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ブックマーク / ryojikaneko.blog78.fc2.com (44)

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 稲葉振一郎『不平等との闘い』文春新書

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 稲葉さんから新著『不平等との闘い』をいただきました。ありがとうございます。 稲葉さんや私の出身母体でもある社会政策・労働問題研究という領域には、長らくちゃんとした教科書がありませんでした。というか、今もありません。それは、社会政策がとにかくありとあらゆることを扱うから、なかなか一つのディシプリンで描くのが難しかったというのが実態です。ただ、1990年代まではマルクス経済学を基的な教養としていました。マルクスを媒介とすると、思想を通じて、社会・政治にも手を伸ばせるので、非常に便利だったということがあります。 経済学の中ではマルクス経済学が完全に凋落して、かつては近代経済学と呼ばれていた新古典派経済学が主流になりました。主流になったのはよいの

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 普通選挙実現がもう10年遅かったら総同盟の現実主義は変わった?

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 深夜のツイートをhamachanに捕捉されまして、エントリにしていただいたので、少しこのことについて書き足しておきます。以前、濱口先生と議論したのは労働組合の三つの機能で、一般に言われるビジネス・ユニオニズムとソーシャル・ユニオニズム、そして、あまり一般に使われることのないポリティカル・ユニオニズムでしたけれども、私の発言の趣旨は前二者が十分に育つ前に、ポリティカルに直面せざるを得なかったということです。 ソーシャルがナショナルにひきつけられていくのは、政府などの一部の指導層が誘導したというよりは、日主義組合ですよ。これは反共であり、反近代=反欧化という側面を持っていました。で、結果的に、共産主義のカウンターパートという役割を果たすことに

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 国家神道と国民アイデンティティ

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 地方改良運動を研究する以上は国民統合のことを考えなければならないということで、それならば、島薗先生の国家神道論を考え直そうとして、「19世紀日の宗教構造の変容」『コスモロジーの「近世」』岩波書店、2001年を読み返している。『国家神道と日人』で展開された議論の根幹の部分はここに集約されているように思う。 島薗「国家神道」論の宗教社会学における意義というのは、私にはよく分からないが、知識社会学ないし理解社会学という形でならば、ある程度、分かる。ざっくり言えば、この論文の肝は、明治期以降に形成されていった国家神道の基盤が江戸時代に生まれていたということで、それを優れて政治実践的な性格を持った支配イデオロギーの形成と(津和野派国学と水戸学の関

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 社会政策と学校:『学校の戦後史』の読後感

    結果から言うと、とても面白かった。一番、面白かった点はこののディシプリンがなんだか分からないくらいにいろんなことが書いてあることだと思う。学校の社会史でもあるし、社会の中の学校史でもある。教育内容(カリキュラム)に踏み込んでいるところは教育プロパーという感じで、教育社会学っぽい雰囲気ではない。 その上で、もっと社会政策史研究がしっかりしていたものが出ていたら、このはきっともっと豊かになっていただろうなと感じるところが多くあった。これはどう考えても著者の責任ではなく、社会政策研究者の方の責任だろう。こういう立派なが出たのだから、我々はこれをどうやって摂取して、豊かなものを書けるかということを考えていかなければならないだろう。 現代を考える上で必読と言いたいけれども、新書として予備知識のない人に分かりやすい内容なのかどうかはよく分からない。分かんないけど、学校って卒業した後、どう変わって

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 島薗先生の「19世紀日本の宗教構造の変容」を読んで

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 島薗進先生の「19世紀日の宗教構造の変容」『コスモロジーの「近世」』岩波書店、2001年を読みながら、暗澹たる気持ちになっている。この論文自体は、マクロの大きな話(史観)をどう捉え直すかということで、島薗先生は、中核になる人をポンとおいて、その人を批判しながら、ご自分のコアの主張を組み立ていく手法が得手のようだ。そんなことはどうでもいいんだけれども、今、アメリカ社会学を横目にみながら、日の社会学を考え直し、やがてはそれを横目に見ながら、社会政策を考え直そうという、自分で書いていてもややこしい話を考えていて、そのプロセスでやっぱり宗教は外せないなと薄々思っていたことを再確認させられたからである。 まず、19世紀欧米では大雑把に言って、啓蒙

    kousyou
    kousyou 2015/01/02
    "明治40年代以降の神社政策は自治行政政策と密接していて、それはさらに都市社会政策とも関係"欧米でも心霊主義と空想的社会主義と田園都市の建設さらに都市政策まで繋がるから理解が追いつかない。
  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 理想の大学像よりも需給バランスが改革の方向を決める

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 大学と高校までの違いは何か、というと、高校は先生が就職にせよ、進学にせよ、すべてのアドバイザーであるわけですが、大学はキャリア・センター、昔風に言えば、就職課がこの問題に対処します。ということは、従来のアカデミックな教育とは別枠でこういうものが発展して来ます。みんなが大きな勘違いに陥るのは、労働や教育などを専門にする学者が実際には学内でこうした改革に参加して、その参加者が専門的に発言されるので、あたかも先生だけが主導でやっているかのような形に見えてしまうわけです。しかし、実際は職員やキャリア・カウンセラー、とりわけそのためだけに採用された企業の人事出身者などが大きな役割を果たしています。その際、もっとも合理的な方法は、卒業生の進路を参考にし

    kousyou
    kousyou 2014/11/10
    “社会がメンバーシップ型を変えない以上、大学はそれに合わせる形で改革を行って行くし、それは現在のところも、おそらくしばらくの間も、職業訓練化という方向には行かないだろう”
  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 連合経済政策局長・末永氏の書評

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 教育文化協会は年に数回のペースでを紹介しています。その中で先月、私のを取り上げていただきました。ありがとうございます。色んな方にコメントをいただきましたが、この書評はまさに眼光紙背に徹すという域までいっていますね。 一番驚いたのは、この部分です。 著者の意図は、日の賃金の歴史研究を通して現状の問題に対する実践的意識を高め、賃金についての議論を再び活性化させることにある。賃金を取り巻く周辺事項―例えば「被用者の従属制と生活の保障」「請負賃金と生活賃金」など、多様な切り口で検討を加えながら、もう一度賃金の歴史を学び直すことで、これからの労使関係や労務管理の在り方に新たな議論が生まれることを著者は期待する。 これだけ多様な論点を散りばめてあ

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 メンバーシップ型社会はジョブ型社会へ移行するのか

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 今の労働問題をどう考えるのか、という風に聞かれるときに、メンバーシップ型とジョブ型という考え方が今やもう、かなりデフォルトになって来たなというのが私の実感である。おそるべきhamachanの影響力。 濱口新書四部作のなかで、原論とも言うべきは『新しい労働社会』と『日の雇用と労働法』で、応用編が『若者と労働』『日の雇用と中高年』ということになるだろう。前に議論した中で濱口先生が説明されていたのは、労働法と社会政策・労働問題研究の架け橋になるような議論がない、という現状認識とそこに橋を架けるという問題意識のもとで、『日の雇用と労働法』が展開されたと言えよう。そのときに私が書いたのは、それこそが法社会学のやるべきことではないか、ということで

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 『日本の賃金を歴史から考える』への質疑応答 その2

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 さて、続きです。 1. p23どうして労働者保護が主流でなかったのか 労働者保護が主流でなかったというより、何を問題にするかという、関心領域が社会秩序の維持にあったということです。明治維新で徳川幕府を倒して、その後、版籍奉還・廃藩置県で藩体制をひっくり返し、ついで象徴的には西郷隆盛を中核とした士族の反乱、そして自由民権運動があったのです。それだけ世の中がひっくり返ってる時期ですから、次はどんな革命が起こるのか、ということに危機意識があったのです。優先順位の違いです。 2. p23どうして例外にもかかわらず大日綿糸紡績連合会はできたのか 繊維産業が江戸時代から発達していたからです。これはもともと大阪の繊維問屋が中心になって作り、それが徐々に

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 『日本の賃金を歴史から考える』への質疑応答 その1

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 中央大学の関口定一先生からゼミで『日の賃金を歴史から考える』を読んでいるんだけど、初読の感想を書いてもらったから、参考にどうぞ、ということで質問をいただきました。読んでみると、とても重要なこともたくさん書いてあるので、ぜひこれをブログで紹介してお答えしたいと申し出ましたら、快諾をいただきましたので、これから少しずつお答えして行きたいと思います。関口先生、学生さんたち、ありがとうございます。 一応、貼っておきます。 1、 p22にある「雇用関係は旧来の慣習を引き継いでいるものも多い」のはわかるが、なぜその現実と条文のギャップを判例や学説によって埋めてきたのだろうか? いきなり、大変なところを突っ込んできましたね(笑)。これは法に対する基

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 「就社」社会と新規一括採用

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 濱口先生の『若者と労働』を読んでいて、あらためて「就社」社会ということに思いを馳せたわけですが、私から見ると、菅山さんのはすごく重要な問題提起をしているんだけど、あと一歩というところもあります。それがじつはゴードンさんのともつながり、延いては濱口先生の歴史認識にも関わって来ます。 まず、重要なテーゼは「ホワイトカラーとブルーカラーの融合」ですが、これが1950年代に実現されて行ったという見解についてはいいでしょう。そして、ほぼ同時期に、「就社」社会の仕組みである新規一括採用が実現されて行ったということも問題ないと思います。さて、ここからがつっこみどころなんですが、日的雇用システムというのは、年功賃金、終身雇用、企業別組合といわれ、これ

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 日本的経営者の倫理を戻したスズキの回答

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 春闘は昨日、大手一斉回答が出揃った。日産は満額、トヨタは月例賃金は少し低めだったが、一時金の方は満額回答で答えた。しかし、私は昨日の一連の回答を見ていて、一番、心強く思ったのはスズキの回答である。他社に比べて賃金を上げられなかったことに対し謝罪しただけでなく、さらに役員報酬をカットしたからである。 日でも明治期に株式会社制度が出来た頃は、従業員が利益の成果を受け取るという慣習はなく、株主の配当、および経営者への報酬が大きかった。というのも、その当時、株式会社制度によって資金調達の道が開かれた恩恵を受けて、もっとも工場が建てられたのは紡績だが、建ててはみたものの経営がうまく行かなくないところも少なくなかった。そこで成功したマネジャーと職工に

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 稲垣良典『現代カトリシズムの思想』を読んで

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 釜石から帰って来るので、持っていったもなんか読む気分じゃないしと思って、シープラザに入っている古屋さんの親書を眺めて、稲垣良典先生のを買いました。これは大当たりでした。 稲垣先生と言えば、トマス・アクィナスの研究者として有名ですが、このは1971年、先生が43歳のときに書かれたもののようです。1970年代当時の世相において、カトリシズムがどのような意義を持つのか、最新の動向も踏まえながら、まさに思想=実践的な立場から書かれています。私の独断と偏見で言えば、近代のキリスト教は二回、大きな転機を迎えています。第一に、19世紀末、レオ13世が「レルーム・ノヴァールム」と呼ばれる回勅を出したときで、これはキリスト教が社会問題への認識を示し、

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 POSSEの抬頭に思うこと

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 私が労働問題研究を始めた2000年代の前半、左派の凋落は痛々しいほどだった。原因ははっきりしていて、かつては社会科学の基礎教養とも言うべきだったマルクス経済学が、90年代のソ連崩壊とともに徐々に影響力を失ったからである。「マルクス」まわりの最大の魅力はまさに社会科学万般から哲学に至るまで接合するパースペクティブを持っていたことだった。だから、異分野の対話を行いやすかった側面がある。それにマルクス経済学の成果がことごとく無に帰したわけではない。通俗的に言えば、資主義対社会主義、アメリカ対ソ連の対立があり、フリードマンらの新自由主義とマルクス経済学が構図上、対立しているように見えたのである。だから、ソ連が崩壊したことはマルクス経済学が敗れたか

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 生産性基準原理と逆生産性基準原理の行方

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 「経済成長は七難隠す」というのは飯田さんからよくきいたセリフだけれども、たしかに、この失われた二十年において日経済に足りなかったのはマクロ経済政策であったと思う。最近、POSSEの台頭が目立つようになるたび、その筋の人たちがマクロ経済政策がまったく抜けていると指摘している。まあ、彼らが左派系の労働関係研究者の薫陶を受けているのだから、それはそうなるでしょう。しかし、僕はそれでも別にいいと思っている。 労使関係の分野でマクロ経済政策と結びつけた最後の議論は佐々木孝男による1984年の逆生産性基準原理であったといってよいだろう。佐々木さんは知る人ぞ知る、というか、労使関係界隈の人であれば、おそらく知らない人はいない大立者である。日に労働生産

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 企業別下部構造は決定的な要因ではない

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 ポリティカル・ユニオニズムに濱口さんが反応してくださって、問題提起してくださったのですが、私の率直な感想で言うと、企業別下部構造などというものはアプリオリに存在していたわけではない、ということを主張したいと思います。そもそも、企業別組合は戦後に出来たものです。 まず、スタートは戦後の総同盟や新産別の組合再建の方が早かった。これが第一。つまり、ナショナル・センター主導で始まったということがポイントです。おそらく、もし日の労働組合の質というものがあるとすれば、労働組合というものがその黎明期においてインテリをエンジンにしていた経験を持つというところにあるのではないでしょうか。それが右派系の場合、というか、総同盟(戦前のですよ)は鈴木文治から松

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 ポリティカル・ユニオニズムというもの

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 年末から戦後の賃金史を考えていて、その絡みで労働運動の歴史も考えていたわけですが、やっぱり賃金を勉強する際に労働組合のあり方という、やや大上段に構えた問題を考えないといけないと思います。私はずっと言っているのは、労働組合は来、熟練工から始まったのであり、腕があるということこそが交渉力の源なんだ、ということです。それを忘れてしまってはいけない。これは言い換えれば、ビジネス・ユニオニズムと言ってもいい。 それでも、労働組合運動は、その運動の質として、おそらく二つの情熱があった。その一つは間違いなくビジネス・ユニオニズム。そして、もう一方はソーシャル・ユニオニズム。実は連合が出来た後、遅々たる歩みではあっても、ソーシャル・ユニオニズムが少しず

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 問われるべきは企業別組合強化よりも労働戦線統一

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 今回の濱口先生の「労使関係の「近代化」の二重性」で主要な論点は出尽くしたといってもいいと思います。おそらく、我々はここから現代の問題を考えて行かなければならない。 濱口さんとの間で交わされた議論は、労働運動をいくつかの層で考えなければならないことを示唆しています。私はいつも講義でもナショナルセンター、産別、企業別組合、事業所の4層構造を教え、戦前は一番、上と下から組合運動が始まり、徐々に産別が形成され、企業別組合(戦後ですが)が形成されていったことを説明します。組合運動を企業別組合だけで理解してはいけない、と。当はここに一般組合や地域別組合が入ってくるわけですが、とりあえず、企業別組合が複層的な構造の中にあることから理解してもらわなければ

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 メンバーシップ論と企業別組合

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 市原先生にすごくグッドタイミングで論文が送られてきました。『社会を問う人びと』岩波書店、2012年、所収の「「労働」の社会と労働者像の変容」です。全体的にはメンバーシップ論で日の労働者像を描いているんですが、私が昨日、やられてこなかったという労労関係のところの話も踏み込んで、書かれています。こんなにはっきりと、労働運動は右派が左派に勝ったんだ、それはインテリ中心の左派に、役付工クラス中心の右派の現実路線が勝っていったというような形で書いた人はなかなかいない。特に、この産別会議はインテリ中心、総同盟はたたき上げ中心という風な切り口で、描いていった人はいないのではないかと思います。そして、この市原史観の背後には、梅崎さんたちが積み重ねてきたオ

  • 社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳 メンバーシップ論から企業別組合を説くのには屈せない

    社会政策・労働問題研究について歴史的なアプローチで研究しています。ここではそのアイディアやご迷惑にならない範囲で身近な方をご紹介したいと考えています。 さあさあ御立合い、御用とお急ぎでない方は聞いておいで、見ておいで、濱口金子劇場、始まるよ。 というわけで、今回はまた強烈なのが来ましたね。最初にhamachanが私の書評スタンスを批判されているのですが、微妙な違いなんか、こんな字数で表現できるわけない、というのが一つ。それに細かく書いたってどうせみんな分からんでしょうし、分かっている人は、私の文章を読めば、全部分かった上で、書き分けているのが伝わるはずだからいいのです。実際、濱口さん自身は分かった上で書いているわけですし。 ゴードンさんの研究はたしかに、実証的にも優れていて、その点を微細に評価するという方向もあったと思います。ただ分かる人には、というか、実際に資料を読んでどういう風に労使関

    kousyou
    kousyou 2012/12/28
    "運動を理解するときに、イデオロギーとかプロパガンダとか、そういう側面をどう相対化していくのか"