「科学技術大国」中国の真実 (講談社現代新書) 伊佐 進一 中国の科学政策・研究現場の強みと弱み。それに日本の科学界がどうつきあうべきか。恐れてばかりいるのではなく、日本は中国とお互い弱い部分を補完しあい、よきパートナーになれる可能性があると著者は主張する。 著者・伊佐進一氏は東大工学部を出て科学技術庁に入った後、ジョンズ・ホプキンス大大学院で中国研究をした後に自ら希望して中国大使館に3年間駐在した中国通。今は文科省で働くいわゆる官僚、官僚のなかにもこういう人がいるのだなと思いつつ読んだ。理論上の研究をした後に現場を見た方だけあって、臨場感に富んだ筆致で書かれている。現地での面白いエピソードもそこかしこに散りばめられていた。 「日中の協カプロジェクトを、より拡大していきましょう」という中国人に対して、何度、「日本はお金がないから……」と言ったかわからない。「政府が決断すれば、お金なんて後か