石田純一、いしだ壱成父子 遺伝する「ありきたり演技」 スターになるための条件に、「演技が上手い」というのが必ずしも必要なわけではない。スターのオーラの前には、演技なんてチンケなものはなんぼのものか、という事をまず言っておこう。 石田純一、いしだ壱成父子は、テレビ的に見れば最もちゃんと売れている二世代俳優といえる。同時期にそれぞれの主演連続ドラマがオンエアされていた(『長男の嫁2』『未成年』)というのは、前例が無いのではないか。別にあってもいいのだが。 で、石田純一の演技は下手だなあ、という話なのである。『長男の嫁』みたいなホームドラマはまだ目立たないのであるが、悲恋モノというか「泣」いたり「怒」ったりすると、途端に「石田純一にとって演技とは何か」みたいなものが全部バレるような気がするのだ。 演技が下手というのは、上手いというのがそれぞれであるように、いろんな下手さがあると思う。末端に神経が
「自分の娘が殺されたのに、なぜ犯人は刑務所でのうのうと生きているのか」 「自分の子供が殺されても、裁判官は犯人に同じ判決を下せるのか」 いずれも日本で起きた殺人事件の被害者遺族から私が聞いた言葉である。両者とも犯人に死刑を望んでいたが、裁判で無期懲役が確定した。 命を奪われたら命でもって償うべきだ-。多くの遺族は、犯人に対しそう感じているだろう。だが、中には慎重な見方を示す遺族がいるのも事実だ。それは犯行動機や犯人が内省しているか否か、遺族と被害者との関係性、犯人は未逮捕のままか、など事件を取り巻くさまざまな事情によっても微妙に変化する。 ゆえに遺族感情は複雑だ。犯人が死刑に処されても、被害者は生き返らない。では命と引き換えに「罪を償う」のは可能なのか。本書は、白黒の判断が難しい死刑をテーマに真正面から切り込んだノンフィクションである。 現在、死刑を実質的に廃止している国は、欧州各国を含む
アザンデ人は、アフリカのほぼ中央、ナイル川とコンゴ川の分水嶺にまたがるゆるやかな丘陵地帯に居住し、おもに焼畑農業を生業とする民族である。1937年に公刊された本書によって、人類学の分野においてはよく知られる存在となった。 人の生は吉凶禍福に満ちたもので死によって閉じられる——地上のどこでも誰でもわかっていることだ。が、とりわけ不幸がわが身を襲ったとき「なぜ・私が・それを・背負わなければならないのか」という問いが、強く切実に発せられる。この自問への答え方が、すなわち〈世界〉をどのように理解しているのか、を示すものとなる。 アザンデ人は複雑な妖術と託宣の信仰体系をもっているが、あえて単線的に言えば,死を含む不運を妖術に帰し、託宣で妖術師を告発し、呪術をもって対抗する。本書は、こうした妖術(マング)・託宣(ソロカ)・呪術(ングア)などの概念の分析を通じて、彼らの〈世界観〉を外部の人間に提示するも
大企業が人々の時間と注意を無断で搾取する注意経済(アテンション・エコノミー)がもっとも恐れているもの、それは、私たちが「何もしない」ことだ。 現代アーティストでスタンフォード大学で講師を務めるジェニー・オデルによる『何もしない』(原題:How to Do Nothing: Resisting the Attention Economy) が、10月5日に刊行されました。 本書から、「はじめに」の一部を公開します。 評価・木澤佐登志 推薦 「無為とともに思考/抵抗せよ。「何もしない」を「する」ために、そして世界を変革するために」 ・バラク・オバマ年間ベストブック ・ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー はじめに──有用の世界を生きのびる 救出は、連続する破局のなかにある小さな亀裂を手がかりにする。 ──ウォルター・ベンヤミン 何もしないでいることほど難しいことはない。人間の価値か
【文庫版まえがき】 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という言葉がある。「幽霊と思って怖がっていたものは、実は枯れたススキだった」という意味で、つまらないものでも、その実態がよく分からないと人間は恐怖を覚えることのたとえとして使われる。同時に「枯れたススキ」と言語化することによって人間は恐怖から逃れ、安心するのだということをうまく表している。正体がわからないから怖いのであって、言葉を与えて正体を明らかにしてしまえば恐怖は消えるというわけだ。 2年前に「最後はなぜかうまくいくイタリア人」を書いた後、長年忘れていたこの言葉が浮かんできた。イタリアと関わるようになって35年になるが、それまではワインと食についての活動が主だったので、イタリア人についてまとまった考察をしたことはなかった。仕事のためにずっと手探りで、無我夢中でなんとかうまくイタリア人とつきあうようにしてきたが、この本を書いたことにより自分
追いつめられた、たった一人を守るもの。 それが法とデモクラシーの基(もと)なんだ。 替えのきく人間なんて一人もいない―― 問題を鋭く見つめ、格闘した紀元前ギリシャ・ローマの人たち。 彼らが残した古典作品を深く読み解き、すべてを貫く原理を取り出してくる。 この授業で大切なことは、感じること、想像力を研ぎ澄ませること。 【最先端の知は、こんなにも愉快だ! 中高生と語り合った5日間の記録】 映画を観たり戯曲を読んだりのあと、中高生との対話がはじまる。 さぁ、本当の勉強をはじめよう。 「教養どころじゃなく、自分の価値観とか、ぜんぜん、すごい変わる授業」 「人生の大事な一部分になりました」――生徒 書評 未来を切り拓く最強のヒント 木庭は言う。人の苦痛に共感する想像力があって初めて、何が問題かが掴(つか)める。よってまず直感せよと。実はここに、本書の企図の核心が潜む。著者は、ローマの人々が何を問題と
「バグを排除しようと圧力をかけると、バグが報告されないプロジェクトになる」 この寸言は、よく忘れられる。シックス・シグマや日経ナントカに染まった管理者が、バグを目の敵にし、バグゼロの号令をかける。不具合が表面化すると、たまたまそこに詳しいだけの担当を犯人扱いし、なぜなぜ分析を強要し、ccメールや全体会議で晒し者にする。 なぜなぜ分析とは、「なぜそれが起きたのか?」「その原因の原因は?」と、原因を幾重にも掘り下げる手法のこと。5段階も遡及すると、たいてい「私の不注意でした」となり、対策は「意識を入れ替える」という小学校の学級目標になる。反面、もっと深刻な「仕様変更が電話口で伝えられていた」とか「アジャイルの名のもとにテストが省略されていた」などは放置される(なぜなら、「人」を原因にしたいから)。 こんな冗談みたいな施策を続けていくと、スケープゴートになった人はどんどん心をすり減らし、不具合の
日照りでカチカチになった砂が… 長い梅雨の明けた8月。しつこく降り続いた雨に代わり、うだるような熱波が押し寄せている。国内でもっとも暑いとされる街は、埼玉県熊谷市である。2018年には、最高気温41・1℃を記録した。 世界ではどうだろう。現在公認されている観測史上最高気温はなんと56・7℃。1913年7月10日にアメリカ・カリフォルニア州の砂漠地帯にあるデスバレーで記録されたものだ。砂漠地帯では、8月の日中の気温が50℃を超えることは珍しくない。 1965年の名画『飛べ!フェニックス』では、飛行機が不時着した砂漠で水が残り僅かになり、極限状態に陥るシーンが描かれた。読者諸兄が砂漠と聞いて想像するのは、熱中症と脱水症状、そしてその先にある「死」ではなかろうか。 だが実は、砂漠地帯に住む人々にとっては、むしろ大量の水のほうが命を脅かす存在だ。 砂漠における年間降水量は、おおよそ25mm以下。こ
ぼくは彼の小説の熱心な読者ではない。だが何となくその特集号には抗し難い魅力があって、ついに家に持ち帰ってしまった。何の話かと言うと『ブルータス』の村上春樹特集である。息子が寝静まったあと、独りで「村上春樹の私的読書案内」をパラパラと読み出す。あ、ピエール・ガスカールの『街の草』。ブローティガンにレアな嵐山光三郎の『チューサン階級ノトモ』も挙げている。何より驚いたのはターケルの『よい戦争』を挙げていたこと。この書物及びターケルの仕事について、村上氏がとても的確なことを書いていたのでここに抜き出す。 “スタッズ・ターケルの書物が僕らに提供してくれるのは、『地べたの視点』から見た歴史であり、社会であり、様々な出来事である。それらの視線(断片)が数多く集められ、積み重なり、結びついていくことによって、ものごとの全体像が次第に明らかになっていく。このような手法で作られた本は、ターケル以前には存在しな
この本の内容 美味しい料理は道具で進化した!食の歴史はテクノロジーの歴史。古今東西の調理道具の歴史をたどりつつ、人々の暮らしや文化にどのような影響を与えてきたかを読み解く良書。待望の新装版。 著者 ビー・ウィルソン (ウィルソン,ビー) 1974年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で歴史学を学ぶ。「ニュー・ステイツマン」誌のフードライターを経て、現在は「サンデー・テレグラフ」紙にコラムを寄稿。邦訳書に『食品偽造の歴史』(白水社)がある。 真田 由美子 (サナダ ユミコ) 慶應義塾大学文学部英米文学専攻卒業。翻訳書に『キッチンの歴史』(ビー・ウィルソン著)、『あなたはあなたのままでいい』(アラン・コーエン著)、『世界予言全書』(ピーター・ファータド編集)などがある。 この本の感想をお寄せください 本書をお読みになったご意見・ご感想などをお気軽にお寄せください。 投稿された内容は、弊社ホームペー
数々のヒット作を生み出す、大人気ミステリー小説家「東野圭吾」。江戸川乱歩賞・直木賞・本格ミステリ大賞などを受賞し、映像化された作品も多いため、知名度の高い小説家の1人です。しかし、東野圭吾による数々の名作のなかから、どの作品を選んだらよいか悩む方が多いのではないでしょうか。 そこで今回は、東野圭吾のおすすめ小説をランキング形式でご紹介。珠玉の名作をSAKIDORI独自に厳選したので、ぜひ参考にしてみてください。 ※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。 東野圭吾は、1958年に大阪府で生まれたミステリー作家。1985年に『放課後』が、デビュー作にして江戸川乱歩賞を受賞しました。 1999年に『秘密』で日本推理作家
人間の差異は出自によるのか、文化によるのか。生来的で変更不可能な「人種」の名のもとに権力が行使され、支配や排除が合理化される人種主義。本書は、人種主義の歴史を簡明に描きだした記念碑的著作である。 古代社会には自民族中心主義や外国人嫌悪はあっても、「人種」という概念は存在しなかった。やがて中世キリスト教社会に「反ユダヤ主義」が、大航海時代以降には植民地政策に由来する「白人至上主義」が誕生し、人種主義が世界的に猛威をふるうようになる。これら二つの「人種主義」が、ナチスのホロコーストと、米国の奴隷制および南アフリカのアパルトヘイトに帰結するまでの歴史的・形態的な比較は、本書が初めての試みである。 21世紀、グローバル資本主義の進行が「人種の境界」を無化するとき、宗教や文化における「他者」が「人種」に置き換わるのだろうか。アイデンティティの喪失に怯え、あるいはその獲得に躍起になる人びとの狂信が政治
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