日本で今最も注目される建築家、藤本壮介。驚きと心地よさが共存するその作品は他に類を見ず、大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーをはじめ、海外からのオファーも後を絶たない。若くして日本を代表する建築家となった藤本だが、最短距離を来たわけではない。トップとなってもおごらず、建築と向き合うその熱き思いや、彼独自の道の切り拓き方について迫る。 文・油井なおみ 世界が注目のフランスの集合住宅は シンプルな発想を貫き独自の形に 独創的、唯一無二。建築家・藤本壮介の作品は、しばしばそう評される。 とくに2019年に発表されたフランス・モンペリエの集合住宅、L'Arbre blanc(白い木)は17階のマンションに大きく伸びたベランダが放射状に数多飛び出し、こんもり茂った大樹のようなユニークな佇まいとなっている。 しかし、藤本は自らの建築方法やアイデアについて、「シンプルに考えたら」、「単純に」などと