世界中が死刑廃止へと向かうなか、日本が死刑を続ける理由は何なのか。アメリカ、フランス、スペイン、日本、それぞれの国の実情を丹念に取材した宮下洋一氏が、田原総一朗氏とタブーを恐れずに議論を交わしました。 田原 お聞きしていいですか。まず宮下さん、なんで死刑の本を書いたんですか。 宮下 ひとつは、日本が死刑を廃止しない理由を知りたかった。もうひとつは、自分が死ぬと分かっている人が、どういう気持ちで生きているのかを見てみたかったんです。死を予告されている人に対してインタビューしようと思うと、「安楽死」と「死刑」しかない。安楽死についてはずっと取材してきたので、次は死刑だなと。 田原 生きるとか死ぬということに、なんでそんなに興味があるんですか。 宮下 ジャーナリズムの仕事を始めてから、ずっと海外に住んでいて、学生時代も含めると欧米での生活が二九年目になります。移り住んだ頃はアジア人もすごく少なか