世田谷区は二〇一六年から世田谷区史編さん事業を開始し、原始・古代から近現代にわたる史料の収集・調査にあたってきました。ところが、二〇二二年、執筆の段階になって突如、委員(歴史学者)に対し「著作者人格権の不行使」を求め、承諾しなければ編さん委員としての委嘱を打ち切ると通告してきました。私たち出版産業で働くフリーランスの組合であるユニオン出版ネットワークは、この「著作者人格権の不行使」要求に強く抗議します。 区史は歴史研究の成果にもとづいて編さんされる公的刊行物です。世田谷区史も「最新の(研究)成果を盛り込んで編さんする」「各分野の専門家の執筆による、学術的に高い水準を保ちながら、なるべく平易な文章で区民に分かりやすく、読みやすい区史を編さんする」ことを編さんの基本方針としています(「新たな世田谷区史編さんの基本的な考え方について」)。 そのためには、学問の担い手である各分野の専門家(執筆者)