忘れもしないが、社会人になって初めてやった仕事は、LNGタンクの容量計算だった。プラントのタンク容量というのは化学工学的計算で決めるのだろうと思っていた私に、与えられたのは意外にも乱数シミュレーション・ツールだった。今ならPC上のダイナミック・シミュレータを使うところだが、当時はまだホストコンピュータ上で動く手作りプログラムだった。 LNG、すなわち液化天然ガスは、産出国で液化したものをLNGタンカーという極低温・高圧に耐える特殊な船に積んで、日本などの消費地に輸送する。このタンカーは数台が定期的に産地と消費地を往復するのだが、気候条件などでどうしても積み出しスケジュールに変動が出る。この変動を吸収できるだけの製品在庫量=すなわちタンク容量を求めるのが私の仕事だったのだ。 ここで私はごく初歩的なな法則を学んだ。製品の在庫量は、プラントだけの都合では決められない、ということだ。供給側が連続生