タイの洪水により、深刻な部品不足の影響が世界に広がっている。東日本大震災に続く試練に直面し、多くの企業が減産を迫られている。部品調達のリスクをどう回避するか。戦略見直しの動きが再燃しそうだ。 「この下期、タイの4輪車工場は、ほとんど稼働できないことになる」。10月31日の決算会見で、ホンダの池史彦専務は、悔しさを隠さなかった。 ホンダが4輪車の生産拠点を構えるアユタヤ県のロジャナ工業団地は浸水被害に遭い、現在も水位は2m程度ある。在庫や生産設備が水につかり、水が引いても設備の入れ替えなどに数カ月単位の時間が必要になる。再開のメドは全く立っていない。 東南アジアの主要生産拠点であるタイの操業停止で10万台超の影響が出る見通しだが、影響はこれだけにとどまらない。タイは部品の生産拠点であり、部品不足からマレーシア工場の生産が停止した。日本の工場は11月7日から減産し、米国・カナダの6工場は11月