2022年3月現在、「少年ジャンプ+」で完結した漫画『タコピーの原罪』。タイザン5による作品で、一見可愛い地球外生命体のタコピーが繰り広げる衝撃のストーリー展開が話題です。SNSなどでも多くの考察や感想が飛び交い、最終話が配信された2022年3月25日にはTwitterのトレンド入りを果たしています。 ※この記事は『タコピーの原罪』の重要なネタバレを含みます。
ベストセラー小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』が映画化された。はたして、「エモさ」「感傷」にだけ向き合えばいいのだろうか? 村上春樹作品、そして日本映画と韓国映画の違いを通して見えてくる日本社会に漂う空気をライター西森路代さんが読み解く。 エモくてセンチメンタルな『ボクたちはみんな大人になれなかった』 燃え殻による小説を森義仁監督で映画化した『ボクたちはみんな大人になれなかった』が全国の劇場とNetflixで公開されている。この映画は、森山未來演じる主人公のボクが、1995年からのさまざまな出来事、特に恋愛を振り返りながら今に至る物語である。主演の森山未來が原作者の燃え殻との対談でこの作品のことを「エモくてセンチメンタルなところが魅力」※と語っているが、作品を観て、現代の観客がエモい物語を求めている空気をよく捉えていると思えるし、自分自身も同じ時代を懐かしく振り返ることができた。
ブルマを嗅ぐ人の気持ちは、どの映画監督よりも理解できる(井口) ──おふたりの対談は「惡の華」の公式サイトでも公開されていますが、まさに相思相愛といった関係ですよね。そもそもの出会いは、井口監督からのアプローチだったとか? 井口昇 はい。「惡の華」の連載がまだ3、4巻くらいの頃に、僕のほうからあの手この手を使って熱烈にアプローチをしまして(笑)。 押見修造 かれこれ7、8年前になりますかね。 ──それだけ井口監督の中で「惡の華」を読んだときの衝撃が大きかったということでしょうか。 井口 そうですね。今までいろいろなマンガを読んできましたけど、こんなにも登場キャラクターの心情を理解できる作品には出会ったことがなかったんです。いわゆる人気マンガを読んでも、「面白いけれど、このマンガの中に自分はいないな」と思っていたというか、マンガの中に自分との接点を見つけることができなくて……。だけど「惡の華
障害を持つ兄妹を主人公にした問題作『岬の兄妹』。売春行為を重ねることに、良夫と真理子の兄妹は生きる希望を見いだす。 障害を抱えた兄妹が、犯罪に手を染めることで生きていく。片山慎三監督のデビュー作『岬の兄妹』は、タブー知らずの大問題作だ。地方都市で暮らす良夫は発達障害の妹・真理子の面倒を見ていたが、職場をリストラされて困窮。真理子に売春させることで、生活の糧を得ることになる。社会のドン底を描いたインディーズ映画ながら、兄妹のタフな生き方に圧倒される魅力的な作品となっている。ポン・ジュノ監督や山下敦弘監督の助監督を務め、念願の劇場デビューを果たす片山監督に、企画意図や助監督時代の体験を語ってもらった。 ──自閉症の妹・真理子(和田光沙)に1回1万円で売春させ、脚に障害のある兄・良夫(松浦祐也)は女衒として振る舞う。日本映画にはなかなかない衝撃作です。デビュー作にこの企画を選んだということは、片
「この本には自分のことが書いてある!」 読んだ瞬間にそう感じられる作品は、まず間違いなく傑作だと思う。地方都市が舞台の連作短編を収録した本書にそんな感想を抱く人は相当数いると思う。とりわけ著者と同世代(ロスジェネ)で、かつ地方出身者には刺さりまくるはずだ。かつての同級生との微妙な距離感とか、地方の生活の選択肢の少なさとかリアルだ。自由って選択できることなんだな、と思う。 物語の多くは、地方で暮らす女の子の思春期やその後の話だ。思春期はキラキラしてるし、地方から見た東京だってキラキラしてる。どちらもやがては失われてしまう。でも人生はその後も続く。 最初の短編「私たちがすごかった栄光の話」は東京での自己実現がかなわず地元に戻ってきた女性ライターの話だ。この主人公を巡るあれこれも共感を呼ぶところは多いのだけれど、印象的なのは似たような境遇の同僚カメラマン須賀さんの終盤における振る舞いだ。「地元サ
ロードサイドと東京を往復するような物語は、ケータイ小説やライトノベルにもそれなりある。けれども自意識を滴らせるような小説にはそれほど出会ったことがない。もし、出会ってしまったなら、きっとひどく感情移入してしまうんだろうなぁと前から思っていた。で、 ここは退屈迎えに来て 作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 100回この商品を含むブログ (68件) を見る この短編小説集の存在は、「今度、すごいロードサイド小説が出るらしい」と耳にしていた。古い集落に生まれ、郊外の国道沿いで思春期を過ごした私にとって、この小説が他人事なわけがない。しかしネットで見かけた書評を見るうち、それを手にとるのが億劫になっていった。もちろん億劫というのは言い訳で、この作品を読むのが怖かった。 ところが、この本の作者・山内さんが、文芸誌で拙著
どうも!管理人です。 今回は「おやすみプンプン」の3巻から4巻までの考察・感想です。 前回の記事はこちら↓ 目次 中学生のプンプンは… プンプン バドミントンの場面 プンプンに必要なものは… 雄一おじさんの過去と罪 まとめ 中学生のプンプンは… 中学生になったプンプンは愛子ちゃんとは距離を置いていました。 ただ、彼は彼女のことを今でも想い続けていたのです。 そんな愛子ちゃんはバドミントン部の部長である矢口先輩と付き合っているようで、プンプンは気が気じゃありません。 ただ、矢口先輩はとてもいい人で嫌いになれないプンプン。 でも愛子ちゃんが自分ではなく、他人に好意を向けているという現実を直視できず苦悩します。 その後、矢口先輩と口論?して泣いている愛子ちゃんと遭遇しますが、無視されてしまいます。 矢口先輩が悪い人間で、愛子ちゃんは騙されているだけ。 自分の価値観を肯定するためには、そう考えない
サブカル界隈で槍玉にあげられることの多い浅野いにおという漫画家がいますが、私も昔、よく読んでいました。映画化した『ソラニン』のほか、『素晴らしい世界』とか『虹ヶ原ホログラフ』とかも持ってましたね。 素晴らしい世界(1) (サンデーGXコミックス) 作者: 浅野いにお出版社/メーカー: 小学館発売日: 2013/06/10メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る それで、今回感想文を書く『おやすみプンプン』も読んでいたのですが、私はこちらの作品は6巻あたりで一度離脱してしまいました。6巻を読んでいた24歳? くらいの時点で、この作品の空気が私の価値観に合わなくなってきたというか、もっと端的に申し上げると、この作品の主人公であるプンプンに私は怒り心頭、もうイライライライラしてきちゃったわけですね。 おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス) 作者: 浅野いにお出版社/メーカ
コミックナタリー Power Push - 「ヒメアノ~ル」 古谷実ファンの吉田恵輔監督が語る“集大成に「ヒメアノ~ル」を選んだ理由” 森田剛主演による実写映画が目下公開中の「ヒメアノ~ル」は、「行け!稲中卓球部」でマンガ界に新風を巻き起こした古谷実の連載第7作。しょぼくれた清掃員の男性と、殺人を犯したときの快楽のみのために生きる男性の心情を並行して描き、2008年から2010年にヤングマガジン(講談社)にて連載された。 コミックナタリーでは、映画「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督にインタビューを実施。映画「銀の匙 Silver Spoon」で爽やかな青春ストーリーを紡ぎ出した吉田監督は、「『ヒメアノ~ル』なら集大成になる映画ができると思った」と明かす。その真意、映画初主演となる森田剛を起用した理由、古谷の新作「ゲレクシス」の魅力をたっぷりと語ってもらった。 取材・文 / 三木美波 もう完全に
(C)2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会 上映中の映画『ヒメアノ〜ル』が大傑作すぎて興奮がおさまりません! R15+指定ということで観るのを躊躇している方もいると思うのですが……、それでも、多くの方にこの衝撃を体感してほしいのです。 本作は『行け!稲中卓球部』『ヒミズ』などで知られる古谷実氏の同名のコミックを原作としています。原作も大好きな作品だったのですが、この映画版で特筆すべきは“映画ならでは”の改変がこのうえなく効果的に働いていることでしょう。 物語がタイトに引き締まっただけでなく、さらには映画ならではの演出や、原作にない伏線の回収などがあり、完璧と言えるほど巧みに構築されていることに、感服いたしました。 以下に、原作コミックからいかにブラッシュアップされた作品であったのかを挙げてみます。 なお、1ページには大きなネタバレはありませんが、2ページには十分にネタバレと言える中盤の“凶悪
『ヒメアノ~ル』全6巻のネタバレ感想をレビュー。作者は古谷実。ヤングマガジン(講談社)で連載されてたサスペンス漫画。V6の森田剛で実写映画化が決まったらしいので記事化。またどうでもいいジャニーズかよ…という不満は一先ず置いておいて、この漫画が面白いかつまらないか考察してみた。 ヒメノア~ル?ちなみにタイトルは『ヒメアノ~ル』であって「ヒメノア~ル」ではありません。語感的には『ヒメ・ノ・アール』の方がしっくり来るような気もしますが『ヒメアノ~ル』。ややこしいので10回ほど連呼して覚えましょう。ヒメアノ~ルの意味は知らないので、知ってる方がいたらコメントしてみてください。 あらすじ物語・ストーリー内容主人公は岡田進(おかだすすむ)。古谷実作品のキャラクターらしく、しがない25歳の青年。清掃会社で働くフリーター。同じ清掃会社で働く、安藤勇次(あんどうゆうじ)は更にさえない31歳。ひょんなことから
2016年04月02日23:00 「マジカル・ガール」ネタバレ 魔法にかかった人、鑑賞注意。かつて魔法をかけていた人も鑑賞注意。 カテゴリしんざん的にこっそりオススメ、みたいな感じのま行 qa12345 Comment(0)Trackback(0) マジカル・ガール 劇場公開日 2016年3月12日 魔法少女ユキコは悲劇のはじまり。。。 味わい深い・・ これ、ほぼほぼネタバレのポスターではある。 !!めちゃめちゃ全力でネタバレ、いくよ。!! ・ ・ ・ ある男はかつて少女の魔法にかかった。 一方もう一人の男は父親という、少女への無償の愛ゆえ、すでに魔法にかかっているのだが、少女が余命幾ばくもないことを知り、少女の願いのため、暴走を始める。 男を魔法にかけた少女は、魔法にかからない「術師=精神医」に従われ、 力を失いつつある魔女(こじれたオンナ)となっていたが、別の魔法少女の使者からの攻撃を
『空が灰色だから』全5巻のレビュー。作者は阿部共実。笑顔が素敵なオッサン?少年チャンピオン(秋田書店)で連載されてた青春オムニバスマンガ。作者の阿部共実の新作がなんかの賞を取ったらしいので記事化。 空が灰色だから あらすじ 『空が灰色だから』は一話完結のオムニバス形式。だから漠然としたあらすじはない。 ただ登場する主人公たちは、みんな10代の多感な女の子たち。 (1巻8話) いかにも彼氏が欲しがってる、恋に恋してる女子中高生たちが主に登場。少女マンガとは違ってメルヘンチックさはなく、本当男子高校生のようなガサツな感じが素敵。 一話あたりのボリュームも10ページちょっとと読みやすい内容になってる。 コンセプトは生き方が下手くそな女子 一応このマンガにはコンセプトがあって、「生き方が下手くそな女子」をテーマにしてる。 (1巻9話) 例えば「ゴリラ女」というアダ名のガサツな女子がいる話。男子を殴
惡の華(11) (週刊少年マガジンコミックス) 作者:押見修造 講談社 Amazon 押見修造の漫画作品である『惡の華』が、この十一巻をもって完結した。最初の単行本から一貫して「この漫画を、今、思春期に苛まれているすべての少年少女、かつて思春期に苛まれたすべてのかつての少年少女に捧げます。」とカバーに記しつづけた作者が紡いだ物語。 その結末にはなにが描かれていたのか。 再会するふたりは海辺で 春日は、あの夏祭りの夜を最後に、これまで会うことのなかった仲村さんの居場所を知る。海のある小さな町で母親と暮らしているという彼女に、常磐さんとともに会いに行く。その町の砂浜で再会した仲村さんに、春日は問う。「あのとき ぼくを突き飛ばしたのはなぜ?」。 ”あのとき”とは、夏祭りの櫓の上で包丁とライターを握りしめながら、ふたりで灯油をかぶった夜のことだ。仲村さんは「さあ わすれた」としらを切り、「キミは
僕はうれしい 仲村さんが消えないでいてくれて 絶望し、この世は汚いと何度も何度も言ってきた仲村さんが、世界を綺麗と言った瞬間がかつてあった。 世界でたったひとりぼっちだった仲村は、春日と契約を交わし、ともにすべてを終わらせる覚悟で刃を手にした。仲村のそこまで駆り立てたのも、春日をそこまで駆り立てたのも、お互いの存在があったから。 この気持ちを少しでも分かり合える誰かがいてくれる。その歓喜は彼らを救い、そして破滅へと追いやった。人生を壊してしまった。 誰かに心をゆるすことができた瞬間というのはきっと輝くものだし、心の闇から沸き上がる強烈な絶望を抱えていたって、浄化はされなくとも癒やされてしまう。仲村さんは春日に共鳴して、たとえあんな形であっても、一時の幸福を得ていたように感じる。 仲村と春日を結びつけた感情は、同族意識と興味とかすかな恋心が交じり合った、憐れみだったのかなと思う。 互いが互い
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