本書の著者である當眞嗣一氏は、長く沖縄県教育庁に勤務し、沖縄の文化財行政に携わってきた。この間、首里城をはじめとする「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」が世界遺産登録された際には、沖縄県の作業統括責任者として奔走されたことで知られる。 このような優れた行政マンであるとともに、著者はグスクや戦跡考古学研究の第一人者でもある。その著者が在職中から取り組んできたグスク研究の成果を一つにまとめたのが本書である。 「世界遺産になったグスク」「グスクとは」「グスク論争について」「グスク研究の方法と視点」「グスクの考古学」「グスク文化と沖縄」「グスクの構造と縄張りについて」「縄張構造から見たグスク」「グスク各論」「各地のグスク」の10章で構成され、文中に必要に応じて、補足が付け加えられている。 著者のグスク研究の特徴は、グスクの構造を把握するために縄張図を作成し、これを手がかりとしてそれぞれのグスクの個