小1の東京大空襲が原体験――『バカの遺言』拝読いたしました。この本で語られる「バカ」は、一般的に使われる「バカ」とは全く違う、世の中を俯瞰で見て、自覚的に「バカ」でいるというか。生き方の名人芸だなと思いました。 林家木久扇(以下同) 生き方の名人かどうか知りませんけれども、僕も86歳、いろんな目に遭ってるっていうことがありますね。人様から見るとスルスルっと生きてるみたいですけど。 例えば、小学校1年のときに東京大空襲を体験している。小学校1年生っていうのは、すごい感受性の初々しいときでね。気持ちがとても柔らかいときにアメリカの飛行機がやって来て、今のウクライナのあの状態なんです。 毎日怖かった、夜になるのがね。毎晩、明け方まで空がいつも明るかった。B29が300機飛んできて、ウサギのフンみたいに爆弾を落としていきましたから、もうすごい明るさだったんですよね。3回目の東京大空襲でうちが焼けた