2009年4月から1年間、京都新聞市民版で連載した「中村武生さんとあるく洛中洛外」。京都在住の歴史地理史学者の中村武生さんが、京都のまちに残る秘められた歴史の痕跡を紹介する内容だった。連載当時、中村さんと京都のまちを歩いた担当記者が、今度は一人でもう一度、興味のむくままに歩いてみた。 前回の記事はこちら 駒札が好きなんです 先日、いつものように京の街をふらふらと歩いていると、新町通の蛸薬師下ルあたりに駒札を見つけました。駒札というのは、旧所・旧跡に建てられている将棋の駒の形をした札のこと。京都市内には、行政や企業、自治会や市民団体などが地域の歴史を伝えるために建立し、石碑などとともに、頻繁に目にすることができます。 はて、あんなところにあったやろかいな、と思い、近寄ってよく見ると、織豊期から江戸初期にかけて活躍した豪商・茶屋四郎次郎の屋敷跡でした。4月2日に放送されたNHK大河ドラマ「どう