TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加交渉が山場に入る。日本は7月のマレーシアの第18回会合から交渉入りした。次回は8月下旬にブルネイで開かれる。 ≪対米自由貿易への唯一の道≫ 交渉の微妙な中身は外からは窺い知れないが、交渉の歴史的意義を再確認し、実益ある結果を引き出さねばならない。何より重要なのは、野心的な自由貿易を目指す交渉の大義を再確認し、結果を出す粘り強い交渉と並行して、国内調整を一体的に実行する、強力な政治指導力を発揮することだ。 タフな交渉に際し最も重要なのは、まとまるかどうかではなく必ずまとめるという強い意志だ。 米国の経済学教科書でもとりわけ評価の高いG・ハバード=A・P・オブライエンの『経済学』に次のような一文がある。「自由貿易の経済的恩恵ほどエコノミストの意見が一致する問題はない」 自由貿易の重要性については、疑いのないほど幅広い合意があるということだ。にもかかわらず