当連載は、日本在住15年の〝職業はドイツ人〟ことマライ・メントラインさんが、日常のなかで気になる言葉を収集する新感覚日本語エッセイです。 名詞「外タレ」 「外タレ」とは「外国人タレント」の略称であるが、正式名称よりもモノゴトの本質ニュアンスを突いた単語という印象を受ける。その本質とは、 ・ちょっとやそっとでは真似のできない語学力 ・ちょっとやそっとでは真似のできない表現力 ・ちょっとやそっとでは真似のできないインチキくささ に対する羨望と揶揄のミックスだ。要するに、詐欺であることの証明が難しい詐欺師の一種みたいなものだけど、基本的に悪意はないのでそんなに嫌われていない、的なビミョーな存在である。いや、だったというべきか。 外タレという単語の浸透度は高いが、いま二〇二〇年代の日常会話で頻出するかといえばそうでもない。バブル期に発生したパワーワードが、時代の空気のマイルストーンとして現在なお一