小さな橋を渡り、杉・檜の木立を抜ける。伊勢街道に沿うように流れる川向かいに、青木真兵(しんぺい)さんの自宅はある。常に川の音が聞こえ、ゆるやかな風が肌に触れる。 訪ねたのは5月の初め。日が伸びて、まだ薄暗くなり始めたくらいの18時過ぎ、チャイムを鳴らすと奥様の海青子(みあこ)さんが招き入れてくれた。真兵さんはまだ仕事から帰っていなかった。 中に入るとまず目に飛び込んできたのが、大量の書籍が収められた本棚だった。それもそのはず、青木夫妻は自宅の一部を開放して、人文系私設図書館「Lucha Libro(以下ルチャ・リブロ)」を開設している。歴史・文学・思想・サブカルチャーなど、人文系の書籍を中心にラインナップはさまざま。その数は約2000冊にのぼる。 本についての雑談をするうちに、真兵さんが仕事から帰宅。取材に同席した東吉野村在住のメンバーの顔を見るなり、地元ならではの話題を中心に軽妙なやりと