<元メキシコ市長のロペス・オブラドールが当選すれば、強硬路線の下で対米政策は様変わりする> 7月1日の大統領選が近づくにつれて、今度はメキシコの有権者が既存政治への怒りをぶちまけることになりそうだ。 イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領当選、フランスのマクロン大統領当選......。このところポピュリズムが世界中で炸裂しているが、次はメキシコでポピュリストの指導者が生まれるかもしれない。 だが、最有力候補に新味はない。政界に入って40年を超え、新興左派政党「国家再生運動」党首のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(64)だ。 彼はメキシコ市長の座を捨てて挑んだ06年と12年の大統領選で敗北。ベネズエラのチャベス前大統領のような左派ポピュリストのイメージを拭えなかったからだ。特に僅差で敗れた06年の大統領選後には、自分こそ「正当な大統領」だと主張して、かえって国民の信頼を損ねた