シンポジウム「公共図書館の地域資料サービス」<報告> 実践女子大学短期大学部・橋詰秋子(はしづめあきこ) 2023年9月30日、実践女子大学においてシンポジウム「公共図書館の地域資料サービス:日野市立図書館の実践から考える」が開催された。東京都の日野市立図書館(以下「日野」)は地域資料サービスに力を入れてきた図書館として著名で、当日は遠方からの参加者も目立った。 シンポジウムでは、第一部として登壇者3人の講演および事例報告を、第二部としてパネルディスカッションを行った。本稿では、シンポジウムの主な内容を報告する。 最初の登壇者である蛭田廣一氏(元小平市立中央図書館長)は、自身の著書に基づいて、公共図書館における地域資料サービスの現状を述べた。地域資料とは、「当該地域を総合的かつ相対的に把握するための資料群で、地域に関する全ての資料および地域で発生するすべての資料」を指す(『地域資料入門』)