シリーズ「環境倫理学のフロンティア」では、環境倫理学の隣接分野の研究者との対話を行います。今回は「食農倫理学×環境倫理学」として、ポール・B・トンプソン『食農倫理学の長い旅』(勁草書房、2021年)の翻訳者である太田和彦さんと対話を行います。太田さんは、同じトンプソンの『〈土〉という精神』(農林統計出版、2017年)の翻訳者でもあり、これらによって日本に食農倫理学が本格的に導入されたといえます。今回は、これらの内容をご紹介いただくとともに、日本における食農倫理学の意義についてお話しいただきます。 吉永 じつは今回の対話を「環境倫理学の隣接分野の研究者との対話」とするのは少し問題があります。というのも、太田さんはもともと環境倫理学の研究者であり、とくに環境プラグマティズムについてはかなり詳しいのです。さらに、アメリカの食農倫理学の第一人者であるポール・B・トンプソンも環境倫理学者でもあり、『