要旨 理化学研究所(理研)加藤分子物性研究室の加藤礼三主任研究員、崔亨波研究員、物質・材料研究機構若手国際研究センターの圓谷貴夫ICYS-Namiki研究員、国際ナノアーキテクト研究拠点の宮崎剛MANA主任研究者、名古屋大学大学院理学研究科の鈴村順三名誉教授らの共同研究グループは、単一成分の分子性結晶が高圧力下で「質量のないディラック電子」[1]系となることを発見しました。 「質量のないディラック電子」系は、電子があたかも質量がないような粒子として物質中を高速に移動するため近年注目されています。例えば、グラフェン[2]が代表的な例です。グラフェンは、線形のバンド分散[1]が一点で交差する特異な電子状態(ディラック分散[1])を示します。このような電子状態を示す物質中では、電子が高速で移動することが可能なため、現在、世界中でディラック分散を持つ物質の探索が行われています。 今回、共同研究グル