日本海は、日本列島に接する小さな海ですが、大洋で見られる海洋大循環によく似た日本海独自の深層循環を持ち、表層には暖流と寒流が存在することなどから「ミニチュア大洋」とも呼ばれています。ミニチュアであるがゆえに外的要因に対する感受性が高く、近年の地球温暖化による変化もいち早く現れると考えられています。したがって、日本海をくまなく調査して監視を続ければ、温暖化の海洋環境への影響を早期に検出できる可能性があります。しかしながら、日本海は4か国に囲まれた“国境の海”であるために、全域にわたる調査研究には困難がつきまとい、全容解明には至らない状況でした。 冷戦が終結してソ連が崩壊した1990年代以降、日本の研究者を中心とした国際共同観測が実現し、日本海の海水循環や物質循環など海洋構造に関する様々な知見が得られました。そして、温暖化の影響により深海の海洋構造に変化が現れていることが明らかになってきました