『パラサイト 半地下の家族』(2019年)をはじめ、優れたエンターテイメント性とシリアスな社会性を巧みに両立させる作品群が注目される韓国映画界から、ふたたび新たな野心作が届けられた。 映画『ビニールハウス』は、ソウル郊外のビニールハウスに暮らしている家政婦兼訪問介護士のムンジョンが、勤め先で認知症の老女を世話していたところ、思わぬ悲劇に見舞われる物語。老女の夫が盲目であることから、ムンジョンは事態の隠蔽を試みるが、彼女の運命は坂道を転がり落ちるように取り返しのつかない方向へと向かってゆく……。 予測不能のサスペンススリラーであり、同時に経済格差や介護といった現代の問題にも踏み込んだ本作は、『第27回釜山国際映画祭』で3冠を獲得。また、韓国では劇場公開後1週間で観客動員数1万人を突破した。 監督・脚本・編集は、本作が長編映画デビューとなった1994年生まれの新鋭イ・ソルヒ。自らの家族関係から
2023年には『彼女が公爵邸に行った理由』『帰還者の魔法は特別です』などが、その前には『神之塔』『ゴッド・オブ・ハイスクール』『外見至上主義』などが韓国Webtoonを原作に、日本でTVアニメとして制作・放映されました。 Webtoonはどのような環境で成長してきたのか。 韓国の現地で青少年期を過ごした筆者が、実体験をベースに解説します。 改めて「Webtoon」とは何か──韓国における草創期日本では 「縦読み漫画」と通称されるWebtoon。 スマートフォンでのブラウジング、スクロールに特化されたクリエイティブ/読み方は韓国で定着したとされています。 草創期はブログやネット掲示板などからはじまったとされていますが、2003〜2004年頃からNAVERやDAUMなどの大手ポータルサイトが事業として開始。そのプラットフォームが、今知られているWebtoon及び関連サービスの原型だと言えます。
Netflixでアジアのコンテンツ統括を務めるキム・ミニョンさん。「イカゲーム」など多くのヒット作を手掛けた。 撮影:竹下郁子 Netflix(ネットフリックス)のコンテンツ制作でアジア(インドを除く)のトップを務めているのが、韓国人女性だということをご存知だろうか。 「イカゲーム」「愛の不時着」「梨泰院クラス」「キングダム(韓国作品)」……。 これらのヒット作品全てを仕掛けたのがキム・ミニョンさん、Netflixアジアコンテンツ部門のバイス・プレジデントだ。 韓国作品が世界でヒットを飛ばすたび、日本で必ずと言っていいほどささやかれるのが「韓国は世界を向いているから(それに比べて日本は……)」という“ぼやき”。 ところがキムさんは「自国でのヒットこそが成功だ」と言い切り、グローバルヒットを狙うスタッフを「ここには海外行きのチケットはない」と諭(さと)す。アジアのリソースを欧米のためには割か
近年、韓国では「新世代」と呼ばれる作家たちによるSF小説が一大ブームとなっている。その潮流を牽引しているひとりが、キム・チョヨプだ。2019年刊行のデビュー作『わたしたちが光の速さで進めないなら』は韓国内で発行部数35万部の大ベストセラーに。日本でも翌年に邦訳が刊行されると相次ぐ重版となった。 今年9月、日本では3冊目となる単著『この世界からは出ていくけれど』(早川書房)を刊行。SF小説という表現を通じて現実社会やコミュニティの在り方を問い、「決定的にわかりあえないこと」、それでも「なんとかわかりあおうとする人間同士の様」を描いてきたキム・チョヨプによる最新作は、よりそのテーマが色濃くなっていると感じる。11月、『K-BOOK フェスティバル』で来日した作家に希少な日本でのインタビューの時間をいただき、大学で化学を専攻していた彼女のバックグラウンドから近作のテーマまでじっくり話を伺った。
「草なぎ剛さんはスーパースター」韓国バラードの帝王ソン・シギョンが考える、「日本と韓国」文化や社会を変える力 前編記事【韓国大ヒット歌手ソン・シギョンが語る、韓国ドラマに欠かせない「OST」文化の奥深さ】も併せてお読みください。 11月22日に日本では2年半ぶりとなるニューアルバム『こんなに君を』を発売するソン・シギョン。韓国では“バラードの皇帝”と呼ばれる彼は、日本語を長らく勉強され、日本の歌謡曲にも非常に精通している。 2017年に日本デビューを果たし、日本と韓国の両国で活動するソン・シギョンが考える日本と韓国の文化について、深い話を日本語で聞いた。 日本と韓国の差は文化の多様性 ――ソン・シギョンさんは、韓国での「日本語能力試験(JLPT)」が最上ランクのN1、いわゆる1級に合格されています。日本の歌謡曲もよくご存じで、韓国メディアで日本の音楽がほとんど流れていない時期でも、ご自身が
『あしたの少女』は、2017年1月、韓国全州市で大手通信会社のコールセンターで現場実習生として働き始めた高校生が3か月後に自ら命を絶った実際の事件に基づいている。私たちが目撃するのは、顧客からの解約を阻止することを命じられた少女が、企業、学校、家族それぞれの要望と圧力に晒されながら、資本主義の歯車にどんどん蝕まれていく姿である。 監督を務めるチョン・ジュリは、少女が継父から性的虐待を受けていることを村人や警察が見過ごしている閉鎖的な地域社会を糾弾した前作『私の少女』(2014年)に続き、8年ぶりとなる新作で企業や学校だけでなく、労働庁や教育庁といった公機関、そして警察も責任転嫁/逃れに終始し、誰もが問題があることを認知していたにも関わらず、放置していた実態を照射する。搾取や虐待を解決できたかもしれない立場にあるあらゆる大人たちが、見て見ぬふりで共犯関係を生んでしまった結果、人を死に追いやっ
町山智浩さんが2023年8月22日放送のTBSラジオ『こねくと』の中でNetflixで配信中の韓国ドラマ『マスクガール』について話していました。 (町山智浩)で、今日紹介するのもまたネット配信で。すいませんね。すぐ見れますからね。Netflixでもう配信中の『マスクガール』という韓国のドラマについてお話します。これ、すごかったです。 (でか美ちゃん)なんか今、ランキングでも1位とかになってるらしいですね。 (町山智浩)そうなんですよ。僕ね、ちょろっと見て面白くなかったら、また別のを見ようと思っていたんですけど、一気に7話、見ました。7時間、ぶっ続けで(笑)。 (石山蓮華)1話何分くらいなんですか? (町山智浩)1時間ぐらいですね。 (でか美ちゃん)えっ、それで一気に見ちゃうって、相当面白いですよ。 (町山智浩)面白いんですよ。 (石山蓮華)これはどこのお話なんですか? (町山智浩)これ、韓
シューティングゲームや格闘ゲームなどを競技として楽しむ「eスポーツ」の規模は拡大続けており、日本でも高額な賞金を得られるeスポーツ大会が数多く開催されています。韓国では日本でeスポーツが一般的になるはるか以前から大規模な大会が開催されており、記事作成時点でも世界有数のeスポーツ大国として影響力を保っています。そんな韓国でeスポーツが発展した経緯をゲーム関連YouTuberのRESPRiT氏が解説しています。 StarCraft was never meant to be played the way Koreans played - YouTube 韓国におけるeスポーツの歴史を語る上で外せないゲームタイトルが「StarCraft」です。StarCraftは1998年に発売されたリアルタイムストラテジーゲームで、韓国で一大ブームを巻き起こし、大規模な大会がいくつも開催されるようになりました
投稿日 2023-07-21 更新日 2023-07-25 Author 宮崎敬太 MUSIC 発見する 音楽家の250はなぜ韓国の大衆音楽・ポンチャックをテーマに選んだのか。映画『母なる証明』から〈MAD DECENT〉、YMOまでさまざまな話を交えながら250の創作源を探る。 250(イオゴン) 韓国の音楽プロデューサー。2011年からヒップホップのトラックメーカーを始める。2014年から〈BANA〉に所属し、自身の制作と並行してBOAやNCT、ITZY等K-POPの作曲も行う。2022年8月デビューしたNewJeansの楽曲プロデュースも手掛けている。韓国大衆音楽の根底に潜む「ポン(뽕)」を探究し続け、2022年3月にアルバム『Ppong』を〈BANA〉からリリースした。 NewJeansの「Attention」「Hype Boy」「Ditto」を手掛けた音楽プロデューサーの250(
『22年目の告白 -私が殺人犯です-』『見えない目撃者』『最後まで行く』等、日韓の映画界をつなぐ架け橋を務めてきた制作会社ROBOTのプロデューサー・小出真佐樹氏。 次々にグローバルヒットを生み出し、Netflixが今後4年間で25億ドル(約3,300億円)を投じると発表するなど、映像エンタメの中心地といえる韓国。しかし小出氏によれば、それはあくまで一元的な見方だという。そこでBrancでは、小出氏にロングインタビューを実施。 「『最後まで行く』が出来上がるまで」「韓国映画界に訪れた危機」「日本映画界の課題と希望」の全3回にわたって、じっくりと語っていただいた。第2回は、コロナとNetflixによって激変が起こっている韓国映画・映像業界の“いま”をお届けする。 ≫第1回はこちらから! 韓国は“投資”の文化、日本は“製作委員会”の文化――小出さんはTwitterで韓国映画・映像界の危機を訴え
「日本アニメブーム」の理由 今年に入って、韓国の劇場街では空前の「日本アニメブーム」が起きている。1月と2月に韓国のボックスオフィス1位となった「The first SlamDunk」に続いて、3月には「すずめの戸締まり」が35日間もボックスオフィス1位を独占した。 韓国メディアは、日本アニメの予期せぬ快進撃を見守りながら、その理由を分析する一方で危機に陥った韓国映画界への懸念を示している。 「朝鮮日報」は、日本アニメ好調の理由を4つに分析した。つまり、「世界市場で決定的優位を持つコンテンツ」、「ジャンル的、産業的多様性を武器に韓国でも強力なファンダムを保有している」、「折れない心(「The first SlamDunk」)、災難以後の慰め(「すずめの戸締り」)など、普遍的共感を持つテーマで観客にアピールしている」、「『ワンソースマルチユース(onesource multi-use)』で人
韓流ブームを巻き起こした韓国ドラマ『冬のソナタ』が日本で放映されてから今年で20年。この間、韓国エンタテイントメントの世界での立ち位置は大きく変わり、なかでもドラマのグローバルヒットが目を引く。 その背景には、輸出の好調により十分な制作費の確保が可能になったことなどがある。『冬のソナタ』を制作し、2019年には『椿の花咲く頃』が大ヒットしたPANエンターテインメントの金喜烈ドラマ部門産業本部副社長に、冬ソナとそれ以降の韓国のドラマ業界の変化について話を聞いた。 「冬ソナ」日本進出のきっかけ ――韓国で『冬ソナ』が放映された際、同時間帯の他社のドラマは大型大河だったとか。 名プロデューサーが制作した大河ドラマで放映前から鳴り物入りでした。『冬ソナ』の前に放映したドラマの視聴率がとても低くて、どうなることだろうと思ったのですが、初回から13%の視聴率と好調な滑りだしで最高は21%まであがりまし
HOME インタビュー 古家正亨さん「K-POP バックステージパス」インタビュー 韓流の伝道師として四半世紀、日韓は「絶対に理解しあえる」(前編) 古家正亨さん=斎藤大輔撮影 古家正亨(ふるや・まさゆき) 1974年生まれ、北海道出身。上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。カナダ留学を経て98年に韓国留学。帰国後K-POPの魅力を伝える活動を、マスメディアを中心に展開。2009年には日本におけるK-POPの普及に貢献したとして、韓国政府より文化体育観光部長官褒章を受章。日本で開催される韓流・K-POPイベントのMCとしても知られるほか、ニッポン放送「古家正亨 K TRACKS」、NHK R1「古家正亨のPOP☆A」など数多くのラジオ、テレビ番組を担当。著書に『ALL ABOUT K-POP』(ソフトバンククリエイティブ)、『Disc Collection K-POP』(シン
大学の卒業旅行を計画していたら、twitterで知り合った鉄道マニア33人を北朝鮮に連れていくことになった。 北朝鮮の電車に興奮する日本の鉄道マニアと、日本の鉄道マニアに困惑する北朝鮮のガイドの、異文化交流の記録。 北朝鮮に行く、そこに鉄道があるからこれを読んでいるあなたは、北朝鮮に対してどんなイメージを持っているだろうか? たいていの人が「ミサイル」「核実験」「拉致問題」のようなキーワードを挙げるのではないだろうか。「旅行したい」という発想を思いつく人はほとんどいないのではないかと思う。 しかし、一部の鉄道マニアにとって、北朝鮮ほど魅力的な場所はない。「世界中から注目されながらも、今なお深い謎に包まれた鉄道」が走る北朝鮮に、好奇心をくすぐられないわけがなかった。 ある登山家が「なぜエベレストに登るのか?」と問われて「そこにエベレストがあるからだ」と答えた逸話がある。同じように、私も「なぜ
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