安倍晋三首相は日本が集団的自衛権を使えるようにするため、行使を限定することで公明党の理解を求め、閣議決定する構えでいる。限定するという手法で実際に歯止めが利くのかどうか。集団的自衛権をめぐる海外の事例のうち、ドイツの経緯を追った。 1990年代に専守防衛の方針を変更し、安倍首相がやろうとしている解釈改憲の手法で北大西洋条約機構(NATO)の域外派兵に乗り出したドイツは、昨年10月に撤退したアフガニスタンに絡んで計55人の犠牲者を出した。アフガンでは後方支援に限定した派兵だったが、戦闘に巻き込まれた死亡例が6割あった。 「後方での治安維持や復興支援のはずが、毎日のように戦闘に巻き込まれた。当初の想定と実態が次第にかけ離れていった」。アフガンに駐留した独軍幹部はこう振り返る。
麻生太郎副総理は29日、派閥の会合のあいさつで、集団的自衛権の行使について「60年間、洗脳されている。色々な意味で逆の方向に誘導されている」と語った。60年前の1954年は自衛隊が発足した年。「集団的自衛権は保有するが行使できない」とする政府見解で、自衛隊の活動に制約がかかってきたことを指摘した発言とみられる。 麻生氏は「自分の国は自分で守る。自分のことは自分でやる。お巡りさんも消防士も自衛隊も、いざという時のためにいるということを頭に入れておかねばならない」とも主張。 麻生氏の発言は「歴代政権も洗脳されてきた」とも受け止められる。行使を認めない見解は、麻生首相時代も含め、歴代の自民党政権が踏襲してきた。行使容認に慎重な公明党はこの見解を支持しており、与党協議に影響を与える可能性もある。
【ハーグ=宮下日出男】安倍晋三首相は25日夜(日本時間26日未明)、米国のオバマ大統領、韓国の朴槿恵大統領との3者会談をオランダ・ハーグの在オランダ米国大使公邸で行った。安倍首相と朴大統領の正式な会談は初めて。会談は約45分間。慰安婦や歴史認識の問題への言及はなく、首相は冒頭、「お会いできてうれしい」と韓国語で朴大統領にあいさつし、両首脳は会談後には握手を交わした。会談では、北朝鮮問題を中心とした東アジアの安全保障について、3カ国が一層緊密に連携していく重要性を確認した。 オバマ大統領は冒頭、「韓国と日本は米国の世界で最も緊密な同盟国の2つだ」と述べ、北朝鮮問題で3カ国が連携する重要性を強調。朴大統領は「北朝鮮のいろいろな動きを受け、3カ国のより緊密な協力の必要性が高まってきた」と応じ、首相も「日米韓の緊密な連携を確認することは極めて重要だ」と指摘した。 3首脳は北朝鮮の非核化の実現には、
自民党は党大会を開き、政府与党が一体となって、4月の消費税率の引き上げに伴う景気の落ち込みを緩和しデフレ脱却に取り組むことや、国民との対話を通じて党の憲法改正草案に対する理解を求めていくなどとした、ことしの運動方針を採択しました。 この中で安倍総理大臣は、「おととし日本を覆っていた厚く黒い雲を吹っ飛ばすことができた。ここからが正念場で、景気回復の暖かい風を全国津々浦々まで届けることが課題だ。企業収益の改善を賃金の上昇に結び付けていく必要があり、景気の好循環を作らなければならない」と強調しました。 そのうえで安倍総理大臣は、ことし4月の消費税率の引き上げに関連し、「消費税率の引き上げの影響を緩和し、7月からは現在の成長軌道に戻すことができるよう、5.5兆円の経済対策と1兆円の税制対策を行う。経済成長と財政の健全化を同時に達成するのはこの道しかない」と述べました。 また、安倍総理大臣は特定秘密
■■■■■■ IWJには、ご寄付・カンパをいただいた方々より、たくさんの応援のメッセージが届いています。感謝を込めて、その一部をここにご紹介いたします。 ■■■■■■ 特にウクライナ戦争のとらえ方が、日本政府とマスメディアは「プーチン悪者ゼレンスキー正義」と一方的にみていることに怒っています。IWJの真実を追求する姿勢に賛同しています。(オカダ トモコ 様) いつも貴重な分析記事を提供していただき、ありがとうございます。 「IWJ号外」ミアシャイマー教授のウクライナ紛争の分析記事、「日刊IWJガイド」のスコット・リッター氏の分析記事、どちらも興味深く、しっかり読ませてもらいました。 両者の分析記事とともにすぐ思い浮かぶのは、最近行われたウクライナ国防相の更迭、ゼレンスキーを大統領に押し上げたコロモイスキーとの決裂、更にウクライナ全国の徴兵事務所責任者の大量解雇。 こうしたことを踏まえるとキ
自民、公明両党は10日、政府の外交・安全保障政策の指針となる国家安全保障戦略(NSS)に、「愛国心」を明記する方針を了承した。国の安全保障政策が、個人の心の領域に踏み込むことにつながり、論議を呼びそうだ。 政府がこの日の与党・安全保障に関するプロジェクトチーム(PT)にNSSの政府案を提示。その中で、国家安全保障を支える社会的基盤を強化する目的として、「国を愛する心を育む」と記した。 これに対し公明党は、2006年の第1次安倍内閣下で成立した改正教育基本法に基づき、「我が国と郷土を愛する態度を養う」とするよう求めた。そのため「愛国心」に関する記述をすることは確認。具体的な表現ぶりについては、今後政府と公明党とで調整したうえで、17日をめどにNSSと防衛大綱を閣議決定することを了承した。
モートン・ハルペリン氏(米財団オープン・ソサエティー提供・共同) 米国の核戦略の専門家で国防総省や国家安全保障会議(NSC)の高官を務めたモートン・ハルペリン氏(75)は日本の特定秘密保護法案について、政府の裁量が広すぎ、知る権利と秘密保護のバランスを定めた国際基準を逸脱していると批判した。過剰な秘密指定は政府自体も管理が困難になると指摘した。(ニューヨーク共同=沢康臣) ―法案の問題は。 「世界の基本原則では、政府が持つ情報はその国の市民のものだ。安全保障など特別な目的で情報の秘匿は可能だが、非常に狭く精密な限定をかけねばならない」 「運用には司法の監視が必要で、開示による公益が勝る場合は秘密にできないという決まりも要る。法案にそれらの規定が全くない。秘密指定が解けた後に廃棄されれば『情報の所有者は国民』の原則に反する」 ―これらの考えは今年6月公表の「国家安全保障と情報への権利に関する
韓国政府は空軍の次期戦闘機について、ステルス性能に優れ北朝鮮の脅威への対応能力が高いとして、日本と同じF35を導入することを事実上決めました。 次期戦闘機の選定作業を行ってきた韓国政府は、アメリカ製の「F15SE」と、アメリカなど9か国が共同で開発を進めている「F35」、ヨーロッパの4か国が共同開発した「ユーロファイター」の3機種のうち、「F15SE」をいったんは最終候補としましたが、ことし9月の最終段階で採用せず、選定作業をやり直す異例の事態となっていました。 これについて韓国軍の合同参謀本部は22日、会議を行い、次期戦闘機は高いステルス性能を備えたものにすることを決め、事実上F35が導入されることになりました。 その理由について韓国国防省は、北朝鮮の核やミサイルによる攻撃が差し迫った際に、これを阻止するために北朝鮮に入り込み、先制攻撃を行う能力が必要なことなどを挙げています。 導入は当
安倍総理大臣は参議院の特別委員会で、「特定秘密保護法案」で指定する「特定秘密」について、「一般の国民が知ることはまずありえない」と述べ、一般の国民が漏えいなどで罰せられる事態は通常起こりえないという認識を示しました。 この中で安倍総理大臣は、政府の外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議を創設するための法案に関連して、「会議の記録の残し方としてどのような方法があるか検討しなければならないが、すべて公表するかどうかについては、他国に関する議論そのものが安全保障の根幹に関わり、他国との外交関係を毀損する可能性もある」と述べました。 そのうえで、安倍総理大臣は「ある国が、同盟国である日本に出してくれた情報を基に議論することもあり、情報公開が前提であれば、情報を提供してもらうことも難しくなることも含めて、よく検討する必要がある」と述べ、公表を前提とした議事録などの作成に慎重な姿勢を示しまし
自民党の石破幹事長は東京都内で記者団に対し「原発の再稼働がよくて新設がだめだという話は成り立たない」と述べ、安全性の確保を前提に、今後、原発の新設を検討することもありうるという認識を示しました。 この中で石破幹事長は、今後のエネルギー政策について「まずは今ある原発の安全・安心を確保したうえで、再稼働することからやっていかなければならないが、再生可能エネルギーの比率が上がっても、エネルギーの安全保障の観点から原発を新設することは全面否定しない」と述べました。 そのうえで石破氏は「福島での事故を踏まえて、さらに安全性の高い原発が可能になれば新設ということになる。『再稼働がよくて新設がだめだ』というのは、理論的には成り立たない話だ」と述べ、安全性の確保を前提に、今後、原発の新設を検討することもありうるという認識を示しました。 また石破氏は、高レベル放射性廃棄物の最終処分場について「『建設したい所
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