令和という元号の由来となった日本最古の歌集「万葉集」を現代の奈良言葉で超訳した本がシリーズ累計26万部となり、古典作品では異例のヒットを飛ばしている。刊行したのは、社員のいない一人出版社「万葉社」(高松市)を営む作家の佐々木良さん(39)だ。広告にお金もかけられない中で、ユニークな超訳が交流サイト(SNS)などを通じて広まるという、令和ならではのベストセラー誕生の物語はまだまだ続く。 何度、声をかけても振り向いてくれないことを嘆く男性の歌«玉葛 懸(か)けぬ時なく 恋(こ)ふれども 何しか妹(いも)に 逢ふ時もなき»。佐々木さんの超訳はこうだ。「マッチングアプリで『いいね』しまくってんねんけど 会うまでには発展せーへん…」。シリーズに収録された超訳はどれもユニークで、万葉の人々を身近に感じさせる。 佐々木さんが万葉集に注目したのは改元がきっかけ。万葉集ができた頃に首都だった奈良の言葉が標準