大井川鉄道井川線終点の井川駅(静岡市葵区)で列車の入れ替え線として使われていた鉄道橋が今月上旬、解体、撤去された。約70年前に作られた銀色の鉄橋は、戦後の高度成長期の礎となった奥大井での電力開発を支えた建造物の一つ。関係者からは「無事に役目を終え、『お疲れさま』と言ってあげたい」との声も聞かれた。 井川線(通称・南アルプスあぷとライン)は、井川ダムや畑薙ダムなどの建設資材輸送用に中部電力が敷設し、1954年から運用を始めた。今月撤去されたのは、全長10メートルの「西山沢橋梁(きょうりょう)」。井川駅に隣接する県道の上をまたいで架けられていた。かつては資材を積んだ貨物列車が同橋梁を渡り、当時終点だった堂平駅へと向かった。 奥大井のダム開発が一段落した71年、井川線井川-堂平間の約1・1キロは廃止に。畑薙湖上流でダム建設が始まった86年に再び線路が整備され、95年ごろまで使われた。レールが残る