ついつい思い出す不思議な先輩 師走になって、街は慌ただしい。 そして、この季節になるとFさんは先輩社員のNさんを思い出す。 Fさんは、大手メーカーの部長職だ。いまのポジションについて3年になり、たくさんの部下を率いる立場にいる。 サラリーマンとしては、十分に羨ましがられるポジションだろう。しかし、そろそろゴールが見え始めてきた。 1年が終わろうとして、今年を振り返る。すると、「来年はどうなるんだろうか」という気持ちになっていく。50代ともなると、来年どころかその先の行く末が気になってくる。 Nさんの定年退職の送別会も12月だった。そんなこともあってか「またNさんと会ってみたいなぁ」という思いが頭の隅をよぎった。 だが、NさんはFさんにとって「常に先を歩き続けた先輩」というわけではない。また、決して「できる先輩」というわけでもない。 Fさんが部長として着任した時に、Nさんは管理課長という立場