★(4) 「漁業者1人ひとりの声をうかがう機会がなかった。非常に申し訳ない」 沖縄県石垣市の八重山漁業協同組合で4月20日、水産庁の本川一善長官は陳謝した。日本と台湾の「漁業取り決め」が、八重山の漁業者の頭越しに締結されたのだ。尖閣諸島問題で、中国と台湾の共闘を封じるために政府が打った手だが、地元漁業者はマグロ好漁場を突然、台湾に奪われ、怒りが収まらない。 昨年9月、尖閣国有化に反発した台湾の漁船団約40隻と台湾の巡視船が領海侵犯した。尖閣周辺を航行する中国公船は台湾船を後方支援する動きを見せ、日本側を慌てさせた。 ただ、台湾の狙いは領有権というより漁業権の主張だ。中国とは違い妥協の余地がある。日本政府は台湾漁業者の不満を抑えるため、取り決め締結を急いだ。その結果、石垣島と尖閣の間にあるマグロ好漁場を、台湾漁船に無制限に開放したのだ。 ところが、地元漁業者は締結後に初めて取り決めの中身を知