 潤子 HIRATA Junko 2000 年、映像制作会社テレコムスタッフに入社。「三代の恋物語」で 06 年 ATP 賞新人賞受賞。ダンスドキュメンタリー『ペンダントイブ』(09 年公開)をはじめ、現代詩や身体表現、美術などをテーマにしたアートドキュメンタリーを主に制作。『にっぽんの記憶』(10)で湯布院文化映画祭松川賞を受賞。他に監督作として、震災後の東北を描いた『なにゃどやら―陸中・小子内の盆歌』(12=山形ドキュメンタリー映画祭上映)、『詩人・榎本櫻湖の“冬の旅
このたび、国際日本文化研究センターが研究協力を行った「春画復刻プロジェクト」(東京伝統木版画工芸協同組合)を紹介する動画を公開します。 このプロジェクトは、江戸時代に出版された春画を復刻することでその技術を保存・継承することを目的に2016年にスタートしました。東京・京都の版元、彫師、摺師たちが春画の傑作として名高い鳥居清長の「袖の巻」(天明5年/1785)に挑んでいます。動画は、彫・摺の技術にフォーカスした【技術編】とプロジェクトのきっかけやその意義を語った【魅力編】の2つにわかれています。どうぞご覧ください。 なお、本動画は大学共同利用機関法人 人間文化研究機構「博物館・展示を活用した最先端研究の可視化・高度化事業」、機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」の研究成果の一部として、2018年に制作したものです。
平田潤子監督『春の画』を試写で見た。春画に関するドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com 春画がどういうものなのかについてのけっこうわかりやすい解説や、春画から影響を受けている現代のアーティストへの取材などもあり、多角的な作品である。エロティックな表現だけではなく、絵画技術の巧妙さについてもきちんと突っ込んだ説明をしている。基本的には春画をセクシュアリティを楽しく描いた作品としてとらえ、その面白いところをポジティブに紹介しているのだが、一方で江戸時代の性差別的な社会が春画の背景にあることも指摘されており、やたらと日本スゴイみたいな感じで女性を軽視して春画を持ち上げる作品ではない。このあたりは劇映画の『春画先生』よりも広い視点で作られており、そちらよりもだいぶ教育的で面白かった。
性愛を肉筆や版画で描いた「春画」を展示する岐阜浮世絵春画美術館が11月、岐阜市に開館した。常設展示は全国でも珍しいという。春画は海外で芸術…
突然ですが! これから「江戸時代までの日本は『性におおらかな社会』だったが、西洋的/キリスト教的価値観の輸入がそれを潰した」とかいうなぜか世間にはびこる謎幻想、およびその手の害毒史観のもとで作られた『春画先生』という映画の問題点についてキッチリ語らせていただきます。 ……つーかとっくに上映終了している映画について今さらウダウダ指摘するのもなんだと思ったけど、やっぱ今年のムカつきは今年のうちに全部吐き出しておかねば気が済まぬ。 かなり長くなるだろうけど、しばしお付き合いいただければ幸い。 そもそも。 「おおらか論」に与する人たちってのは、当時に春画・春本の類が何の制約もなく出版され、大衆がそれを白昼堂々と買うことができたと思ってるんだろうか? 例えば明和年間に京都の書店組合が発行した『禁書目録』には好色本が多く掲載されているし、為永春水ほどの才気ある戯作者も、たかが『春色梅児誉美』程度のハー
人間の性愛を描いた絵画「春画(しゅんが)」を2千点以上所有する岐阜市のコレクター柴田正寛(まさひろ)さん(73)が4日、収蔵品を展示する全国でも珍しい春画専門の「岐阜浮世絵春画美術館」をオープンさせる。円山応挙(まるやまおうきょ)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)などが描いたとされる色鮮やかな作品がずらり。柴田さんは「春画専門の常設展示は世界初では」と話す。 直接的な性表現からタブー視されがちな春画だが、最近は美術的価値や独特のユーモラスさが見直されつつある。柴田さんがその魅力に取りつかれたのは45年ほど前。もともと骨董(こっとう)収集が趣味だったが、毛髪などの細密な描写や岩絵の具の鮮やかな発...
魅惑の春画ワールドへようこそ! エロティシズムだけではない、多彩な表現内容、技巧、その創造性! 表情豊かに描かれる「性」と「生」を発見する驚きのドキュメンタリー映画。 葛飾北斎、喜多川歌麿、鈴木春信……江戸の名だたる浮世絵師たちが、並々ならぬ情熱を注いだ「春画」。 ©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会「袖の巻」鳥居清長・画(浦上蒼穹堂) 2013 年、ロンドン・大英博物館での世界初の大規模な「春画展」に大勢の人が詰めかけ、その半数以上が女性だったといいます。 ©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会 2015 年~16 年に東京と京都で開催された日本初となる大規模な「春画展」は21万人を動員、その約半数もまた女性でした。そして2023年、春画についての本格的なドキュメンタリー映画『春の画 SHUNGA』が完成。 浮世絵の頂点とされる作品も少なくない春画ですが、そうした傑作が誕生
2013年にイギリスの大英博物館で開催され、9万人もの入場者数を記録した「春画 日本美術における性とたのしみ」展。そして、15年に東京・目白の永青文庫で開催され、20万人以上を集めた日本初の「春画展」。国内外で人気を博す春画を題材とした映画が、この秋に公開される そもそも春画とは何か。それは、⾁筆や⽊版画で描かれた作品で、平安時代からはじまり江⼾時代の⽊版画技術の発達で全盛期を迎えた⼈間の性的な交わりを描いた画のことを指す。鈴⽊春信、⿃居清⻑、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどが春画を⼿がけており、江⼾時代にはたんに好⾊な男性のためのものではなく、身分を問わず多くの⽼若男⼥が愛好していた。こうした春画は、高い人気を誇るものの、公の場で展覧される機会はまだまだ少ない。 映画『春画先生』は、この春画を研究する「春画先生」を主人公に据えた作品だ。監督は『さよならくちびる
「ニコニコ美術館」がオンライン「春画展」を開催へ。春画の世界的コレクター・浦上満が協力株式会社ドワンゴは、インターネットの祭典「ニコニコネット超会議2021」の「ニコニコ美術館」企画において、ネットで鑑賞ができる展覧会「春画展」を開催すると発表した。 喜多川歌麿 歌満くら 1788 「ニコニコ動画」を提供する株式会社ドワンゴは、4月24日~5月1日に開催されるインターネットの祭典「ニコニコネット超会議2021」の「ニコニコ美術館」企画において、ネットで鑑賞ができる展覧会「春画展」を開催すると発表した。 「ニコニコ美術館」は、同社が2012年から放送しているニコニコ生放送のアート関連番組シリーズ。学芸員や専門家などの解説とともに展覧会の魅力を届けるコンテンツとして知られる。 今回開催される「春画展」は、この「ニコニコ美術館」にとって初の主催展覧会。春画の世界的コレクターであり2015年に永青
はじめに はじめまして。日本のサドマゾヒズムとSMを研究している、福岡女子大学国際文理学部国際教養学科講師の河原梓水(かわはらあずみ)と申します。専門は、日本史、歴史学です。 昨年11月、シンポ動画の取り下げをめぐって「炎上」した、京都大学主催シンポジウム「緊縛ニューウェーブ×アジア人文学」(2020年10月24日・京都大学吉田キャンパスで開催。以下、緊縛シンポ)に関して、私はシンポへ批判文を送った者であること、そして、この件について適切な発言ができるのは日本で私のみであろうということから、義務感を感じ、この度ネットの世界に降り立ちました。以下書く内容は、研究者としての私個人の責任によって行うもので、所属先とは関係ありません。 私は、2020年10月24日(土)に行われた緊縛シンポに対面で参加し、その後シンポ内容に関する批判文を主催者に送りました。 シンポで研究者たちが語った内容の学術的誤
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