「本の雑誌」4月号は、<短歌の春>という特集を組んだ。 表紙には、<百年で一番の「短歌の春」がやってくる!」>なんていう惹句もあって、何というか微笑ましい。 果たして、皆さんのまわりには今年、百年で一番の<短歌の春>はやってきたか? なんていう話題はさておくとして、その特集では、木下龍也、東直子、穂村弘の三氏による座談会が組まれている。そのなかの、穂村の次の発言に注目した。 文体が変わったことで、歌壇のシステムの全体が変わっていくんだということがだんだん可視化されてきている。今まではたとえば結社とか、ピラミッド型の教育システムだから、先生がいて上手な先輩がいて初心者がいて時間とともに少しずつ上達する、と。選ぶ人がいて添削してくださいみたいな世界だった。それはやっぱり文語が前提で成立していたからで、最初から口語でセンスがあれば書けるという話になると、その構造が崩壊する。 (「本の雑誌」202