社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 稲葉さんから新著『不平等との闘い』をいただきました。ありがとうございます。 稲葉さんや私の出身母体でもある社会政策・労働問題研究という領域には、長らくちゃんとした教科書がありませんでした。というか、今もありません。それは、社会政策がとにかくありとあらゆることを扱うから、なかなか一つのディシプリンで描くのが難しかったというのが実態です。ただ、1990年代まではマルクス経済学を基本的な教養としていました。マルクスを媒介とすると、思想を通じて、社会・政治にも手を伸ばせるので、非常に便利だったということがあります。 経済学の中ではマルクス経済学が完全に凋落して、かつては近代経済学と呼ばれていた新古典派経済学が主流になりました。主流になったのはよいの