欧州にムスリムが急増したのは第二次世界大戦後のことである。欧州諸国は第二次世界大戦の戦災復興の労働力を求めて、旧植民地であったアフリカ・アラブ諸国から多くの移民を積極的に受け入れた。その数一五〇〇万人に上る。宗主国と旧植民地の間には経済格差があり、アフリカ・アラブ諸国の人々は皆英語やフランス語などを話せたため、自然と働き先として欧州に渡ることになった。 主なムスリムの出身地と行先として、イギリスへはインド、パキスタン、バングラデシュ、トルコ系キプロス人などが、フランスへはアルジェリア、チュニジア、モロッコ、セネガル、ニジェール、コートジボワール、マリなどが、オランダへはスリナム、アンティル諸島、インドネシアなどの旧植民地とともに、非植民地からのトルコ、モロッコ出身者が多い。植民地をもたなかったドイツは当初東ドイツやポーランドから労働力を受け入れていたが冷戦勃発後はまずユーゴスラヴィアから、