戦後78年を迎えた2023年、広島市の平和教育副教材から漫画「はだしのゲン」が削除され波紋が広がっています。原爆が投下された広島で、戦中戦後の苦難な時代を生き抜こうとする少年を描いた同作は、累計発行部数1,000万以上。世界各国で読み継がれてきました。そんな「はだしのゲン」が、なぜ削除されたのか?情報公開請求で入手した膨大な改訂記録や、議論に関わった市教育委の担当者・教員たちの証言から、知られざる背景に迫りました。
「夢は人を殺しかねない」──穏やかではありませんが、今回はそんな話です。 年に数百以上の漫画を読む筆者が、時事とリンクするタイトルを紹介する本連載「漫画百景」。 第一五景目は、『夢なし先生の進路指導』です! 2024年もあっという間に3月、卒業シーズンを迎えました。これまでの生活に別れを告げ、新しい出会いに胸をはずませ、夢や目標に邁進する方も多いかと思います。 だからこそ、あえて今回は、「夢は無慈悲で残酷です」と警鐘を鳴らす教師が主人公の本作を紹介します。 笠原真樹による漫画『夢なし先生の進路指導』『夢なし先生の進路指導』は、小学館の漫画誌『週刊スピリッツ』で連載中。小学館のWeb漫画サイト「ビッコミ」でも配信中で、既刊は2巻。 かつて『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で、『リビドーズ』『群青戦記 グンジョーセンキ』を連載していた笠原真樹さんによる作品です。 夢の功罪がテーマで、これまでに声
教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、男子校で広がり始めた性教育とジェンダー教育の現場に迫る連載「ルポ・男子校の性教育」。第6回は駒場東邦中学校・高等学校を訪ねた。今回は「性教育」の特別授業ではなく、普段の国語の授業。えげつない描写も含まれる小説を題材に、中3男子のジェンダーバイアスに揺さぶりをかける。 駒場東邦中学校・高等学校(以下、駒東)は、2023年には東大に72人の合格者を出すなど、東大合格者ランキングトップ10の常連。過去には昭和女子大の学生たちとジェンダーについて学ぶ機会を設けていたり、外部講師による性教育講義を定期的に行っていたりと、男子校の“アキレス腱”を補う教育に力を入れてきた。その姿勢は普段の授業にも染み込んでいる。中3の現代文の授業を見学した。 (おおたとしまさ:教育ジャーナリスト) 「たとえばアダルトコンテンツを見てる男の子でも、好きな女の子にはそういうことしてほ
哲夫さんが小・中学生向け補習塾「寺子屋こやや」を開いたのは、所属する吉本興業の社員から「塾の費用が月6万~7万円かかる」と聞いたのがきっかけだった。 「高すぎると思いました。金持ちしか賢くならへんやんけと。一部の人間だけが賢くなる『置いてきぼり教育』は嫌やなと思ったんです」 「月6万~7万円」は高額な部類だが、塾にかかる費用は決して安くない。文部科学省の調査※1によれば、2021年度の1年間で公立小学校に通う小学生の「補助学習費」(自宅学習や学習塾・家庭教師などの経費)の平均額は12.0万円、公立中学校に通う中学生は30.3万円。1カ月あたりではそれぞれ1万円、2万5250円だ。塾に通いたくても、経済的な事情で通えない子どもがいるのは事実だろう。 ※1 文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」(2022年12月21日公表)
togetter.com まさに私が勉強できないママなんだけど、じゃあどうしたらいいのか教えて欲しい🥹 このままじゃ貧困の連鎖なんよ…子供に苦労させたくないのに上手くいかない https://t.co/sop8DDbOb0— ちくわこ (@skullcherry317) 2023年12月24日 この問題については以前も一度紹介した「ガクサン」ってマンガがマジでオススメです。 www.tyoshiki.com www.tyoshiki.com 前回は1話が出た時点でこのマンガはすごいっていきなり紹介しましたが、期待通りその後もしっかり面白い漫画でした。 苛烈な中学受験をテーマとしたマンガ「2月の勝者」はかなり読む人を選ぶマンガだと思いますが こちらの「ガクサン」は、子供にきちんとした教育を与えたいと考えてる親全ての人に読んでもらいたいです。 ガクサン(1) (モーニングコミックス) 作者:
年々激しさを増す中学受験に、新たなプレイヤーが目立つようになった。中国にルーツを持つ子供たちである。それを象徴するのが、首都圏で中学受験をリードする存在である大手塾、SAPIXでの躍進ぶりだ。 SAPIXは首都圏における中学受験の4大塾(SAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研)の中でも、難関校の合格者数で群を抜いている。単に問題を解くというよりは、思考力を高める独自のカリキュラムで定評があり、定期的に組分けテストを行うスパルタ教育で知られる。 300人を超える中国人が在籍 2022年度までSAPIXに娘を通わせていた世田谷区在住の中国人ママ、黄さん(仮名)に話を聞こう。「当時SAPIXには一学年あたり6000人を超える生徒がいて、そのうちの300〜400人は中国人でした。最上位のアルファクラスにいたことがある中国人生徒も、私が知る限り60人ほどいます」。 なぜ、そんなことがわかるの
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が差し迫った2021年7月19日に、ミュージシャンの小山田圭吾さんが開会式の楽曲制作担当の辞任を発表した。これまでもインターネット上で言及されてきた、雑誌のインタビュー記事での「いじめ発言」が改めて問題視されたことを受けてのものだった。それから約二ヶ月後の9月17日には小山田さんの公式サイトに、いじめ発言が掲載された雑誌記事の背景や現在の心境、謝罪などが書かれた「【いじめに関するインタビュー記事についてのお詫びと経緯説明】」が掲載され、2022年5月25日に活動再開が発表された。 本記事は、小山田さんと評論家・荻上チキさんとの対談である。小山田さんの当時の心境や出来事を伺うとともに、NPO「ストップいじめ!ナビ」の理事を務める荻上さんにいじめ問題の知見をお話しいただいている。またメディアやSNSを中心としたインターネット上での反応も含めた一連の
https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/R7Y6NGLJ6G/blog/bl/pkEldmVQ6R/bp/py26EX8wqy/ ことし3月、北海道旭川市で中学2年生の廣瀬爽彩(ひろせ・さあや)さんが、凍死体で発見されました。彼女のSNSには「いじめ」を告白するメッセージが残されていました。 学校や旭川市教育委員会はいじめがあったとは認めておらず、いまも第三者委員会による調査が行われています。 今回、爽彩さんの母親がNHK のインタビューに応じ、胸の内を語ってくれました。 (クローズアップ現代+取材班) ㅤ クロ現プラス『旭川女子中学生凍死事件 それでも「いじめはない」というのか』詳しくはこちら 番組はNHKプラスで放送1週間後まで見逃し配信(~11/16)※別タブで開きます ㅤ 娘は “負けず嫌い”で“優しい子”だった 廣瀬さんの自宅には、爽彩さんの写真がたくさん飾
子ども4人を東大理三に合格させた佐藤ママが「3歳までに1万冊読み聞かせた」という話に象徴されるように、近年、読み聞かせは幼児教育でもより重要視される傾向にあり、知育の文脈で語られることが増えた。 絵本人気が続く理由はどこにあるのか? その背景を探った。 出版業界は右肩下がりでも絵本はじわり拡大 出版業界の売り上げは1996年をピークに右肩下がりとなっている。書籍に限ってみても、推定販売金額は1996年の1兆0931億円から2022年には6497億円(『季刊 出版指標2023年春号』)まで減少している。 しかし、そんな市場下においてこの10年、じわじわ市場が拡大しているのが児童書だ。 2013年に770億円(うち絵本は294億円)だった児童書の売り上げは、このコロナ禍前後の2019年が880億円(うち絵本は312億円)、2020年が930億円(同330億円)、2021年が967億円(同353
2020年、香川県議会で「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(通称「ゲーム条例」)が可決された。本条例は、ネット・ゲーム依存症から子どもたちを守るため、ゲームは1日60分(学校等の休業日にあたっては90分)などの目安を示し、保護者がそれを遵守するよう努めなければならないといったいくつかの施策を示したものだ。条例の制定を受け、子どもの権利侵害の問題や行政による家庭教育への介入の問題、60分という数字の科学的根拠の希薄さなどについてSNSでは議論が巻き起こり、本条例の存在は全国的に周知されることとなった。 また、本条例制定に先だって募集されたパブリックコメントでは賛成の意見が8割以上を占めたとの発表があり、条例成立の根拠のひとつとされたものの、賛成とされる意見が書かれた複数のコメントに共通の誤字が見られるなど、内容には不審な点が多く見られた。 KSB瀬戸内海放送記者である山下洋平氏はこのパブ
報道からバラエティ、YouTubeまで、新たな論客として引っぱりだこのイェール大学助教授・成田悠輔さん。今回は、子どもの英語教育や海外脱出について、VERY読者の疑問・悩みをバッサリ斬っていただきました! ※掲載中の情報はVERY2022年12月号掲載時のものです。 Q. 日本は本当に 終わってるんでしょうか? 海外に住む成田さんから見て、政治経済・教育などの面で日本は本当に終わってると思いますか? 子どもには日本脱出を最優先に考えて道を選ばせるべきなのでしょうか?(34歳/4歳・2歳男の子) A. 実はそんなに 終わってないと思ってます。 日本もふつうの衰弱先進国になったというくらいの話だと思います。「日本が終わっている」と言うとき、バブル期の日本や、アメリカや中国、勢いのあるシンガポールやドバイと比べてるんだと思います。 でも、たとえばイタリアやイギリスのようなヨーロッパの先進国を見れ
2022年6月刊行の新刊『両手にトカレフ』でブレイディみかこさんが描いたのは、『ぼくイエ』の舞台となった学校の「もう1つの見え方」だった
学校の先生がとても忙しいことは、ずいぶん知られるようになった。小中学校の教員が世界で一番長時間労働であることは、OECDの調査でも、わかっている。だが、背景を正確に把握している人は、それほど多いわけではない。 「先生たちは、どうして、こんなにも忙しいのですか?」 「学校は遅れていたとはいえ、IT(ICT)の導入も多少はしているでしょう。昔はプリントづくりや成績処理もほとんど手作業でした。なのに数十年前と比べて明らかに忙しくなっている。なぜ?」 こういう質問を、マスコミの方や教育関係者からよくいただく。複雑な背景、経緯があるので、ひとこと、ふたことでは説明しづらいが、いくつか踏まえておきたいことを、今日はお話ししたい。 ※もちろん、学校種や学校ごとに違いはあるが、今回はおおよその共通点について述べる(例:小学校と高校ではずいぶん多忙の要因は別だ)。 (写真:アフロ) ■いじめ、貧困への対応、
あらゆることを「ヤバイ」「エグイ」「死ね」で表現する子供たちを想像してみてください。彼らはボキャブラリーが乏しいことによって、自分の感情をうまく言語化できない、論理的な思考ができない、双方向の話し合いができない――極端な場合には、困ったことが起きた瞬間にフリーズ(思考停止)してしまうんですね。これでは、より問題がこじれ、生きづらさが増すのは明らかです。 以前はこうした実情を、〈うまくいっていない子〉に共通の課題だと認識していました。ところが数年前から、各地の公立学校に講演会や取材でうかがうことが増えるなかで、平均的なレベルとされる小・中学校、高校でも、現場の先生たちが子供たちの国語力に対して強い危機感をもっていることがわかりました。言葉によってものを考えたり、社会との関係をとらえる基本的な思考力が著しく弱い状態にあるという。 ©iStock.com そしてあるとき僕自身、都内の小学4年生の
様々な人たちと取材を通じて出会ってきた私は、映画を介して「出逢う」という意味を当初は理解していませんでした。初めて監督を務めたドキュメンタリー映画『教育と愛国』は、これまでと次元の異なる瞬間の出逢いを生み出しています。 2022年5月13日の公開から2ヶ月近く、忘れられない出逢いの数々。振り返れば、教育に対する政治介入という忍び寄る巨大な“影”と小さな抵抗の“光”を描いた映画だからなのかもしれません。政治と一線を画してきた戦後教育と教科書がいま、危険な曲がり角を曲がってしまったのか。映画を観終わった後のお客さんの反応は、驚くほどに様々でした。 静岡シネ・ギャラリーへ行ったときのこと。舞台挨拶のあとパンフレットに次々とサインをしていると、可愛らしい女性が眼前に立ち、目が合うなり「悔しいです」と言ってはらはらと涙を流しました。教員志望の学生だと彼女は泣きながら言うのです。 教育への不当な政治介
いま地方発のドキュメンタリー番組が熱い。中でも、沖縄の基地問題、教科書問題、ネット上でのバッシングなどのテーマに正面から取り組み、維新旋風吹き荒れる大阪の地で孤軍奮闘しているテレビドキュメンタリストの存在が注目を集めています。 『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』は、毎日放送(MBS)の制作番組『なぜペンをとるのか』『沖縄 さまよう木霊』『教育と愛国』『バッシング』などの問題作の取材舞台裏を明かし、ヘイトやデマが飛び交う日本社会に警鐘を鳴らしつつ、深刻な危機に陥っている報道の在り方を問う一冊です。 このたび、著者の斉加尚代さん、ゲストに現代史がご専門の京都大学人文科学研究所准教授・藤原辰史さんをお招きしたトークイベントが開かれました。 現在、全国順次公開中の斉加さん初監督映画『教育と愛国』の話題で口火が切られたお二人のトークでは、この国の教育、愛国、そして歴史をめぐる状
【高校教諭覆面座談会】 SKR 20代、関西地方。教員4年目。生徒会担当などを経験。 長野 30代、長野県。教員歴8年。教務係→生徒会担当 TNT 40代、岐阜県。生徒会担当歴が長い。Twitterで、学校の在り方について積極的に発信している。 司会 内田良・教育社会学者 校則改革で教員の負担は減るか 【内田】これはあくまで働き方改革を考えたときの校則改革における副次的な産物ですが、校則を厳しくしないことで、身だしなみの指導をする機会そのものがなくなっていくのではないかと思うのです。 「ルールをなくしたら指導することが増える」のか、「ルールをなくしたら指導することが減る」のか、いかがお考えでしょうか。 【長野】校則がほとんどない学校でも、生徒指導は当然あります。ほとんどないとはいえ、例えばいじめの問題やその少ない校則に違反している生徒には指導せざるを得ません。とはいえ、その指導の中で、「こ
歴史教科書に対する政治介入に切り込んだドキュメンタリー映画『教育と愛国』は、気づかぬうちに蔓延している「見えない圧力」に肉迫し、「政治ホラー」とも評される。フェイクニュースや、SNSによる誹謗中傷、メディアと権力の関係もとらえた本作は、見る人に日本社会が抱えるさまざまな問題を提議する。 教育と学問の自由が脅かされている ウクライナ侵攻後のロシアでは、極端な愛国教育がおこなわれ、戦争に関する虚偽の情報が子どもたちに伝えられていると、多くのメディアが報じている。 英紙「オブザーバー」は、「ウクライナはファシストの国で、この戦争はロシアを守るため」なのだと、自国の侵略戦争を生徒の前で正当化する教師に激怒する親の声を取り上げる。 また、米紙「ワシントン・ポスト」によれば、ロシアの教育現場にはプーチン大統領の歴史修正主義的な思想を反映したオンライン学習コンテンツが配られ、今年3月には全国で500万人
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