ゴリラ研究の第一人者・山極寿一氏(右)と文字も暦も持たない狩猟採集民を研究する言語学者・伊藤雄馬氏 片や、霊長類学の大家。片や、30代の若手言語学者。世代も専門も違うふたりの研究者が対面した理由。それは、近い時期にそれぞれが、「言語の起源には踊りが関係する」という、一風変わった説を唱えていたことだ。そのワケを尋ねていくと、話は現代社会批評につながっていき――。 ゴリラ研究の第一人者・山極寿一(やまぎわ・じゅいち)氏と文字も暦も持たない狩猟採集民を研究する言語学者・伊藤雄馬(いとう・ゆうま)氏がたどり着いた大胆新説とは? ■ムラブリ語を話すと所作が変わる山極 伊藤さんは、言語学者......ですよね? しかもお若い。私は今71歳ですから、息子くらいの年齢だな。 伊藤 はい、そうです。雪駄(せった)に金髪でそうは見えないかもしれませんが、これでも僕が持っている中で一番きれいな服なんです(笑)。