恐山の禅僧がテレビ取材に消極的には、かつて「隠し撮り」されたトラウマがあるから……。恐山菩提寺で副住職を務める南直哉さんが某局から受けた驚きの扱いとは? 最新刊『苦しくて切ないすべての人たちへ』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む) 恐山の禅僧はなぜテレビ出演に消極的になったのか?写真はイメージ ©新潮社 僧侶が驚いた「テレビ局の隠し撮り」 2022年9月、テレビに出た。某公共放送の「看板番組」と言われるもので、ゴールデンタイムもいいところの放送だった。過去にも数回出たことはあるのだが、これほどの有名番組は初めてである。 「ブラタモリ」という番組で、あのタモリさんが恐山にやって来て、私や下北半島の地質を研究している方々が、彼を案内するという体裁のもので、檀家が「方丈(禅寺の住職がいる書斎・居室。転じて住職の呼称)さんがブラタモリに出る」という情報を回覧する事態