「人類が生き残るためにはアホが必要だ」と訴える『京大的アホがなぜ必要か』を読んで、「Stay hungry, stay foolish」という言葉を思い出した。スティーブ・ジョブズがスピーチで引用した、あの名言である。 「京大的アホ」の「アホ」とは、「常識」や「マジメ」の対立概念だという。天動説が常識の時代に「地球が動いている」と主張すれば、「そんなアホな!」とあきれられるのがオチである。だが、後世の我々はそんな“非常識なアホ”が正しかったことを知っている。既成概念にとらわれない「アホ」こそが、誰も気づかなかった新しい真実にたどり着けるというわけだ。 実際に京都大学では学生たちに「アホなことせい!」とハッパをかけていたという。失敗を繰り返しても、「それ、おもろいな」と思わせる何かがあれば許容される。変わり者が受け入れられ、「変人」がホメ言葉になる──それが京大の文化だったのである。 ところ