中国は2021年3月5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を開き、李克強首相が例年通りに政府活動報告を行った。筆者は、その中で大気汚染がどのように取り上げられるのかに注目した。 中国の環境問題は「公害のデパート」ともいわれるが、大気汚染はその中でも特に深刻なイメージがある。首都北京では2013~2015年ごろ、秋~冬にかけて街中がスモッグで真っ白になり、近くにあるビルさえ見えなくなった。人々が口を覆って歩いている映像をテレビで見た人も多いだろう。あれから数年経って、中国の大気汚染は改善したのだろうか。 スモッグで霞む街(2014年2月26日午後2時) (提供)染野憲治氏 「政府活動報告」で記述が急減した大気汚染 政府活動報告を読むと、かつては主要課題として単独でとり上げられていた大気汚染についての記述が、急速に減っていた。さらに今回は「青い空、澄んだ水、きれいな土を守る戦いを継続する