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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (33)

  • 活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書

    ヴィクトリア朝時代のインターネット (ハヤカワ文庫NF) 作者:トム スタンデージ早川書房Amazon約200年前の19世紀。科学は未発達で、現在は一般的なものが存在しない時代だ。抗生物質はみつかっていないし(抗生物質は20世紀)、ライト兄弟が飛行を成功させたのも1903年のこと。しかしヴィクトリア朝時代には「インターネット」はあったのだ──というのが、書『ヴィクトリア朝時代のインターネット』の主張である。 いくらなんでもヴィクトリア朝時代(一般的に、ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間を指す)にインターネットはないでしょと思うだろうし、実際現在と同じようなインターネットは存在しない。しかし19世紀には「電信」が存在し、それは現在のインターネットと同じものとして機能していた。都市間、国家間にケーブルを張り巡らせることで、今のインターネッ

    活版印刷以来の最大の革命を引き起こした、現代のインターネットともいえる「電信」の誕生──『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 - 基本読書
  • 今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する。 - 基本読書

    今年おもしろかったを一気に紹介します。大きめの書店が次々閉店し、人手不足や配送の問題もあって出版的には厳しい時期が続くがおもしろいは依然として絶えない。あとゲームもいっぱいやったので、だけでなくゲームも合わせて振り返っていこう。いつもは長くても5000文字ぐらいだが、今回は試しに合計1万文字以上書いてみたので、よかったら目次から興味あるやつにとんで読んでみてください。 SFを紹介する キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』 N・K・ジェミシン『輝石の空』 ローラン・ビネ『文明交錯』 シーラン・ジェイ・ジャオ『鋼鉄紅女』 ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』 『宇宙の果ての屋』 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』 酉島伝法『奏で手のヌフレツン』 川端裕人『ドードー鳥と孤独鳥』 斜線

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    toya
    toya 2023/12/29
  • 仕事ごときで燃え尽きてしまわないために、何をすればいいのか──『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』 - 基本読書

    なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか 作者:ジョナサン マレシック青土社Amazonこの『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』は、日語では燃え尽き症候群、英語ではバーンアウトと言われたりする症状──それまで熱心に仕事をしていた人が、やる気を失ってしまうなど──について書かれた一冊である。 著者のジョナサン・マレシックはもともと大学の神学教授で終身在職権も獲得した、一般的には「勝ち組」と言われそうなステータスのある状況にいた人物だが、彼自身が燃え尽き症候群に陥り、仕事どころではなくなってしまう。 書は、彼のそうした実体験も合わせながら、燃え尽き症候群とはじっさいに何なのか、どのように定義できるのか。また、われわれは今後燃え尽き症候群に陥らないように、どう対策をうっていけばいいのかについて語っている。僕自身は仕事をしていて燃え尽き症候群といえるような状態に陥ったことは一度もないが、周りには幾人も

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  • 東京創元社のSF小説50%割引の電子書籍セールがきたので、オススメを紹介する - 基本読書

    創元SF文庫が創刊60周年ということで、創元SF文庫総解説などいろいろな企画が動いている。その流れのひとつで、ゴールデンウィークに合わせて創元SF文庫作品が中心にKindleで50%オフセールがはじまっているので、今回は僕の個人的なオススメを中心に紹介していきたい。このブログでは早川書房セールはよく紹介しているけど東京創元社セールの紹介ははじめてなので、掘り出し物もあるだろう。 Amazon.co.jp: 東京創元社: Kindleストア まずは豊富な海外のテーマ・アンソロジーから スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選 (創元SF文庫) 作者:ケン・リュウ,桜坂 洋,アンディ・ウィアー,デヴィッド・バー・カートリー,ホリー・ブラック,チャールズ・ユウ,チャーリー・ジェーン・アンダース,ダニエル・H・ウィルソン,ミッキー・ニールソン,ショーナン・マグワイア,ヒュー・ハウイー,コリ

    東京創元社のSF小説50%割引の電子書籍セールがきたので、オススメを紹介する - 基本読書
  • 本が刊行されたので「レビューを本業にしようと思いませんか?」などいろんな質問に答える - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon はじめに 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』というを3月の頭に出したので、今回はそれに関連してQAでも書こうかと思って募集した質問に答えていく回です。ただ、別にに限った質問を募集したわけではないので大半はそれ以外の質問&回答になります。類似の質問もあったのでそういうのはまとめて回答。 質問と回答 読書に集中する第一のコツはもちろん気合だが、あともうひとつ重要なのは「おもしろいと思えるを読むこと」になる。つまらない授業を聞いているのが退屈なように、つまらねえなあ〜〜〜と思うを集中して読むのは難しい。 無数の理由があるけど今のところはレビューを業にしようとは思わないかなあ。業のプログラマー仕事も楽しいし、レビューを一日中書いていたらと思うと気が滅入りそうだ。

    本が刊行されたので「レビューを本業にしようと思いませんか?」などいろんな質問に答える - 基本読書
    toya
    toya 2023/03/11
  • 兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazon明日3月1日に『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という僕の初の単著が出るのだけど、これをPRするために(すでに書いた内容紹介文とはべつに)何か書きたいなということで兼業ライターの苦しみと喜びについて書いてみよう。初の単著、書くのは楽しい経験だったが、業を別に持つ人間として、時間的制約など大変な面も多かった。そのあたりは話としておもしろいのではないか。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 最初に個人的な情報を明かしておくと、僕は都内のWeb系企業でプログラマとして働く30代の男性である。プログラマは23歳の新卒の時からずっとそうで、時によって正社員だったりフリーランスだったりと転身を繰り広げ、休止期間も時にはさみながらブログや原稿を書いてきた。転職

    兼業ライターの苦しみと喜びについて語る - 基本読書
  • 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』というをダイヤモンド社から刊行することになったので、その告知文を下記につらつらと書いていきます。このブログの読者にはまず楽しんでもらえる内容なので、ぜひ告知分だけでも読んでいってください。 の外観。440ページ超えなのでけっこう分厚い SF超入門とは何なのか 「SF超入門」と銘打っているわけなので、当然SFに入門するためのになる。歴史や作家など入門といっても無数の入り口があるわけだけれども、今回はいわゆるSF小説のガイド的な内容になっている。ただ、「SF初心者はこれを読め!」といって初心者向けを語る、ガイド記事を拡張した内容とは異なるアプローチでを選んでいる。 たとえば

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    toya 2023/02/18
  • われわれは運動をするために進化してきたわけではない──『運動の神話』 - 基本読書

    運動の神話 上 作者:ダニエル E リーバーマン早川書房Amazonこの『運動の神話』は、『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』などの著作や、身体活動に関する研究で知られる人類学者ダニエル・E・リーバーマンによる、運動についてのノンフィクションである。書名に「運動の神話」とついているのは、書が運動にまつわる神話とその実態を紐解いていくだからだ。 たとえば、運動の神話のひとつに「私たちは運動をしたがって当然だ」というものがある。われわれはもともと狩猟採集民で、日頃ずっと歩いたり走ったりと身体活動が活発な状態にあったわけだから、体を動かすのが当然なのだと。そうやって運動を推奨し、運動は薬だ、老化と死期を遅らせる魔法の薬だ、と吹聴しつづける人たちもいるが、著者はそうした人たちのことを”エクサシスト”(exercist)と呼んでいる。 運動なんてしたくなくて当然だ 実際のわれわれは

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    toya 2023/01/25
  • 所有は人を幸福にするか?──『人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念』 - 基本読書

    人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念 作者:ブルース・フッド白揚社Amazon人間にとって「所有」とは重要な概念だ。何一つ持たずに暮らしている人などそうそういるはずもないし、年末年始には毎年何を買って(所有して)良かったのかの振り返りが上がる。車や家など、所有がそのまま人生やその人の価値観や立場をあらわすステータス、象徴になるものも多い。所有しているものは自分の一部なのである。 われわれは新しいモノを買って所有しても、次はさらにもっと良いものを所有できないかと考える。その欲求には終わりがない。モノを所有することで、人はそれが奪われたり損なわれたりするのを恐れるようになり、行動に歪みが出ることもある。 モノを所有することで幸せになれると私たちは考える。だがむしろ、所有によってかえって惨めさが増すことも少なくない。富の蓄積にやっきになった一生をふり返り、「ああ、いい人生

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    toya 2023/01/08
  • 2022年のおもしろかった本などを振り返る - 基本読書

    ぼんやりしてたら2022年が終わってしまったが、振り返らないよりはマシだと信じて今からおもしろかったなど振り返ろう。今年もアニメ、小説、ノンフィクション、ゲーム……あらゆる媒体でおもしろい作品がいっぱいあった。そのすべてを取り上げることは不可能だけれど、この記事で思うがままに触れていきたい。 小説など(主にSF) プロトコル・オブ・ヒューマニティ 作者:長谷 敏司早川書房Amazon読んだ小説の大半はSFなのでSFの話をするが、最初に触れておきたいのは、最先端テクノロジーとその倫理・社会的課題を描き出してきた長谷敏司が、人工知能✗ダンスをテーマに描き出した長篇『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』だ。事故によって右足を切断することになったプロのダンサーが、AI搭載の義足を使い、AIと人間の新しい”共生のかたち”を模索していく。著者自身の介護体験も織り込まれた、最先端の壮絶な物語。今年の小説

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    toya
    toya 2023/01/01
  • 人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』 - 基本読書

    脳の地図を書き換える: 神経科学の冒険 作者:デイヴィッド・イーグルマン,David Eagleman早川書房Amazonこの『脳の地図を書き換える』は、『あなたの知らない脳――意識は傍観者である』など一般向けの脳神経科学の著者として知られるデイヴィッド・イーグルマンの最新邦訳作である。彼はスタンフォード大学で「脳の可塑性」を教えている神経科学者で、書もその可塑性──脳が柔軟に変化していく能力──がテーマとなっている。 近年、脳には驚異的に変化していく力があることがわかってきた。たとえば複雑な道を隅々まで覚える必要があるロンドンのタクシー運転手は空間認識に関係する脳の海馬の容量が大きくなることがMRIでわかったが、それと同じことが、脳のあらゆる領域と能力にまたがって起こっているのだ。書が追求していくのは、そうした脳の可塑性の実態と、脳を超えて実社会に応用する可能性についてである。 デ

    人間の脳が片方失われてもほぼ正常に機能するのはなぜなのか──『脳の地図を書き換える 神経科学の冒険』 - 基本読書
    toya
    toya 2022/06/11
  • 2021年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

    2021年も終わろうとしているので、今年刊行されたの中でも特におもしろかった・記憶に残ったノンフィクションを振り返っていこうかと。昨年に引き続き今年もの雑誌の新刊ノンフィクションガイドを担当していたので、冊数はノンフィクションだけで200冊ぐらいは(数えているわけではないけど)読んでいるはず。 とはいえ、無限にピックアップしても仕方ないので、10冊目安に紹介していこう。 まずは科学書から 彼らはどこにいるのか 地球外知的生命をめぐる最新科学 作者:キース・クーパー河出書房新社Amazon科学系のノンフィクションの中でも宇宙系から取り上げていくと、まず紹介したいのはキース・クーパーによる『彼らはどこにいるのか: 地球外知的生命をめぐる最新科学』。今年は中国最大のファーストコンタクトSF『三体』三部作が完結し、年末に邦訳が刊行されたアンディ・ウィアー最新作もファーストコンタクトSFの傑作で

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    toya 2021/12/22
  • 映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書

    映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術 作者:スティーヴ・ハルフィッシュ発売日: 2021/01/21メディア: 単行『映像編集の技法』は映像編集技師であるスティーヴ・ハルフィッシュが、スターウォーズにシビル・ウォーなど大作映画から『ブレイキング・バッド』のようなドラマの担当まで、50人以上の映像編集者へのインタビューをまとめた一冊である。 映像編集といっても体験したことがないと想像しづらいだろう。たとえば、一映画では当然映像は一繋がりの一しかないが、撮影時には何回も同じシーンも撮りなおし、カメラも複数台存在する。そうなったら、上がってきた映像や複数あるカットの中から、最適なものを選びとっていかなければならない。複数のテイクにいい演技が分散していたら、それをつなぎ合わせることもあるし、台詞の間をほんの一瞬切り詰めることで印象を大きく変えたり、映像の時間の流れをコントロー

    映像だけではなく文章に関わる人にもおすすめしたい、「編集」の難しさと楽しさについての絶品!──『映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術』 - 基本読書
  • 認知科学の観点からいえる、最強の英語学習法──『英語独習法』 - 基本読書

    英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860) 作者:今井 むつみ発売日: 2020/12/19メディア: 新書この『英語独習法』は、認知科学や発達心理学を専門とする今井むつみによる、認知科学の観点から考えた最強の英語学習について書かれた一冊である。『「わかりやすく教えれば、教えた内容が学び手の脳に移植されて定着する」という考えは幻想であることは認知心理学の常識なのである。』といったり、多読がそこまで良くはない理由を解説したり、一般的に良しとされる学習法から離れたやり方を語っている。 特徴としては、「何が合理的な学習方法なのか」を披露するだけではなく、「なぜそれが合理的なのか」という根拠を説明しているところにある。だから、これを読んだらなぜ一般的な英単語の学習法(たとえば、英単語と日語の意味を両方セットで暗記していく)が成果を上げないのか、その理屈がわかるはずだ。認知科学のバックボーンから出

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  • 東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 - 基本読書

    ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる (中公新書ラクレ) 作者:東浩紀発売日: 2020/12/11メディア: Kindle版この『ゲンロン戦記』は、ゲンロンという、SF作家養成や批評家養成スクールを開いたり、批評家や作家や哲学者らの対談イベントを自前のカフェで開いたり配信したりして利益を出している小さな会社を経営していた東浩紀氏の自伝的奮闘記である。経営であるというと基的には大成功を収めた人がその華々しい経歴やその経営哲学を語るものだが、作で描かれていくのは無残な失敗の連続だ。 それも、「それならしょうがねえよな」と同情してしまう失敗、というより理念や理想が先行してそのうえ行動力も伴っているがゆえに実態がまるで追いつかず、「そんなことやっているんですか……」と絶句してしまうような失敗が多。それを真摯に反省し、なんとかしようと奮闘し、また同じような失敗をして落ち込む……という繰り返しが

    東浩紀による自伝的経営奮闘記──『ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる』 - 基本読書
    toya
    toya 2021/01/13
  • 書評・感想記事の書き方について - 基本読書

    なんとなく、一度僕の書評・感想記事の書き方についてまとめておこうかと思った。先日下記のようなブログに関する記事を寄稿したところ、幾人かがこれに触発されてブログを書いてくれたようで、個人的に嬉しかったから、というのが大きい。 blog.hatenablog.com 書評(でも感想でもなんでもいいんだが)の書き方の正解を教えるとかそういうわけではなく、単純に僕がどうやって記事を書いているのか、書くときに何を考えているのか、ということの簡単なまとめである。人によって感想ブログといっても書き方は全然違うはずで、書き方の違いを見比べてみるのもおもしろいんじゃないか。 手順 当たり前だが一度通読する。その時点でブログに書くかどうかを検討して(書かないことも多い。あまりおもしろくないな、と思ったり、おもしろいと思ってもタイミングを逃すこともあるし、書きづらくてスルーしてしまうこともある)、載せる、となっ

    書評・感想記事の書き方について - 基本読書
  • 集団戦バトル漫画の傑作──『鬼滅の刃』 - 基本読書

    鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) 作者:吾峠呼世晴発売日: 2016/06/17メディア: Kindle版『鬼滅の刃』が全23巻で完結した。僕はもともと熱心な鬼滅ファンというわけでもなんでもなく、映画が大ヒットした後あたりからそんなにヒットしてるならさすがに読んでみるか〜といって完全なるミーハー心で読み始めた読者である。だがしかし、読んでみたら事前に期待していた何倍もおもしろくて、途中で我慢できずジャンプで最終話まで一気読みだった。最終巻も出ることだし、一度自分が何をおもしろいと思ったのかを(こんだけの話題作だけど)自分なりに言語化しておきたい、と思った。 集団戦バトル漫画の傑作 僕が『鬼滅の刃』を読む前にいだいていたイメージって読み終わった後に抱いていたイメージと異なる部分があるので、そうした勘違いをしている人に向けてちゃんと紹介しておきたい、という気持ちもある。たとえ

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    toya 2020/12/06
  • 学びだけでなく行動すること、挑戦することをあきらめたくない人へ──『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』 - 基本読書

    独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 作者:読書猿発売日: 2020/09/29メディア: 単行(ソフトカバー)『独学大全』は、ネット上の書き手として、そして『アイデア大全』、『問題解決大全』で大きく話題になった読書猿による三作目の著作である。大全が続いているように、ワン・テーマ、ワン・イシューをおいてそこについて非常に幅の広い知識・知見・歴史を投入して、情報量で読者を圧倒してくるタイプの、書き手といえる。 で、三作目のテーマは「独学」だ。これまでの作品の中でも最も分厚い圧巻の750ページ(30ページ以上の注釈を入れると800ページ近い)。ページ数をみて、分厚いと思っても手に取るまで実感がなかったのだが、実際に届いて手にとってみると、ヒクぐらい厚い。500ページを超えるようなの場合上下になるものだけど、この場合は「大全」であり、「事典」であるから、あえ

    学びだけでなく行動すること、挑戦することをあきらめたくない人へ──『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』 - 基本読書
  • 自炊観の変遷 - 基本読書

    普段についてばかり書いているこのブログだが今日は一人暮らしの自炊について書いてみたい。これは自炊を勧める文章ではなく、ただ自分の自炊の解像度が数年前からあがったので、それについていま、何を考えているかの覚え書きである。たとえば、どこからどこまでが自炊なのか。僕が自炊を格的に始める前(コンビニでサラダばかりっていた頃)は、その言葉について深く考えたことはなかった。料理ができるような設備の家ではなかったので、選択肢に上がらなかったことも大きい。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 当時僕(自炊をする前)の自炊の認識とは「面倒くさいもの」「大変なもの」というざっくりとしたものであった。野菜や肉などの買い出しにいかないといけないし、べれば洗わなければいけないのだろうと思っていた。油とかいろいろ用意しないといけないっぽいし、何より自炊をしはじめたら材料を期限内に使い切る

    自炊観の変遷 - 基本読書
  • 『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集──『人間たちの話』 - 基本読書

    人間たちの話 (ハヤカワ文庫JA) 作者:柞刈 湯葉発売日: 2020/03/18メディア: 文庫『横浜SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集がこの『人間たちの話』である。小説はだいたい人間の話をするものだから「人間たちの話」と題がついている──わけではなく、書の中で唯一描き下ろしされている短篇が表題作となっているのだ。で、この表題作は当然今回始めて読んだんだけどこれがまたすごくて──と、詳細はのちに譲るが、柞刈湯葉という作家の無数の側面を堪能できる短篇集が揃っている。 横浜駅が改築を繰り返していって次第に自己増殖し日中を覆い尽くすまでになったら──を椎名誠✕BLAME!的に描き出した『横浜SF』。地球が膨張して東京↔大阪間が5000kmもある特殊な日でのぐだぐだな大学生活を描いた『重力アルケミック』。ほとんどの人間はもはや働く必要がなくなった未来でほとんど趣味として職安をやってい

    『横浜駅SF』の柞刈湯葉による初のSF短篇集──『人間たちの話』 - 基本読書
    toya
    toya 2020/03/26