「ハードワーク」で自ら体験することでイギリスのワーキングプアの実態を描いたポリー・トインビーが、低所得者だけではなく、高所得者へのインタビューを加えて、政策提言にまとめている。特に、就学前を含んだ教育改革や失業者への支援制度がイギリスでどのように機能してきたかを説得的に示している。イギリスの労働党への政策提言だが、日本の民主党にも参考になるはずだ。この本では、格差の連鎖を防ぐために、教育が有効だが、それにはお金がかかることをしっかり指摘している。無駄の削減というのは必要だけれども、日本の所得税の負担率は国際的にみても低いことを理解する必要がある。国民所得に対する所得税の比率は、7.7%にすぎない。アメリカやイギリスでも10%以上である。所得税収は、2009年度でも15兆5千億円しかない。