人類が進化したのは一夫一婦制になったから? 私は先日、人類史の本(『絶滅の人類史』NHK新書)を出させていただいた。その本の中で、人類が類人猿から分岐するキッカケとなったのは、人類が一夫一婦制に近い配偶形態をとるようになったからである、という説を紹介した。 その後、いろいろな人(多くは私の個人的な友人)から、その説に対する不満を聞かされた。 「あれは、お前の願望が入ってるんじゃないか?」 「俺は、あんな説は認めないぞ」 みたいなことを、酒の席などで何度も言われたのだ。 もちろん、この説は私のオリジナルではない。人類史の分野における有力な説だ。少し長くなるが、それは、だいたいこんな説である。 環境が乾燥化することによって、森林が縮小した。そのため、ある類人猿のグループは、木がまばらにしか生えていない疎林に住まざるを得なくなった。 だが、疎林には食料が少ないので、食料を探すためには広い範囲を歩