ロシア軍のウクライナ侵攻により、世界的緊張状態が高まっている。西側諸国のロシアへの非難は絶えない。それでもなお、ロシアがウクライナを欲しがる理由とは?なぜ、今なのか? 「世界を敵に回した男」ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの思想を作り上げた歴史的背景を読み解いていく――。 ※本稿は茂木誠著『世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」』(PHP研究所刊)より一部抜粋・編集したものです。 ソ連崩壊後に待っていた「グローバル化の荒波」 毛沢東の死後、中国共産党を引き継いだ鄧小平が「改革開放政策」に舵を切ったあとも、ソ連共産党は徹底的な統制経済を敷き、自由な貿易も、外資受け入れも、拒否してきました。 しかし、共産党が全てを決定し、全人民を監視下に置いて働かせるソ連の体制では、労働者のモチベーションは上がらず産業界にイノベーションも起こりません。生産性はゆっくりと劣化していき、国全体が貧しくなって