色には意味がある。たとえば日本では、603年に聖徳太子が「冠位十二階」を設けたが、濃紫の冠をかぶることが許されたのは最高位の大臣や官吏だけだ。紫色は高貴な人の象徴だった。 色は、見る人に特定の印象を与える。たとえば赤は生肉、血、火を連想させる。 黄色のスーツを着てオフィスに行こうとしたら「ダメだ」と言われたことがきっかけで、色のコード(色彩が持つ意味合い)に取り憑かれた文化ジャーナリストのポール・シンプソン『色のコードを読む』(フィルムアート社)は、なぜその色がそのような意味を持ち、印象を与えるのか、人類は色をどのように扱い、理論化してきたのかを、生理学から歴史までを横断しながら教えてくれる。 ある色に対して生物としての人間が生理的に感じるもの+社会的に構築された意味づけ 色のコードを決める大きな要素はふたつある。 ひとつめは、人類が生物として生き残るために蓄積されてきた好悪だ。たとえば緑