シカやイノシシが農作物や森林に被害をもたらす獣害が深刻化しているが、その解決策としてジビエ(野生動物の食肉)の振興が謳われている。増えすぎたシカなどをジビエにすれば駆除が進む、という発想だ。 だが、これは絵に描いた餅になりそうだ。有害駆除個体をジビエとして供給するのはハードルが高いのである。 具体的には銃弾が腹に当たったものはダメ。頭か首を撃ち抜かないと肉として使えない。また罠も含めて即死させないと、暴れて体温が上がり筋肉は俗にいう“蒸れ肉”状態となって食えたものではなくなる。そして解体は、死後2時間以内に認可の下りた解体施設で行わねばならないが、山の駆除現場から運ぶのは至難だ。野外で解体するのは食品衛生法からも御法度。その肉は流通させてはならない。そして、何よりジビエが普及していない。需要がなかなか増えないのである。それには、供給が安定していないことも原因だ。 そのほか細かな問題が多々あ