日露戦争直後、第一次西園寺内閣が成立した明治三十九年(1906)一月から、第一次世界大戦参戦後の第二次大隈内閣による総選挙が行われた大正四年(1915)三月までの間の、桂園時代の誕生から大正政変による体制の崩壊とその余波に関する日本の政局を、詳細に史料を紹介していくことで描き出した一冊。 タイトルの「明治国家の終焉 1900年体制の崩壊」とはどういうことか。明治国家はその誕生以来、殖産興業・富国強兵で知られるように積極財政がその基本政策として存在していた。明治国家は統一した目標をもっていたのではなく大きく分けて富国(大久保利通)・強兵(西郷隆盛・山縣有朋)・立憲(木戸孝允・伊藤博文)・民主化(板垣退助・大隈重信)などの相対立する目標をもった多数の集団の折衝の過程で運営されていったのである。それぞれの利害が財政に反映される過程でどうしても財政規模は拡大せざるをえず、それは慢性的な財政赤字とし