これほどまでに“女子アナの生きづらさ”に焦点を当てた作品が、かつてあっただろうか。狭き門を通り抜けて女子アナとなり、“人生の成功者”のように扱われる彼女たちのもう一方の姿——。 関西テレビ(以下、カンテレ)制作のドラマ『エルピス—希望、あるいは災い—』は、それを生々しく描いている。月曜22時という、かつての『SMAP×SMAP』の時間に放送されるエンターテインメント作品でありながら、冤罪の死刑囚を救おうと奮闘するテレビ局員の姿を描くなど、東海テレビのドキュメンタリーかと感じるくらいに重厚だ。 論点は多く存在するが、長澤まさみが演じる女性アナウンサーの姿に、彼女たちの“生きづらさ”が集約されているように感じた。『エルピス』を通して見える、女子アナが置かれている状況、彼女たちとジャーナリズムとの距離、就職活動における選抜の段階から本来の役割を見失わせてしまう構造などについて論じていきたい。(文