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読書中と書評に関するtakahiro_kiharaのブックマーク (22)

  • 『新版 においの歴史―嗅覚と社会的想像力』(藤原書店) - 著者:アラン・コルバン 翻訳:山田 登世子,鹿島 茂 - 鹿島 茂による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    序 ジャン=ノエル・アレと悪臭追放の闘争史 1 知覚革命、あるいは怪しい臭い(空気と腐敗の脅威;嗅覚的警戒心の主要な対象;社会的発散物;耐えがたさの再定義;嗅覚的快楽の新たな計略) 2 … 序 ジャン=ノエル・アレと悪臭追放の闘争史 1 知覚革命、あるいは怪しい臭い(空気と腐敗の脅威;嗅覚的警戒心の主要な対象;社会的発散物;耐えがたさの再定義;嗅覚的快楽の新たな計略) 2 公共空間の浄化(悪臭追放の諸戦略;さまざまな臭いと社会秩序の生理学;政治と公害) 3 におい、象徴、社会的現象(貧民の悪臭;「家にこもるにおい」;私生活の香り;陶酔と香水壜;「汗くさい笑い」;「パリの悪臭」) 《におい》というと、必ず思い出すのがヴァン・ヴォートのSF短編『はるかなり、ケンタウルス』である。それはこんな物語だ。人類はついに長年の夢を実現し、最も近い恒星=アルファ・ケンタウリに向かって亜光速の宇宙船を打ち上

    『新版 においの歴史―嗅覚と社会的想像力』(藤原書店) - 著者:アラン・コルバン 翻訳:山田 登世子,鹿島 茂 - 鹿島 茂による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
  • 温暖化の科学は決着などしていない:『気候変動の真実』

    以前紹介したスティーブン・クーニン著の「Unsettled」の待望の邦訳が出た。筆者が解説を書いたので、その一部を抜粋して紹介しよう。 スティーブン・クーニンは輝かしい経歴の持ち主で、間違いなく米国を代表する科学者の1人である。世界最高峰のカリフォルニア工科大学で筆頭副学長までつとめた。伝説の研究者団体JASONの会長も務めた。コンピューターモデルによる物理計算の権威でもある。 温暖化対策に熱心な米国民主党のオバマ政権では、エネルギー省の科学次官に任命されていて、気候研究プログラムも担当した。 クーニンに対して、非専門家だとか、政治的な動機による温暖化懐疑派だとかする批判は出来ようが無い。 政治的な動機だけいえば、書で書いてあるように、むしろクーニンは多くの政策において民主党を支持している。ならば、党派性からいえばむしろ気候危機説を煽るほうになる。 私利私欲だけを考えるなら、クーニンがこ

    温暖化の科学は決着などしていない:『気候変動の真実』
  • 書評|人間の「仕事」消滅後の世界|"A World Without Work" by Daniel Susskind - カタパルトスープレックス

    人工知能によって人は仕事が奪われる!この手の話はすでにクリシェですよね。今さら真面目に語ってどうするの?今回紹介する"A World Without Work"はまさに語り尽くされた感のあるこのネタを改めて大真面目に検証するです。 書を書いたダニエル・サスキンドは情報化による法律実務のパラダイムシフトなどの論文で日でも知られるリチャード・サスキンド教授の息子さんです。"The Future of the Professions"を父親と共著で出していますが、今回が初めての単著となります。 A World Without Work: Technology, Automation, and How We Should Respond 作者:Susskind, Daniel 発売日: 2020/01/14 メディア: ハードカバー The Future of the Professions

    書評|人間の「仕事」消滅後の世界|"A World Without Work" by Daniel Susskind - カタパルトスープレックス
  • 書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化が同性愛を用意した: ジェンダーの生物学 作者:坂口 菊恵創元社Amazon 書は進化心理学者坂口菊恵による同性愛を扱った一冊.坂口は進化心理学的に性淘汰産物としてのヒトの行動性差,個人差について探究し,その後その至近要因にも踏み込んで内分泌行動の研究も行ってきた研究者だ.単著としてはナンパや痴漢のされやすさの個人差に関する「ナンパを科学する」に続く2冊目ということになる. 書は同性愛を科学的に考察するものだが,まず同性愛行動そのものが複雑で多層的な側面を持つこと,またラディカルなフェミニズムや社会正義運動の吹き荒れる昨今,同性愛はなかなか社会的に微妙なテーマとなっていること,さらに(環境要因として)同性愛の社会史や文化史まで視野に入れていることから,かなり複雑で込み入った構成となっている. Part 1 同性愛でいっぱいの地球 第1章では動物界に同性愛行動がありふれていることが強

    書評 「進化が同性愛を用意した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 『生と死を分ける数学: 人生のすべてに数学が関係するわけ』(草思社) - 著者:キット・イェーツ 翻訳:冨永 星 - キット・イェーツによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    感染症の蔓延から検査の偽陽性・偽陰性、ブラック・ライブズ・マター運動や刑事裁判のDNA鑑定、結婚相手選びまで。重大事のウラに、数学あり。数学は、あなたの人生のそこかしこに入り込ん… 感染症の蔓延から検査の偽陽性・偽陰性、 ブラック・ライブズ・マター運動や刑事裁判のDNA鑑定、結婚相手選びまで。 重大事のウラに、数学あり。 数学は、あなたの人生のそこかしこに入り込んで、生殺与奪の権利を握っている。 生きるも死ぬも、数学次第なのだ。 実際、数学を知らないために、あるいは数学を誤用したために、 命を落としたり、財産を失ったり、無実の罪を着せられたりした例が、どれほど多いことか。 逆に、簡単な数学を少し使えるだけで、マスコミや政治家の嘘を見破ったり、 詐欺に巻き込まれるのを防いだり、健康診断の結果を正しく理解したりできるようになる。 さらには、理想の結婚相手を選ぶのにも役立つかも……。 数理生物学

    『生と死を分ける数学: 人生のすべてに数学が関係するわけ』(草思社) - 著者:キット・イェーツ 翻訳:冨永 星 - キット・イェーツによる前書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
  • むさみかさんの書評 ウクライナに行ってきました ロシア周辺国をめぐる旅【本が好き!】

    ウクライナ侵攻から約半年後のウクライナ、 そしてロシア周辺国をめぐる、旅行作家・嵐よういちの最新作 75点 タイトルは ばーんとウクライナですけど 周辺諸国のほうが 沢山ページがかけられてます 内容には不満はないですけど ウクライナメインでは ないかな でも周辺の状況とか ウクライナへの考え方とか 避難した人に 話を聞いているから 興味深いですよ 但し 著者はジャーナリストではないので 危険地帯にいくわけではないです 作家が ほぼ観光として 入国している と言う感じですので 今まさに 私たちが入国したら こんな感じなのかな というのが分かります ➀ウクライナ、②ハンガリー、③沿ドニエストル・モルドバ共和国 ④モルドバ、⑤ポーランド、⑥ルーマニア、⑦ブルガリア ⑧ラトビア、⑨リトアニアの全9か国 各国の一般人の人が ウクライナロシアのことを どう思っているのか 街の空気が割と伝わっていると

    むさみかさんの書評 ウクライナに行ってきました ロシア周辺国をめぐる旅【本が好き!】
  • <書評>『雑草ラジオ』瀬戸義章 著:東京新聞 TOKYO Web

    一九二五年三月二十二日、日でラジオ放送が始まって、まもなく百年。同じ一九二五年にラジオ放送が始まったのが、当時オランダの植民地だったインドネシア。ともに島国で、地震や津波、火山噴火など自然災害の多い国だ。 太平洋上に浮かぶ二つの国をつないで活躍しているのが、かばんやスーツケースに入る「バックパックラジオ」だ。簡単にいえば「持ち運べる災害ラジオ局」。スマホアプリと小型FM送信機、アンテナを組み合わせた、簡便で安価な物。書は著者らのアイデアによって生まれ、インドネシアの火山地帯に配備されるまでになった「バックパックラジオ」誕生の記録だ。 話はインドネシアの火山から始まる。度重なる火山の噴火とともに暮らす現地の人々に、いちはやく噴火の危険を知らせる道具として、二〇〇二年に小さな村にラジオ局が生まれた。やがてラジオは災害情報や音楽だけでなく、住民同士の対話の場となり、自治の手段に成長していった

    <書評>『雑草ラジオ』瀬戸義章 著:東京新聞 TOKYO Web
  • 人生を確率を通してみる、今年ベスト級の科学ノンフィクション!──『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』 - 基本読書

    もうダメかも 作者:マイケル・ブラストランド,デイヴィッド・シュピーゲルハルター発売日: 2020/04/13メディア: 単行我々はウルトラマンに守られているわけではないのだから、死ぬときがきたら死ぬしかない。その事実は多くの人が認識しているだろう。が、実際に自分が人生の各フェイズでどれぐらい死ぬ確率があるのか、多くの人はそこまで認識してはいないのではないだろうか。10代、20代なら自分が死ぬことなど意識しないだろうし、30代でもそう大きくは違わないだろう。だが、人は何歳であろうともポカっと死ぬものだ。 というわけでこの『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』は、ノームと名付けられてこの世に生を受けた一人の男性の成長を歩調をあわせて、人生の各フェイズでどのような死亡リスクがあるのかを細かく統計でみていこう、というである。 たとえば、交通事故、出産時、タバコを一吸った時、放射線を浴びた時、

    人生を確率を通してみる、今年ベスト級の科学ノンフィクション!──『もうダメかも──死ぬ確率の統計学』 - 基本読書
  • 【書評】レイチェル・ギーザ 『BOYS[ボーイズ]男の子はなぜ「男らしく」育つのか』|Colorful Life

    はじめに -フェミニズムについて- 近年、「フェミニズム」「フェミニスト」という言葉をよく見かけるようになりました。女性解放思想、女性解放運動またそれを行う人を意味する言葉です。 歴史的に見て、世界的にも女性は差別される対象でした。今では男女平等が謳われて、国をあげて、会社をあげて、様々な取り組みがなされていますが、これまで長く続いてきた差別というものはそう簡単にはなくなることはなく、今でも男性が女性を”無意識的”に差別している事例は多くあります。 フェミニストの方々が声を上げてくださっているおかげで、その”無意識的な”差別というものが意識化あるいは可視化され、少しずつ良い方向に変革しつつあるように感じています。 その一方で、フェミニズムの来の目的(←この表現が適切か分かりませんが)から少し逸脱し、男女平等を目指すために”男性を下げる”行為、男性を過剰に批判するようなものも見受けられるよ

    【書評】レイチェル・ギーザ 『BOYS[ボーイズ]男の子はなぜ「男らしく」育つのか』|Colorful Life
  • 【読書感想】禍いの科学 正義が愚行に変わるとき ☆☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言

    禍いの科学 正義が愚行に変わるとき 作者:ポール・A・オフィット発売日: 2020/11/19メディア: 単行(ソフトカバー) Kindle版もあります。 禍いの科学 正義が愚行に変わるとき 作者:ポール・A・オフィット発売日: 2020/12/08メディア: Kindle版 内容(「BOOK」データベースより) 科学の革新は常に進歩を意味するわけではない。パンドラが伝説の箱を開けたときに放たれた凶悪な禍いのように、時に致命的な害悪をもたらすこともあるのだ。科学者であり医師でもある著者ポール・オフィットは、人類に破滅的な禍いをもたらした7つの発明について語る。私たちの社会が将来このような過ちを避けるためには、どうすればよいか。これらの物語から教訓を導き出し、今日注目を集めている健康問題(ワクチン接種、電子タバコ、がん検診プログラム、遺伝子組み換え作物)についての主張を検証し、科学が人間の

    【読書感想】禍いの科学 正義が愚行に変わるとき ☆☆☆☆☆ - 琥珀色の戯言
  • サイバー文明論

    内容紹介 デジタル化の波の中で古くなった社会制度やそれを支える哲学をデジタル時代に適したものに根から見直した方がいいのではないか? 20世紀に大成功した近代工業モデルを修正しながらデジタル経済に合わせてきたが、いよいよ矛盾が大きくなりすぎているのではないか? 過去の成功体験にこだわっていると単に落伍してしまうだけでなく、格差の拡大や監視社会の暴走などの形で不幸な未来につながってしまうのではないか? 明治維新の時に、単に蒸気船や電信を受け入れるだけでなく、政治体制から法律、芸術や言語にいたるまで造り直したように、今回も仕組みを全面的に再構築しないといけないのではないか? それは結局のところ、新しい文明を構築するということではないか? 近代工業が生み出した、「大量生産品の排他的所有権を匿名の大衆に市場で販売(金銭と交換)する」モデルから「モノやサービスから得られる便益へのアクセス(利用)権を

    サイバー文明論
  • 「麻薬と人間 100年の物語」 ギャングの暗躍招いた撲滅運動|好書好日

    「麻薬と人間 100年の物語」 [著]ヨハン・ハリ 読む前と読む後で目の前の風景が一変するである。結論はこうだ。100年前にアメリカで始まった麻薬撲滅運動(麻薬戦争)がかえって麻薬依存症を増やし、ギャングに麻薬売買の特権を与えた。「え?」と最初は思った。が、警察官、密売人、依存症者、殺人者、ホームレス、大統領などへの膨大な聞き取り、一次史料の深い読み込み、徹底した自己懐疑力に鍛えられた書を読んで、エルトン・ジョンから麻薬取り締まり当局者まで絶賛を惜しまない理由がわかった。 麻薬戦争のきっかけは、麻薬を禁止した1914年のハリソン法である。連邦麻薬局長アンスリンガーは、使用者は黒人ばかりで共産主義者は麻薬でこの国を滅ぼそうとしている、と宣伝し、ジャズ歌手のビリー・ホリデイを標的にして死に追いやった。 だが、麻薬戦争は目的と正反対の方向に向かう。価格が暴騰し、隠れて運びやすいように濃度を上

    「麻薬と人間 100年の物語」 ギャングの暗躍招いた撲滅運動|好書好日
  • 『目的に合わない進化 上:進化と心身のミスマッチはなぜ起きる』(原書房) - 著者:アダム・ハート 翻訳:柴田 譲治 - 柴田 譲治による後書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:アダム・ハート翻訳:柴田 譲治出版社:原書房装丁:単行(240ページ)発売日:2021-03-17 ISBN-10:4562059117 ISBN-13:978-4562059119 ストレスが溜まる、肥満になりやすい、精神的に不健康、ドラッグにはまる、フェイクニュースにだまされてしまう……現代はとにかく、生きているだけで辛いことが多い。人類の誕生から長い年月を経て、今の人類はかつての人類よりも、優れた存在になっているはずではないのか? なぜこのようなことが起きるのか? 生物学の専門知識をもつ著者がその理由を探っていく新刊『目的に合わない進化』から、訳者あとがきをお届けする。 進化の不都合な真実人類の遙かな過去から進化の流れを眺めてみれば、ゴリラやチンパンジーと袂を分かちホモ・エレクトスからホモ・サピエンスへ、狩猟採集から農耕へ、産業革命を経てさらに高速化した輸送や情報化の進んだ現

    『目的に合わない進化 上:進化と心身のミスマッチはなぜ起きる』(原書房) - 著者:アダム・ハート 翻訳:柴田 譲治 - 柴田 譲治による後書き | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
  • 「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日

    19世紀末葉から1960年代への日の近代化の歩みを、近代工業の家庭向け製品の華あるさきがけとして外国から入ってきたミシン、とりわけミシンの代名詞と化していたシンガーミシ… ミシンと日の近代―消費者の創出 [著]アンドルー・ゴードン [訳]大島かおり 米国の「知日派」というと、最近は外交・安全保障の専門家のみ注目されがちだが、著者は歴史研究における筆頭的存在だ。 ある日、彼は、ふと1950年代の日の既婚女性が毎日2時間以上も裁縫に費やしていた事実を知り驚愕(きょうがく)する。それが今回の知的探究の出発点となった。 ふつうの日家庭に入った最初のミシンはジョン万次郎が母親へ贈ったもの。シューイングマシネ(縫道具)がマシネと略され、さらに2音節に縮まって「ミシン」となった。 その出現は〈洋裁〉と〈和裁〉という新語を生み、キモノを〈洋服〉に対する〈和服〉とし、〈日〉と〈西洋〉が対峙(たいじ

    「ミシンと日本の近代」書評 小さなモノに光、大きな歴史照射|好書好日
  •  「数覚とは何か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    数覚とは何か?―心が数を創り、操る仕組み 作者: スタニスラスドゥアンヌ,Stanislas Dehaene,長谷川眞理子,小林哲生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/07/01メディア: 単行購入: 5人 クリック: 144回この商品を含むブログ (31件) を見る 書は認知心理学者スタニスラス・ドゥアンヌによる数量の認知や計算,そして数学に関する脳の仕組みにかかるだ.ドゥアンヌはフランスの研究者で数学から認知心理学に転向したという経歴を持つ.原題は「The Number Sense: How the Mind Creates Mathematics」,出版は1997年とやや古い.もっとも訳者の長谷川眞理子先生のあとがきによると,現在でもこの主題についてはわかりやすいまとめとして有用なだということだ. ドゥアンヌは,まず動物とヒトに共通の「数を量的に把握できる能力」が

     「数覚とは何か?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 【書評】『「走る原発」エコカー:危ない水素社会』

    書評:『「走る原発」エコカー:危ない水素社会』 上岡直見 著 橋正明(市民研・会員) PDFファイルはこちら→csijnewsletter_032_hashimoto_20150925.pdf “「走る原発」エコカー”私がこの奇妙なタイトルのに遭遇したのは、ある大型書店の大きな書架を曲がりきった処であった。一見して人の注意を惹きつける黒と黄のコントラスト、いわゆる踏切の遮断機の色だ。自然界ではそれは「警戒色」と言われ、他の生物にその存在と危険性を知らしめる役割を果たす。 それにしても奇妙なタイトルだ。いや、エコカーが「走る原発」だって言われても私のここ10年来の愛車はその代表格ともいうべきプリウスで、東日大震災の際にはガソリン不足の中、たまたま直前に満タンにしていたとは言え、一度も給油せずに1ヶ月にも渡る窮乏生活を共に乗り切った信頼のおける私の相棒である。それが原発と何の関係があると

    【書評】『「走る原発」エコカー:危ない水素社会』
  • 『見ることは信じることではない:啓蒙主義の驚くべき感覚世界』(白水社) - 著者:キャロリン・パーネル 翻訳:藤井 千絵 - 藤井 千絵による訳者あとがき | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

    著者:キャロリン・パーネル翻訳:藤井 千絵出版社:白水社装丁:単行(286ページ)発売日:2019-04-24 ISBN-10:4560096899 ISBN-13:978-4560096895 「啓蒙主義」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。理性重視の哲学の潮流で、有名な哲学者がわんさといる、といったところでしょうか。全国の高校で多く使われている山川出版社の「世界史B」の教科書によれば、「合理的な知を重んじて、社会の偏見を批判する立場はすでにルネサンス期にみられたが、科学革命を経て十八世紀には、いっそう大きな潮流となった。これを啓蒙思想と呼び、とくにフランスで有力であった」とあります。科学の発展に基づく、合理的な知の重視、というのが教科書的な理解と考えてよさそうです。 「理性の時代」と考えられがちな長い十八世紀(およそ一六九〇〜一八三〇年ごろ)を、書では十章かけて「感覚」という切り

    『見ることは信じることではない:啓蒙主義の驚くべき感覚世界』(白水社) - 著者:キャロリン・パーネル 翻訳:藤井 千絵 - 藤井 千絵による訳者あとがき | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
  • 自由に自分の幸福度を決められる時、医者はそこに上限を設けるべきだろうか?──『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』 - 基本読書

    闇の脳科学 「完全な人間」をつくる (文春e-book) 作者:ローン・フランク,仲野 徹・解説発売日: 2020/10/14メディア: Kindle版闇の脳科学ってどゆこと? 闇の脳科学があるってことは光の脳科学もあるのか? とか「完全な人間」ってなんだ?? 中田敦彦か?? とかいろいろ思いながら開いて読み始めただけれどもいやはやこれがめちゃくちゃおもしろい!! 邦題だけじゃなんのこっちゃわからないと思うが(原題を訳すと『プレジャーショック──脳深部刺激療法の始まりと忘れ去られたその考案者』)、書は脳に直接電気刺激を与えることによって、うつ統合失調症、同性愛など様々な病気・症状を治療しようとし、数々の人体治療に手を出し、世間や学者らから批判をらって忘れ去られていったロバート・ガルブレイス・ヒースという科学者の人生とその研究成果。また、こうした脳に刺激を与えることで病気の症状を治療

    自由に自分の幸福度を決められる時、医者はそこに上限を設けるべきだろうか?──『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』 - 基本読書
  • 絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ 書評|M・R・オコナー(ダイヤモンド社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ M・R・オコナー、大下 英津子 ダイヤモンド社 種はいつかは絶滅する。今から4億4000万年ほど前のオルドビス紀末に起こった1度目の大絶滅から、6550万年前の白亜紀末の恐竜の絶滅まで、5回の大絶滅があったことがわかっている。 そして、今は6度目の大絶滅のさなかではないかと考える生物学者は多い。ジャーナリストのオコナーは、子供の頃に聞いた、1時間に種が3つ消滅しているという話に驚愕した。ここから物語は始まる。 誰もが、絶滅は良くないことであり、絶滅から種を救うのは良いことだと思うだろう。果たしてほんとうにそうなのだろうか。 この疑問の答えを探しに著者は、世界の絶滅動物の取材の旅に出る。書は、現地での取材と多くの専門家たちへのインタビューをもとにして、種を守ろうとする生物学者たちの苦闘と課題を描いたノンフィクションである

    絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ 書評|M・R・オコナー(ダイヤモンド社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
  • ロボットに倫理を教える モラル・マシーン 書評|ウェンデル・ウォラック(名古屋大学出版会)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    ロボットに倫理を教える モラル・マシーン ウェンデル・ウォラック、コリン・アレン、岡 慎平、久木田 水生 名古屋大学出版会 六歳の娘が先日、保育園の同級生のお母さんに年齢を尋ねたらしい。悪びれもせず人がその話をするので「大人に年を訊いたらダメ」と叱ったが、頭ごなしに否定するのもよくないと思い直し、「たくさんお話をして仲良くなった相手になら訊いてもいいよ」と付け足した。しかし娘は「○ちゃんのママとはたくさんお話したよ。なんで訊いちゃいけないの?」と反論してきた。「話すと言っても、どんな話をするかとか、年を訊くタイミングも大事なんだよ」と答えたものの、娘は不服そうだった。親の目を離れ、独自の人間関係をこれから広げていくはずの娘には、なるべく人を不快にするかもしれない言動をしてもらいたくない。しかしこの種のタブーを幼児に教えるのはとても難しい。 自律性が高まると、注意すべき事柄が増えるのはロ

    ロボットに倫理を教える モラル・マシーン 書評|ウェンデル・ウォラック(名古屋大学出版会)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」