B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。 C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
B-:教科書に載っていて用語集頻度もそれなりに高いが,便宜上掲載されているという色彩が強く,実際には入試にはほとんど出ない。ネルウァが好例。 C:高校世界史範囲内・外のグレーゾーン。用語集頻度が低いか掲載されていないもの,または旧課程では範囲内だったもの等,早慶上智対策としてなら見るもの。
前述の通り,ビザンツ皇帝編。基準は前回示した通りだが,Cを少しだけ改定した(これによるローマ皇帝のグレードの変化は無い)。
本ブログの歴史系記事の目的は,専門家・市井の歴史ファン・高校世界史(受験世界史)の距離の接近にある。もちろん私は専門家の歴史家ではないので専門知識の普及については他の方にお任せしているが,高校世界史は専門家や歴史ファンにとってもそうかけ離れたものではないということについては,ある程度貢献できているのではないかと思う。 そういう活動をしていて,Twitter等でたまに聞かれる・驚かれることナンバー1が,これだ。 「◯◯朝の◯◯って高校世界史だと教えないの!?」 そう,皆,歴史ファンや専門家にとっては高名な人物や事項が高校世界史だと途端にマイナーになるという現象に驚きを隠せないのだ。特に君主。そこで,私の独断ながら,その乖離を整理し,理由を可能な範囲で付していけば面白いのではないか,と前々から思っていた。思いついてからなかなか腰が上がらなかったのだが,試しに一番需要がありそうなローマ皇帝でやっ
国立大と,おまけで日本史編を少しだけ作ってみた。どうでしょうか。国立大については,千葉大と東京外大を未入手なので今回は検討していない。 1.名古屋大 <種別>難問・誤記 <問題>1 7世紀初頭に中国の統一を回復した唐は,先行する隋の制度にならって全国に州県制を敷いた。州県制は異民族地区にも施行されたが,それらは羈縻州・羈縻県と呼ばれ,中国内地とは大きく異なる体制が敷かれた。また数十〜十数州の軍事を統括する機構として〔 a 〕が置かれたが,これは辺境においては内地から派遣される軍の駐屯地となる場合と,羈縻州県と同様の体制が敷かれる場合とがあった。さらに,主に北方の戦略要地には〔 b 〕が置かれ,中央から官員と軍が派遣されて異民族政権の招撫・征討などを担当した。 <解答解説> ほとんどの受験生は最初から読んでいってaに都護府を入れ,さらに読み進めてbを見つけて絶望したことだろう。通常の高校世界
早稲田大の文化構想学部は収録なし。全体として平易な問題。 8.早稲田大 国際教養学部 <種別>出題ミス(複数正解) <問題>4 問4 冷戦末期から冷戦終焉後の世界の民主化の動きに関する以下の記述のうち,誤りを含むものを一つ選びなさい。 ア ピノチェトを中心とする軍部のクーデタ以降,軍部独裁政権が続いていたチリでは,1988年の国民投票で民政移行が決定した。 イ アパルトヘイト諸法が1991年に廃止された南アフリカでは,1994年の選挙でアフリカ民族会議が勝利し,マンデラが大統領に選出された。 ウ 軍部政権が続いていた韓国では,1992年の大統領選挙で金大中が勝利し,文民政権が復活した。 エ 戒厳令が1987年に解除された台湾では,翌年に李登輝が国民党総統に就任し,民主化を促進した。 <解答解説> ウは1992年に大統領選挙で勝利したのは金泳三であるので,明白な誤り=正解である。一方で,「国
昨年に2巻を発売して一区切りつき,本業も計画的に仕事を進めた結果,それなりに余裕ができたので,本年は全編公開とすることができた(追加で少し日本史までできた)。協力してくれている校正者の皆さんにも感謝したい。 ・収録の基準と分類 基準は例年とほぼ同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまった
こちらで書いたものの,具体的な指摘の詳細版。 ・消された理由を推察し,肯定的に評価しているもの 【古代】 ◯ミタンニ・カッシート・リディア・メディア → 古代オリエント史全体の流れから鑑みて,具体名は不要。こいつらのせいで多くの高校生がオリエントで早くも脱落するので,消すのは正解だろう。 ◯アメンホテプ4世 → ここから一神教が始まってエジプトにいたヘブライ人に広まり……は端的にって偽史なので。 ◯アイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデス → これらに限らず,現行の世界史の文化史は収録基準がぐちゃぐちゃで非常に気持ち悪いので,再整理が必要。少なくとも古代ギリシア・ヘレニズムは明らかに多すぎる。 ◯ダキア・パンノニア → それぞれルーマニア・ハンガリー大平原で問題ない。その他も含めて基本的に古代名不要(ビザンティウムのような例外以外は)。 ◯アリウス派・ネストリウス派・単性論派 → 異端の
この高大連携歴史教育研究会の,「歴史系用語精選案(1次案)」(pdf注意)について。アンケートの締切が2月末なので,三連休を活かしてそろそろ書いておきたい。このブログ記事の改定版をアンケート回答として投稿する予定。1週間ほど,ひとまず本ブログ読者の反応を待ちます。 ・用語を減らす動き自体について 私は高大連携歴史教育研究会の,教科書に載せるべき用語を減らす活動について,受験世界史研究家としての立場から,基本的に賛同の方針を示してきた。それは拙著の終章で1巻・2巻ともに繰り返して主張したように,「単純な暗記科目化させた方が受験生も高校教員も大学教員も(表面的には)楽」ということから負のスパイラルが生じ,いつの間にやら高校生にとっては苦行でしかないような量の用語数に膨れ上がてしまったことによる。それも,細かすぎて専門外の大学教員が扱えばすぐさま悪問や出題ミスに直結する用語が増えた。また高校生側
大学入試センターが平均点などの最終結果を発表した。つまり,出題ミスは一切認めない方向で意志を固めたようだ。状況を上手いことまとめてくれた人がいたことだし,私も雑感を項目別にまとめておく。 ・結局のところ,良問なのか,悪問なのか? 問題を成立していると見なし,かつバイキングを範囲内と見なせば良問と言えなくもないが,出題ミスと見なすなら質以前の問題。“問題の質”と“成立要件”は重なりつつも別の概念ということを示す,良い事例と言えるのかもしれない。なお,「思考力を問う問題としては,あまりにも単純では?」という向きについては,思考力というものを余りにも高く捉えすぎているのではないか,と反論しておきたい。「センター試験を受験する平均的な高校生」に求めていい思考力とは,ムーミンの舞台が問われていても動揺せずにすぐに消去法に切り替えてノルウェー側から素材を探す力と,見知らぬ単語を見たら語族から解答を導く
・高校地理における「(ウラル・)アルタイ語族」の取り扱いについてのメモ(思索の海) >どなたか教科書も調べてくれると嬉しいです。 ということなので,便乗して。まず,高校の地歴公民というと山川出版社のイメージが強いが,実は山川は地理の教科書を発行していない。現在地理Bの教科書を作っているのは二宮書店・帝国書院・東京書籍の3つだけである。以前はもう少し多かったのだが,2014年の課程改定の際に撤退してしまった。シェアから言えば圧倒的に帝国書院で70%程度(参考データ)。 なお,教科書を作っていない科目があるのに山川が地歴公民の総合商社のようなイメージが強いのは,用語集を全科目作っている唯一の会社だからである。しかし,教科書を作っていないこともあって,地理の用語集は世界史・日本史に比べると信頼性が低い。また,そういう事情もあって世界史・日本史の学習が教科書・用語集中心でサブに資料集が来る三点セッ
・温泉むすめ → 最初見たときは16人しかいなかったのに,いつの間にか37人にまで増えてて驚いている。しかも確か,この間某所でやってた展示を見ると,基礎的な設定と立ち絵だけある子まで含めると60人くらいいるはず。人気が出たら声と細かい設定をつけて出番を増やすというデレマス方式をとるつもりなのだろうか。確かに日本全国に温泉はあるので,『艦これ』並に元ネタは豊富だが…… → これ,原画が一人一人違うのはさりげなくすごい。しかも,アニメ絵の方で絵柄の統一を図るから,原画の方は雰囲気バラバラでよくて,場面と状況によって元絵とアニメ絵を使い分けているのは妙案と言わざるをえない。ところで,原画家はpixivのイラストのランキング上から乱獲しましたよねというのがすごくよくわかる。その意味で,変な統一感はある。 → 国内旅行はそれなりにこなしているけど,意外と温泉に入っていないのだった。裸のお付き合い(意
以下は1巻同様に,本書の紹介をFAQ形式で。 よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史2 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ Q.目的や内容は前巻と同じなの? A.全く同じです。大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説した本です。本気で難しくて解けない問題から,日本語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題,珍しい問題など,多岐にわたって収録しています。 1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること 2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること 3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること 4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること を主な目的としています。以下,1巻と同じQ&Aは省略。 Q.収録範囲は? A.前著で2014年の早慶上智・国立大を扱いましたから,それ以外の2014年の私大入試。2015・2016年は全大学,2017年の早慶上智・国公立大までです。
・機械学習したAIがレンブラントの"新作"を出力。絵具の隆起も3D再現した「The Next Rembrandt」公開(Engadget Japanese) → 恐ろしく本物のレンブラントっぽい。ただ,人間でも出来る技ではあり,おもしろい試みながら,人間の贋作作家と何が違うのかと言われると何とも言えない。技術的にはすごいのだろうけど,将棋や囲碁でAIが人間を打ち破った時のような斬新さは無いかも。 → ちなみに野暮なことを言うと,鑑定士に見せた場合は,そもそも絵の具が新しすぎるから贋作という判断を下すように思われます。 ・Cephas Bansah is a full time German mechanic and part-time African king(Daily Mail Online) → 日曜大工ならぬ日曜国王。アフリカには公的な政治的権力は無いが一族の伝統的な指導者のような
受験世界史(高校世界史)の闇をほじくるシリーズ。 1.授時暦とは 「授時暦」は元朝で施行された暦で,郭守敬を中心とした科学者グループによって作成された。この授時暦の作成は,二つの理由から世界史上の特筆すべき事象とされる。 ・前近代の科学史において,最も精確な太陰太陽暦の一つであること。 ・イスラーム世界の天文学の影響を受けており,パックス=モンゴリカ下の東西交流を象徴する成果であること。 特に後者を理由に,高校世界史上でも郭守敬と授時暦は最重要項目となっている。センター試験でも出題されるし(そういえばいつぞやの出題ミスも授時暦絡みであった),各種私大・国公立大の二次試験でも出る。中でも東大は東西交流史を極めて好むため,驚くほど出題率が高い。何と2007・2011・2015年と近い間隔で,しかもそれぞれ論述の重要なファクターとして出題がある。 2.受験世界史参考書の記述の混乱 ところが,これ
・もし清盛が、平治の乱後、頼朝の首を切っていたら?(歴史的速報@2ch) → 大体出ている通りの展開になると思う。いずれにせよ以仁王の令旨から治承・寿永の乱が起きる→木曽義仲の挙兵は変わらずに起きる→清盛死後に京都陥落→西国の大飢饉で戦線膠着,までは史実通りに展開するのでは。ここで関東・東海の覇者になっている勢力が誕生していれば概ね史実通りにその後も展開するだろうけど,頼朝抜きにそんな奴が登場するかと言われると,いないだろう。 → そうすると,義仲亡き後の北陸も群雄割拠に戻るだろうし,朝廷をかつぎ西国の盟主として君臨する平氏政権と,群雄が割拠する中部・関東,奥州藤原氏政権の3つに分裂したままかなりの期間を費やしそう。中部・関東の諸勢力も,平氏政権に名目上は従うものと,名目上も従わないものに分かれていそうで,なんというか中世イタリアのゲルフとギベリンを髣髴とさせる分かれっぷりに。 → まずい
なぜラノベ原作ヒロインは3分以内に脱ぐのか(本しゃぶり) → これ,法則自体をよく発見したなぁと。この間読んだぶっ飛んだラノベ『ざるそば(かわいい)』 でさえも“油を注がれていて(石鹸を塗られていて)”笑ってしまった。テンプレの魔力である。もっとも,『ざるそば(かわいい)』は石鹸枠のテンプレからは大きく外れているので,石鹸枠でなくとも塗油は起きる,ということかもしれない。 → 正直に言って石鹸枠は私の趣味ではないので,現象面以外には全く興味がわかないのだけれど,ありそうな今後の展開としては「テンプレを突き詰めた作品が何作か出た後,どこかの転機で飽きられて,テンプレが少しずつずれていく」であるが,今期の『最弱無敗の神装機竜』が純度の高い石鹸らしいので,テンプレの純化が進んでいるのは確かなんだと思う。 ラッキースケベ発生時間ランキング(カトゆー家断絶) → カトゆーさんによる関連調査。実にカト
皇帝教皇主義とは,西欧側から見えたビザンツ帝国の宗教政策(理念)のことである。西欧では皇帝(帝権)と教皇(教権)が並立し,名目上はそれぞれが世俗・教会を統括する分離した存在であると見なされていたが,実際には800年のカール戴冠や962年のオットー戴冠がローマ教皇主導で行われたこと,コンスタンティヌスの寄進状,聖職叙任権闘争の影響などから,教皇の承認がなければ皇帝が成り立たず,教皇が世俗の統治にしばしば介入する構造に移っていく。これに対し,ビザンツ帝国では皇帝がコンスタンティノープル総主教を完全に支配し,世俗・教会の両権において最高権力者であった,というように当時の西欧人からは見えた。その専制性の高さを,半ば侮蔑を込めて「皇帝教皇主義」と呼んだのがこの用語の意味合いである。 さて,近年この用語は批判が多い。理由としては主に以下の3つが挙げられる。 ・コンスタンティノープル総主教は「教皇(Pa
・「ハンガリーHungary」と「フン族」の関係(Togetter) ・謎の用語「アジア系」「アフリカ系」(nix in desertis) この辺の話。気になったので,フン人・アヴァール人・マジャール人・ブルガール人について,現行の教科書(全7冊)がどう表記しているのか,調べてみた。教科書の年度は全て最新版のB課程。上から5冊がいわゆる“受験用”,下の2冊が非受験用の教科書である(山川の『新世界史』は分類が難しいが)。なお,参考書のうち『用語集』および『詳説世界史研究』も調べたが,全て『詳説世界史B』と全て同じ表記であったので省略する。 【フン人】 特徴:4〜5世紀頃にヨーロッパに襲来。民族(言語)系統についてはよくわかっておらず,トルコ(テュルク)系あるいはモンゴル系とされている。北匈奴が移動したもの説があるが,確定していない。というよりも匈奴自体がトルコ系説とモンゴル系説がある。一時
・央端社という出版社の本ありますか?(OKWave) → 独自研究をWikipediaに載せるために,民明書房ばりの架空の出版社を捏造したらしき案件。怖いのは,全く知らない分野だとあっさりだまされる可能性が高いし,「そんな出版社はない」と証明するのは,この回答を見ても明らかなようにかなり面倒な作業になるということ。架空請求と同じで,意外と賢い手段ではある。単なるトンデモのみならず,こういう編集をどうしても許しちゃうのは,Wikipediaの弱点だなぁ。 ・「カリフ制国家」宣言から1年、IS掃討の見通し遠く(AFPBB) → 本当にカリフ制国家は死亡フラグだと絶対に思っていたのに,意外と続いてしまっているという。諸外国からの資金流入・人員流入もあり,当のイラクとシリアは正規軍が弱く,シリアに至ってはそもそも内戦中,国際社会は放置気味。特にイラク側は元々行政が崩壊気味だったところ,悪政ではある
ロシア帝国の前身としてモスクワ大公国という国があるが,ではその切り替わりのタイミングはいつか。これが面倒なのは,「モスクワ」から「ロシア」,「大公」から「皇帝」という2つの変化を経ているからである。 実際のところ,一番賢い手段はもう一つ歴史用語を作ってしまって三段階にするというものだ。Wikipediaのロシア・ツァーリ国(Tsardom of Russia)はこれに則っている。ただし,ロシア・ツァーリ国という表記は一般的ではない。山川の各国史など,一般向けのロシア史の概説書では「ロシア国家」ないし単に「ロシア」という表記が最も多いと思われる。いずれにせよ,「帝国」ではないが「ロシア」であるという段階を挟むか,または「ロシア」から「ロシア帝国」への変化(1721年)はさしたる重要な変化ではないとして無視することで,この問題を解決している。 さて,少し気になって調べてみたところ,高校世界史に
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く