【帰還困難区域】「出来る出来ないじゃない。とにかくやるんだ」と今村復興相。あるのは玉砕覚悟の精神論のみ。帰還促進のため部分除染へ 2016/09/02 07:46 避難指示が出ている地域の中でも特に汚染が酷い「帰還困難区域」に対する政府方針がまとまったことを受け、今村雅弘復興相や高木陽介経産副大臣らが1日、福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事と会談。政府方針を改めて説明した。帰還困難区域に「復興拠点」(エリア)を設けて除染を行い、居住可能な状態にして避難指示を部分解除する。最終的には長い年月をかけて帰還困難区域全体の避難指示解除につなげたい考えだが、果たして高濃度汚染地域を除染して居住可能な状態にすることなど可能なのか。論理的説明はなく、あるのは玉砕覚悟の精神論のみ。「とにかく住民を戻す」。放射線防護など二の次の帰還促進策がさらに加速する。 【「とにかく住民を戻す」の決意表明】 今村雅弘復興大臣の
世界的に原子力発電所の建設が停滞する中、日立製作所はグループ会社が手がける原発向けのウランの技術開発事業について、将来の成長性が見込めないとして、ことしの決算でおよそ650億円の損失を計上する見通しになったと発表しました。 日立は、原発の建設の拡大を見込んで2007年に、原発の燃料となるウランの新たな加工技術の開発事業を始めました。 しかし、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故などを背景に世界的に原発の新規建設が停滞する中、将来の成長性が見込めず、事業の価値を見直した結果、ことし3月期の決算でおよそ650億円の損失を計上する見通しになったということです。日立は今後、この事業から撤退する方向で検討を進めています。
福島第一原発で起きた事故について、前橋地裁は「想定外ではなく、対策を取ることができた」と東京電力と国の責任を厳しく指摘した。判決を受け、それぞれ対応を迫られることになる。東電の旧経営陣が強制起訴された刑事裁判にも影響を与えそうだ。 17日午後3時すぎ。東京電力ホールディングスの広瀬直己社長は、東京・大手町で判決とは関係なく設定されていた記者会見に臨んでいた。そこに「東電敗訴」のニュースが飛び込んだものの、表情を変えずに「判決を精査し、しっかり対応していきたい」と淡々とコメントした。 だが、東電社内には「厳しい判決だ」(幹部)との受け止めも広がる。判決は、津波対策の必要性を感じつつ取り組まなかった点を「経済的合理性を安全性に優先させた」と指摘。2002年から予見できたとした電源喪失時の対策は「約1年で実行可能」とし、怠慢さも認定した。 政府内にも衝撃が走る。従来の法制で、原発事故の国の責任は
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から間もなく六年。福島第一をはじめとする廃炉や使用済み燃料再利用など原発の後始末にかかる費用が膨張している。本紙が政府推計や予算資料を集計したところ国内の原発処理の経費は最低四十兆円に上ることが判明。原発のある自治体への補助金などの税金投入も一九七〇年代半ばから二〇一五年度までに十七兆円に達した。すでに国民が税などで負担した分を除き、増大する費用は電気代や税で国民が支払わねばならず、家計の重荷も増している。 (原発国民負担取材班) 四十兆円は国民一人当たり三十二万円に上る。原子炉や核燃料処理費がかさむのは危険な核物質を処理する必要があるため。自治体補助金も「迷惑料」の色彩が強い。原発の建設・運営費も事故後は安全規制強化で世界的に上昇している。 政府は福島事故処理費を一三年時点で十一兆円と推計したが、被害の深刻さが判明するにつれ、二一・五兆円と倍増。本来
税金で助けるプラン 世界的な原子力不況への対応の遅れと企業としてのガバナンスの欠如が災いして、深刻な経営危機に陥っている東芝に対し、国民の眼に見えない形で政府・経済産業省が公的支援を行う案が、にわかに現実味を帯びてきた。 東芝は、支援に辿り着くために、実質的な経営破たんに当たる債務超過に陥ることが確実な今2017年3月期決算を自力で乗り切る必要がある。 そのため、同社は、収益の大黒柱である半導体・メモリー事業を別会社化、過半数以上の持ち分を売却することで急場をしのぐ方針だ。 これを受けて、東芝の破たんに伴う巨額の貸し倒れの発生を避けたい三井住友銀行、みずほ銀行など主力各行は、自力での債務超過回避のメドがついたとして、融資の継続に応じる方針という。 この後が政府・経済産業省の出番となる。 同省は、今後40年間に少なくとも8兆円(単純計算で年2000億円)を見込んでいる東京電力・福島第一原子力
炉心溶融(メルトダウン)した東京電力福島第一原発の2号機格納容器に、遠隔カメラやロボットが相次いで入った。溶けた核燃料のような塊、崩れ落ちた足場、毎時数百シーベルトに達する強烈な放射線量……。原発事故から6年で、ようやく見え始めた惨状が、廃炉の多難さを浮き彫りにしている。 今月上旬、廃炉に向けた作業が進む福島第一原発に記者が入った。 海沿いに原子炉建屋が並ぶ。水素爆発を起こした1号機は、吹き飛んだ建屋上部の鉄骨がむき出しだ。3号機は建屋を覆うカバーの設置工事が進むが、その隙間から水素爆発で崩れた建屋がのぞく。 それらに比べ、間に立つ2号機の外観は事故前とほとんど変わらない。だが、この2号機こそ、原発事故で最大の「危機」だった。 2011年3月15日未明。2号機の格納容器の圧力が設計上の上限の倍近くに達した。その後、圧力は急激に低下したが、なぜ爆発を免れたのか、いまだにはっきりしていない。
東芝が米原子力発電事業で7000億円規模の損失を計上する可能性が高まった。何が要因となったのか。関連資料を探ると、建設プロジェクトのコスト超過分を東芝側が負担する「固定価格オプション」というキーワードが浮かび上がる。また足元では工事の遅延リスクが顕在化しておりコストは上昇傾向にある。固定価格オプション、コスト増という二重苦で東芝側の負担が膨張していく構図が鮮明化している。 東芝は米原発事業子会社のウエスチングハウス(WH)を通じ、米国で二つの原発プロジェクトを進める。米スキャナ電力のVCサマー発電所(サウスカロライナ州)の2、3号機、米サザン電力のボーグル発電所(ジョージア州)の3、4号機の建設だ。 2016年末、両プロジェクトにおいて、米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)買収を巡る2000億円超の減損や建設コスト増により、7000億円規模の巨額損失が生じるリスクが明らか
東京電力は30日、福島第一原発2号機の原子炉直下に黒い塊があるのを遠隔カメラによる調査で見つけた。事故で溶け落ちた核燃料の可能性があるといい、東電は2月にも投入する調査ロボットで映像と放射線量などから燃料かどうか確認する。溶けた燃料が確認されれば、事故後初めてとなり、廃炉を進める上で貴重なデータになる。 東電はこの日早朝から、2号機原子炉の下部までカメラ付きのパイプを差し入れ、付近を撮影。原子炉直下にある作業用のグレーチングと呼ばれる格子状の金網に、黒い塊があるのが写ったという。事故前にはなかった塊で、溶けた燃料の可能性がある。ただ、東電は、塊の映像だけでなく、調査ロボットで放射線量を測ってみるなどしないと確定できないとしている。 調査ロボット「サソリ」は2月に投入予定。カメラ2台のほか、線量計や温度計を搭載している。
運転中や運転可能な全国の商用原発42基のうち40基で、重要設備である中央制御室の空調換気配管の詳細な点検が行われていなかったことが14日、原発を保有する電力9社と日本原子力発電への取材で分かった。 中国電力島根原発2号機(松江市)の換気配管では腐食による穴が多数見つかっており、事故が起きた場合に機能を維持できない恐れがある。 中国電は昨年12月、運転開始後初めて島根2号機で配管に巻かれた保温材を外し、腐食や穴を発見。必要な機能を満たしていないと判断し、原子力規制委員会に報告した。再稼働した九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)や関西電力高浜原発3、4号機(福井県)、四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の点検でも保温材を外していない。点検方法は各社の判断に委ねられており、規制委は全国の原発の実態を確認する。 中央制御室は原発を運転・監視する中枢施設で、運転員が24時間常駐する。通常は配管を
東京湾に注ぐ主要河川の河口部で、本紙が独自に堆積物を採取し放射性セシウム濃度を調べたところ、東京電力福島第一原発事故から五年半がたっても、川で運ばれてきたセシウムが新たに蓄積され、濃度はあまり低下していないことが分かった。調査は三回目。海水魚はセシウムを取り込んでも排出するため、影響は限られるとみられるが、継続的な監視は必要だ。 (原発取材班) 採取は九月十六と十七の両日、関東学院大の鎌田素之(もとゆき)准教授(環境工学)や学生二人の協力を得て実施。鶴見川、多摩川、隅田川、荒川、旧江戸川、花見川の六河川の河口で、二種類の採泥器を使い、海底の表層のほか、海底下四十センチまでの堆積物も採取した。 最も高い濃度を検出したのは、印旛沼(千葉県)につながる花見川(同)。一キログラム当たり四五二~七八九ベクレルと、他の河口より突出して高かった。基準値はないものの、原発で使ったコンクリートや金属を再利用
電力業界団体の電気事業連合会(電事連)が、東京電力福島第1原発事故の損害賠償・除染費用について、東電を含む大手電力各社の負担額が当初計画を約8兆円上回るとの試算をまとめ、超過分を国費で負担するよう政府に非公式に要望していることが4日明らかになった。政府はこれまで「賠償・除染費用は原則的に原発事業者の負担」との立場を取ってきており、慎重に検討するとみられる。 【図とデータで詳しく】避難指示区域の今 原発事故、後遺症重く 福島第1原発事故の賠償・除染費用は、(1)国がいつでも現金に換えられる「交付国債」を原子力損害賠償・廃炉等支援機構(国の認可法人)に渡す(2)東電は機構から必要な資金の交付を受け、賠償・除染に充てる(3)機構は後に東電を含む大手電力から負担金を受け取り、国に返済する--という仕組み。賠償分は東電と他の大手電力が分担▽除染費用は機構が持つ東電株の売却益を充当▽中間貯蔵施設の費
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