自宅でコンピューターに向かうチェ・ブロックさん=2021年10月5日、メリーランド州ランハム、ランハム裕子撮影 2013年8月3日、当時25歳だったチェ・ブロックさんは、ワシントンのナイトクラブでいつものように警備員のシフトについた。バックではサム・クックの「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」が流れていた。そこへどこからともなく若い男性の集団が現れた。身長が2メートル近くもある大柄の男を先頭に、こちらに向かってゆっくりと歩いてくる。数えると12人いた。近づくと、見覚えのある顔に状況を察知した。逃げるという選択などない。「戦争の始まりだ」――。 防弾チョッキを装着するチェ・ブロックさん(2014年、本人提供) 突然テーブルの上に押し倒され、奥の壁に激突した。起き上がり12人を相手に戦おうとすると、他の警備員たちが加わり、たちまち大乱闘が始まった。殴り合いが続く中、1人が刃物を取り出しアッパーカ