集団的自衛権の行使を容認することや、武器や兵員の輸送など米軍等への支援を可能とする―「戦争法案」とも批判される安保法制の関連法案*について、安倍政権は今日14日夕方、閣議決定した。さらに明日15日、安保法制関連法案が国会に提出される見込みだ。だが、集団的自衛権の行使など、現在の憲法下で禁じられたことを閣議決定すること自体が、重大な憲法違反だ。憲法は国の最高法規であり、政府がこれを守らないのならば、日本は法治国家として破綻していると言えるだろう。他方、諸外国では政府の決定や政策が合憲か違憲かを判断し、違反・侵害から憲法を守る「憲法裁判所」制度がある。中でも、「軍隊のない国」としてその平和主義が知られるコスタリカでは、当時の大統領がイラク戦争を支持したことは違憲であるとして、最高裁憲法法廷が支持撤回を命じたという事例があるのだ。コスタリカ研究家で北九州市立大学非常勤講師(国際関係学)の足立力也
安倍内閣の集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対する憲法学者らでつくる「国民安保法制懇」が二十七日、名古屋市中区のホールで集会を開き「閣議決定は憲法に違反している。政府が行おうとしている関連法改正も違憲性が高い」と批判した。 登壇したのは柳沢協二元官房副長官補や改憲派の小林節慶応大名誉教授、日弁連の憲法問題対策副本部長の伊藤真氏らで、いずれも国民安保法制懇のメンバー。約四百人が集まった。 防衛省防衛研究所所長でもあった柳沢氏は「集団的自衛権は、ソ連(当時)のアフガニスタン侵攻や米国のベトナム戦争など大国の軍事介入で使われてきた論理」と指摘。「(自衛隊の)イラク派遣が日本にとっては限界だったと思う。あれ以上はひつぎが帰ってくることを考えなくてはならないが、政治家にその覚悟があるのか」と厳しく批判した。
集団的自衛権の行使容認をめぐり14日から衆参両院の予算委員会で集中審議が行われるのを前に、憲法解釈変更の閣議決定に反対する市民らが13日、国会周辺に集まり「閣議決定を撤回しろ」と抗議の声を上げた。 主催した市民団体の発表で約3千人が参加。「国民を欺くな」などと書いたのぼりやプラカードを手に「9条を壊すな」「戦争する国、絶対反対」とシュプレヒコールを繰り返した。 ルポライターの鎌田慧さんは「平和と民主主義のために69年生きてきた。何の根拠もなく閣議決定されたが、何をしようと9条は輝いている」と訴えた。
三重県松阪市の山中光茂市長が3日、記者会見し、集団的自衛権行使を認める閣議決定について、違憲確認訴訟を視野に入れた市民団体結成を目指すことを明らかにした。団体名は「ピースウイング」(仮称)とし、1カ月以内に同市で発起集会を開きたいという。 山中市長は会見で「憲法の原点は武力による紛争抑止ではなく、徹底した平和主義。愚かな為政者による解釈変更は許されない」としたうえで、「全国から広く賛同者を募り、シンポジウムなどを通じ閣議決定の違憲性を訴えていきたい」と述べた。親交のある首長らにも協力を呼びかけているという。 また、「憲法の平和的生存権への侵害を根拠に、違憲確認や国家賠償請求の集団訴訟も視野に入れたい」と話した。
国家が秘密にする情報の明確化などを求めた、安全保障と知る権利に関する国際ルール「ツワネ原則」の策定に深く関与したモートン・ハルペリン氏(75)が八日、国会内で講演した=写真、伊藤遼撮影。昨年十二月に成立した特定秘密保護法について「日本政府はきちんとした手続きを踏んでおらず、急いで成立させた。民主社会であるべき協議をしていない」と政府の姿勢を批判した。 ハルペリン氏は外交政策や核戦略論などが専門の政治学者で、米国家安全保障会議(NSC)の元メンバー。ニクソン政権時代に沖縄返還時の核密約にも関わり、クリントン政権時代には大統領特別顧問を務めた。昨年公開されたツワネ原則の策定にも主要な役割を果たした。ハルペリン氏は、米国などでは秘密法の制定や改定に二、三年費やしたことを説明。秘密保護法が民間人に刑事罰を科し、政府の不正を秘密にしてはならないという要件や内部告発者の保護などが明確でない欠点を指摘し
【高野遼】海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」乗組員の自殺に絡み、「いじめを示す調査文書が隠されている」と内部告発した3等海佐(46)に対し、海自が懲戒処分の手続きを始めた。遺族らに「捨てた」としていた海自は告発後、原本が見つかったと謝罪していた。特定秘密保護法で行政機関の情報隠しが懸念される中、秘密でもない文書への内部告発まで萎縮させる隠蔽(いんぺい)体質が、改めて浮かび上がった。 3佐は2008年の告発時、調査の関連文書のコピーを証拠として自宅に保管していた。海自はこれを規律違反だと主張。3佐は「正当な目的であり、違反にあたらない」と争う構えだ。内閣府の審査会は今年10月、「不都合な事実を隠蔽しようとする傾向がある」と海自の姿勢を厳しく批判。海自の現役事務官も、遺族が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟で「上司から文書を『捨てろ』と命じられた」とする陳述書を提出している。 海自は乗組員が04年
国会で審議中の秘密保護法案への不安や懸念が今、国民のあいだに急速に広がっています。それは、法案が国民の目、耳、口をふさぎ、憲法が保障する基本的人権をじゅうりんする「新しい治安維持法」(日本共産党の志位和夫委員長)であることが明らかになってきたからです。矛先は国民全体に向けられています。与党は26日にも採決を狙いますが、法案はきっぱり廃案にする以外にありません。 知らぬ間に…逮捕 政府は、この法案を公務員から秘密が漏れることを防ぐためのものと説明します。しかし、処罰や捜査の対象は、公務員とその周りの人に限定されていません。政府も国会答弁で広く国民が処罰されることを認めています。 秘密を知ろうと話し合ったり(共謀)、他人に勧めたり(教唆)、大勢の人に呼びかけたり(扇動)するだけで処罰できるしくみだからです。 最大の問題は、そもそも国民には「何が秘密かもヒミツ」ということ。 事故が心配で原発のこ
平成25年11月21日 東京電力株式会社 11月18日より、福島第一原子力発電所4号機使用済燃料プールからの燃料取り出し作業を開始しておりますが、本日(11月21日)実施致しました4号機原子炉建屋から共用プール建屋への構内輸送に関しまして、一部の報道機関より空撮映像が放映・掲載されております。 これらの放映された映像の中には、原子炉等規制法に定められる「特定核燃料物質の防護のために講ずべき措置」に抵触する事項(輸送の日程、輸送の経路、警備員の行動など)が含まれていたことから、規制当局からも指導がありました。 再三お願いをしているところですが、今回のキャスクの輸送状況はもとより、核物質防護上、建屋の出入口、フェンス、センサー、カメラなどの核物質防護設備を望遠カメラ等で撮影をすることはご遠慮いただきますようお願いいたします。 *核物質防護:核物質の盗取又は不法移転、及び個人又は集団による原子力
10月31日の秋の園遊会で天皇陛下に手紙を渡した山本太郎参院議員(無所属)に対し、1日、議員辞職を求める声が相次いだ。自民党の脇雅史参院幹事長は党役員連絡会で「憲法違反は明確だ。二度とこういう事が起こらないように本人が責任をとるべきだ」と要求した。 下村博文文部科学相も「議員辞職ものだ。これを認めれば、いろんな行事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる。政治利用そのもので、(足尾銅山鉱毒事件で明治天皇に直訴を試みた)田中正造に匹敵する」と批判した。 公明党の井上義久幹事長は「極めて配慮にかけた行為ではないかと思う」と述べた。同党の太田昭宏国土交通相も「国会議員が踏まえるべき良識、常識がある。不適切な行動だ」と批判。古屋圭司国家公安委員長は「国会議員として常軌を逸した行動だ。国民の多くが怒りを込めて思っているのではないか」と資質を問題視した。田村憲久厚生労働相は「適切かどうかは常識に照
安倍晋三政権が15日召集の臨時国会に、「国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案」と「秘密保護法案」を提出、一体で成立させようとしています。日本版NSC法案は前国会からの継続扱いで、秘密保護法案は公明党の同意を得て提出されますが、政府・自民党は両法案の審議のため特別委員会を設置、成立を急ぐ構えで、事態は重大な局面を迎えています。 アメリカの狙いどおり 日本版NSC設置法案は、外交・安全保障政策の「司令塔」として「日常的・機動的」に活動するために、首相、官房長官、外務、防衛両相の「4大臣会合」を設置し、官邸に安保担当の補佐官や「国家安全保障局」を置いて、各省庁の情報を集中させます。現在の「安全保障会議」も「国防」や「重大緊急事態」に対処する機能をもっていますが、アメリカのNSCをまねてつくる日本版NSCは、首相がより幅広く機動的にことを進めようというものです。いわば戦前の戦争を指導した「大本
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