“将棋と麻雀の二刀流プロ”として、2023シーズンからMリーグに参戦している鈴木大介。青春時代に奨励会と並行して「雀鬼会道場」で腕を磨き、現代麻雀の潮流からすれば異質ともいえる雀風でトッププロたちと鎬を削る頭脳戦のスペシャリストは、不確定要素に満ちた麻雀における「強さ」をどう定義しているのか。将棋と通じる勝負術や、AI時代の麻雀の可能性について語った。(全3回の3回目/第1回、第2回も)※文中敬称略 麻雀最強戦優勝に“1期抜け”でリーグ戦昇級 プロ雀士を目指した経歴を持つ小説家の宮内悠介は、麻雀を題材とした短編「清められた卓」(東京創元社『盤上の夜』所収)において、“麻雀のプロ”という人種をこんなレトリックで表現した。 《囲碁や将棋のプロを、空を舞う大鷲の類いに喩えるならば、彼らは、痩せこけて地を這う肉食獣である。だからこそ、また格別の人間的な妙味が宿るのだ。》 だとすれば、プロ棋士であり